法人の所得にかかる税は、国に納める法人税・地方法人税・防衛特別法人税と、都道府県・市町村に納める法人住民税・法人事業税・特別法人事業税の6つです。法人税率だけを見ても、会社が実際に負担する割合は分かりません。
資本金1億円以下の会社なら、所得800万円のときの負担は所得の約24%、所得3,000万円なら約33%です(標準税率で計算)。所得が増えるほど負担率が上がるのは、年800万円以下の部分にだけ軽い税率がかかる仕組みが、国税にも地方税にもあるからです。
この記事では、2026年9月時点の法人税の税率一覧、令和8年4月1日以後に始まる事業年度から加わる防衛特別法人税、地方の法人税の税率、法人にかかる税金の一覧を表で整理し、所得別の計算例で自社の負担の見当をつけられるようにします。地方法人税の仕組みや法人住民税・法人事業税との違いは「地方法人税とは」、申告書の書き方は「法人税申告書の書き方」で扱っています。
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法人税率一覧(普通法人・中小法人・協同組合等)
法人税の税率は、法人の種類と資本金、所得の金額で決まります。国税庁の税率表(令和7年4月1日以後に開始する事業年度)を、中小企業に関係する区分に絞るとこうなります。
| 法人の区分 | 所得のうち年800万円以下の部分 | 年800万円超の部分 |
|---|---|---|
| 中小法人(資本金1億円以下の普通法人)・当期の所得が年10億円以下 | 15% | 23.2% |
| 中小法人・当期の所得が年10億円超 | 17% | 23.2% |
| 中小法人のうち適用除外事業者(過去3年の平均所得が年15億円超) | 19% | 23.2% |
| 資本金1億円超の普通法人(大法人) | 23.2% | 23.2% |
| 協同組合等・公益法人等(所得が年10億円以下) | 15% | 19% |
本来の税率は、中小法人でも年800万円以下の部分が19%です。15%になっているのは租税特別措置法の特例で、令和9年(2027年)3月31日までに開始する事業年度に限って適用されます。
資本金1億円以下でも、資本金5億円以上の法人の100%子会社は中小法人に当たらず、23.2%の一律課税になります。中小法人かどうかは各事業年度の終了の時で判定するので、M&Aで大企業グループに入ると、買収された事業年度から軽減税率が使えなくなります。
自社がどの税率になるかは、次の順に確かめます。
| 確かめること | はい | いいえ |
|---|---|---|
| 1. 期末の資本金が1億円以下か | 2へ | 大法人:23.2%一律 |
| 2. 資本金5億円以上の法人の100%子会社ではないか | 3へ | 大法人と同じ:23.2%一律 |
| 3. 過去3年の平均所得が年15億円以下か | 4へ | 適用除外事業者:800万円以下の部分19% |
| 4. 当期の所得が年10億円以下か | 800万円以下の部分15% | 800万円以下の部分17% |
令和7年度・令和8年度の税制改正で法人税率はどう変わったか
| 改正 | 内容 | 適用 |
|---|---|---|
| 令和7年度税制改正 | 中小法人の軽減税率の特例を2年延長。所得が年10億円を超える事業年度は、年800万円以下の部分の税率を17%に引き上げ。通算法人は対象外に | 令和7年4月1日以後に開始する事業年度 |
| 令和7年度税制改正 | 防衛特別法人税を創設(次の節) | 令和8年4月1日以後に開始する事業年度 |
| 令和8年度税制改正 | 法人税率・軽減税率の変更は無し。設備投資・研究開発・賃上げの税額控除の見直しが中心 | ― |
所得10億円超の中小法人はまれなので、多くの中小企業にとって令和7年度改正の実質的な変化は「15%が2年延びた」ことです。令和9年度以降も続くかは、令和9年度税制改正で決まります。
防衛特別法人税(2026年4月1日以後に開始する事業年度から)
防衛特別法人税は、防衛力強化の財源として令和7年度税制改正で創設された国税です。令和8年4月1日以後に開始する事業年度から、法人税・地方法人税と一緒に申告・納付します。3月決算の会社なら、2027年3月期が最初の対象です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 課税標準 | 基準法人税額(所得税額控除など一定の税額控除を適用しないで計算した法人税額) |
| 基礎控除 | 年500万円 |
| 税率 | 4% |
| 計算式 | (基準法人税額 − 500万円)× 4% |
| 申告期限 | 事業年度終了の日の翌日から2か月以内(法人税と同じ) |
