M&A企業一覧|公的な登録機関3,362社の探し方(M&A支援機関登録制度)と、比較すべき5つの軸

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目次
  1. この記事の結論
  2. 公的な「M&A企業一覧」はどこにあるか
    1. M&A支援会社の5つの類型
  3. M&A支援機関登録制度とは
    1. 登録の対象と主な要件
    2. 事業承継・M&A補助金との関係
    3. データベースの見方と更新の頻度
    4. トラブルがあったときの窓口
  4. 一覧の社名だけでは選べない理由
  5. M&A支援会社を比較する5つの軸
  6. 仲介型とFA型の違いを判定表で整理する
  7. レーマン方式の掛け目の目安
  8. 一覧を見る前に自社側で整理しておくこと
  9. 一覧を使った比較の進め方
  10. 一覧サイトの情報の見方で注意したいこと
  11. よくある質問
  12. まとめ
  13. 参考・一次情報

この記事の結論

  • 公的な「M&A企業一覧」は、中小企業庁のM&A支援機関登録制度のデータベースにある(登録3,362機関・2026年10月5日時点)。地域・業種・支援内容で絞り込める。
  • 比較すべきなのは、契約形態(仲介型かFA型か)・手数料体系・得意領域・専任担当者の実績・対応スピードの5つの軸。
  • 一覧を眺める前に、自社の売却・譲渡の希望条件(規模・業種・スケジュール)を整理しておくと、一覧の中から候補を絞り込みやすくなる。

公的な「M&A企業一覧」はどこにあるか

民間の比較サイトの一覧より先に見ておきたいのが、中小企業庁のM&A支援機関登録制度 登録支援機関データベースだ。中小M&Aガイドラインの遵守を宣言した支援機関だけが登録され、2026年10月5日時点で3,362機関が掲載されている。所在地・対応業種・支援内容(仲介/FA/マッチングサイト等)で絞り込める。

もう1つの入り口が、47都道府県すべてに設置されている事業承継・引継ぎ支援センター(中小企業基盤整備機構)だ。公的機関なので相談は無料で、民間の支援会社へつなぐ役割も担っている。どこから当たればよいか決まっていない段階では、ここが最初の窓口になる。

M&A支援会社の5つの類型

一覧を見るときは、社名を眺める前に、その会社がどの類型かを見分けると絞り込みが早い。

類型 主な立場 向いている案件
上場・大手仲介 仲介型 譲渡金額が大きく、買い手候補を広く探したい案件
金融機関系(銀行・証券の子会社) FA型が多い 既に取引のある金融機関に相談したい案件
マッチングプラットフォーム 場の提供 小規模で、自社で相手探しを進められる案件
士業系(税理士・会計事務所) FA型・仲介型の両方 顧問税理士がいて、財務の事情を把握している案件
公的支援機関 相談・紹介 進め方が決まっておらず、まず相談したい段階

この類型の違いが、次に述べる5つの比較軸のうち「契約形態」と「手数料体系」に直結する。

M&A支援機関登録制度とは

M&A支援機関登録制度は、中小企業庁が2021年8月に創設した、FA(フィナンシャル・アドバイザー)・仲介業者の登録制度だ。「中小M&Aガイドライン」の理解と普及を促し、支