基礎控除が法人税額で500万円あるので、中小法人の場合、所得がおよそ2,440万円を超えるまでは税額が0円です(800万円×15%+1,640万円×23.2%≒500万円)。税額が0円でも、対象の事業年度には申告書の記載が必要です。
法人住民税・法人事業税・特別法人事業税の税率一覧
地方の法人税は、所得や法人税額を基準にかかる部分と、赤字でもかかる部分に分かれます。総務省が示す標準税率は次のとおりです。
| 税目 | 納める先 | 課税標準 | 標準税率(資本金1億円以下の普通法人) |
|---|---|---|---|
| 地方法人税 | 国 | 法人税額 | 10.3% |
| 法人住民税(法人税割) | 都道府県・市町村 | 法人税額 | 道府県民税1.0%+市町村民税6.0%=7.0% |
| 法人住民税(均等割) | 都道府県・市町村 | 資本金等の額・従業者数 | 定額(下表) |
| 法人事業税(所得割) | 都道府県 | 所得 | 年400万円以下3.5%、400万円超800万円以下5.3%、800万円超7.0% |
| 特別法人事業税 | 国(都道府県が徴収) | 標準税率で計算した法人事業税の所得割額 | 37% |
資本金1億円超の法人は、法人事業税が外形標準課税になり、所得割1.0%に加えて付加価値割1.2%・資本割0.5%がかかります。特別法人事業税の税率は所得割額の260%です。令和8年4月1日からは、資本金と資本剰余金の合計が50億円を超える法人の100%子会社などで、資本金と資本剰余金の合計が2億円を超えるものも、資本金1億円以下でも外形標準課税の対象になります。大手グループに入るM&Aでは、この点も税負担の試算に入れておきます。
法人事業税の所得割は、3つ以上の都道府県に事務所があり資本金1,000万円以上の法人だと、400万円・800万円の段階が無くなり、7.0%の一律になります。また、東京都など標準税率より高い超過税率を採る自治体があり、実際の税率は所在地で変わります。
法人住民税の均等割は、赤字でも毎年かかります。
| 資本金等の額 | 道府県民税 | 市町村民税(従業者50人以下) | 市町村民税(従業者50人超) |
|---|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 2万円 | 5万円 | 12万円 |
| 1,000万円超1億円以下 | 5万円 | 13万円 | 15万円 |
| 1億円超10億円以下 | 13万円 | 16万円 | 40万円 |
資本金1,000万円以下・従業者50人以下で1つの市に事務所があるだけなら、均等割は合計7万円です。
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法人にかかる税金一覧(赤字の年も納める税を含む)
所得にかかる税のほかにも、法人は取引や資産に応じて税を納めます。中小企業が普段関わるものを並べると次のとおりです。
| 税金 | かかる対象 | 国・地方 | 赤字の年も納めるか |
|---|---|---|---|
| 法人税 | 所得 | 国 | 納めない |
| 地方法人税 | 法人税額 | 国 | 納めない |
| 防衛特別法人税 | 法人税額(500万円超の部分) | 国 | 納めない |
| 法人住民税(法人税割) | 法人税額 | 地方 | 納めない |
| 法人住民税(均等割) | 資本金等の額・従業者数 | 地方 | 納める |
| 法人事業税(所得割) | 所得 | 地方 | 納めない |
| 法人事業税(外形標準課税) | 付加価値・資本金等(資本金1億円超など) | 地方 | 納める |
| 特別法人事業税 | 法人事業税の所得割額 | 国 | 納めない |
| 消費税・地方消費税 | 売上(課税事業者) | 国・地方 | 納める |
| 源泉所得税 | 役員報酬・給与・一部の報酬の支払い | 国 | 納める(預かって納める) |
| 固定資産税・償却資産税 | 土地・建物・事業用の設備 | 地方 | 納める |
| 印紙税 | 契約書・領収書など | 国 | 納める |
| 登録免許税・不動産取得税 | 登記、不動産の取得 | 国・地方 | 納める |
赤字の年も、均等割・消費税・固定資産税は出ていきます。資金繰りを考えるときは、「所得にかかる税」と「赤字でも出ていく税」を分けて見込むのが確実です。
法人の実効税率の計算例(所得800万円・3,000万円)
ここからは、資本金1,000万円、従業者50人以下、1つの県・1つの市だけに事務所がある会社で、令和8年4月1日以後に始まる事業年度を想定して計算します。標準税率を使い、端数処理と税額控除は省略しています。
所得800万円の場合
| 税目 | 計算 | 税額 |
|---|---|---|
| 法人税 | 800万円×15% | 120万円 |
| 地方法人税 | 120万円×10.3% | 12万3,600円 |
| 防衛特別法人税 | 法人税額120万円が基礎控除500万円以下 | 0円 |
| 法人住民税(法人税割) | 120万円×7.0% | 8万4,000円 |
| 法人事業税 | 400万円×3.5%+400万円×5.3% | 35万2,000円 |
| 特別法人事業税 | 35万2,000円×37% | 13万240円 |
| 所得にかかる税の合計 | 188万9,840円(所得の約23.6%) | |
| 法人住民税(均等割) | 2万円+5万円 | 7万円 |
所得3,000万円の場合
| 税目 | 計算 | 税額 |
|---|---|---|
| 法人税 | 800万円×15%+2,200万円×23.2% | 630万4,000円 |
| 地方法人税 | 630万4,000円×10.3% | 64万9,312円 |
| 防衛特別法人税 | (630万4,000円−500万円)×4% | 5万2,160円 |
| 法人住民税(法人税割) | 630万4,000円×7.0% | 44万1,280円 |
| 法人事業税 | 400万円×3.5%+400万円×5.3%+2,200万円×7.0% | 189万2,000円 |
| 特別法人事業税 | 189万2,000円×37% | 70万40円 |
| 所得にかかる税の合計 | 1,003万8,792円(所得の約33.5%) | |
| 法人住民税(均等割) | 2万円+5万円 | 7万円 |
同じ計算で所得400万円なら約22.4%、所得1億円なら約36.5%です。負担率が大きく変わる境目は所得800万円で、そこを超えた部分には法人税23.2%・事業税7.0%がかかります。
実効税率と「所得に対する負担率」の違い
上の負担率は、その年に払う税を所得で割った単純な割合です。一方、財務省などが示す実効税率は、法人事業税と特別法人事業税が翌期に損金になる分を差し引いて計算します。
実効税率 =(法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)+防衛特別法人税分+事業税率+特別法人事業税率)÷(1+事業税率+特別法人事業税率)
| 会社の区分 | 実効税率(標準税率) |
|---|---|
| 資本金1億円超の法人(外形標準課税) | 29.74%、防衛特別法人税の対象なら30.64%(財務省) |
| 資本金1億円以下の法人・所得800万円超の部分 | 約33.6%、防衛特別法人税がかかる部分は約34.4%(上の式で計算) |
中小法人の800万円超の部分が大法人より高く見えるのは、大法人は税の一部を所得でなく付加価値や資本金にかけているからです。所得の低い部分には軽減税率がかかるので、会社全体の負担は中小法人のほうが軽くなります。
M&Aで売り手にかかる税(株式譲渡と事業譲渡の違い)
会社を売るとき、法人の税率で課税されるかどうかは、売り方で変わります。
| 売り方 | 税を払う人 | かかる税 |
|---|---|---|
| 株式譲渡 | 株主(個人のオーナー) | 譲渡益に20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%)の申告分離課税 |
| 事業譲渡 | 会社 | 譲渡益が会社の所得に入り、この記事の法人の税がかかる。建物・設備・のれんなど課税資産の部分には消費税もかかる |
事業譲渡では、会社に残った売却代金をオーナーが受け取るときに、役員報酬・配当・清算分配として個人の税がもう一度かかります。個人オーナーが会社ごと手放すなら、株式譲渡のほうが手取りは多くなることが多いのはこのためです。
一方、会社に繰越欠損金がある、事業の一部だけを切り出したい、買い手が簿外債務を引き継ぎたくない、といった事情があれば事業譲渡が選ばれます。どちらが得かは、譲渡益の額・欠損金・退職金の支給余地で変わるので、条件が出た段階で税理士に両方の試算を頼むのが確実です。
自社の税負担を確かめるチェックリスト
- [ ] 期末の資本金が1億円以下か。資本金5億円以上の法人の100%子会社ではないか
- [ ] 直近の所得が800万円を超えているか(負担率が変わる境目)
- [ ] 法人税額が500万円を超えるか(防衛特別法人税がかかる境目。所得でおよそ2,440万円)
- [ ] 事務所がある都道府県の数と、超過税率を採っているか
- [ ] 資本金等の額と従業者数から、均等割がいくらか
- [ ] 事業年度の開始日が令和9年3月31日以前か(軽減税率15%の適用期限)
まずは「自分の会社がいくらか」を知るところから
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よくある質問
Q. 法人税の軽減税率15%は、令和9年4月以降に始まる事業年度にも使えますか。
現時点では使えるとは決まっていません。15%の特例は令和9年3月31日までに開始する事業年度が期限で、延長するかは令和9年度税制改正で決まります。延長されなければ、年800万円以下の部分は本来の19%に戻ります。
Q. 赤字の年は法人の税金はかかりませんか。
所得や法人税額にかかる税(法人税・地方法人税・防衛特別法人税・法人税割・法人事業税の所得割)はかかりません。ただし法人住民税の均等割は赤字でもかかり、資本金1,000万円以下の小さな会社でも最低で年7万円です。消費税や固定資産税も所得に関係なく納めます。
Q. 防衛特別法人税がかかるのは、どのくらいの所得からですか。
法人税額から基礎控除500万円を引いた額にかかるので、中小法人なら所得がおよそ2,440万円を超えたあたりからです。資本金1億円超の法人は所得全体に23.2%がかかるので、所得がおよそ2,160万円を超えるとかかり始めます。
まとめ
資本金1億円以下の会社の税負担は、所得800万円までは約22〜24%、所得3,000万円で約33%が標準税率での目安です。所得800万円を超えた部分に税率の段差があり、法人税額が500万円を超えると防衛特別法人税が加わります。
中小法人の軽減税率15%は令和9年3月31日までに開始する事業年度が期限です。自社の直近の所得を上の計算例に当てはめ、来期以降の納税額と資金繰りを見込んでおいてください。
参考
- 国税庁「No.5759 法人税の税率」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5759.htm
- 国税庁「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要(中小企業者等の法人税率の特例の見直し)」https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2025/pdf/F.pdf
- 国税庁「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要(防衛特別法人税の創設)」https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2025/pdf/E.pdf
- 国税庁「令和8年度 法人税関係法令の改正の概要」https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2026/01.htm
- 国税庁「防衛特別法人税に関する納付手続等について」https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/bouei_noufu/index.htm
- 国税庁「地方法人税の税率の改正のお知らせ」https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/chihou_hojin/01.htm
- 国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1463.htm
- 財務省「法人課税に関する基本的な資料」https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/c01.htm
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/20251226taikou.pdf
- 総務省「法人住民税」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_08.html
- 総務省「法人事業税」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_09.html
- 和歌山県「法人事業税の軽減税率不適用法人」https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/010500/kenzei/houjinjigyo/houjinjigyo_osameru_hikeigen.html
- 東京都主税局「特別法人事業税」https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/work/tokubetsu_houjin
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ジョブカンM&A ジョブカンM&A編集部
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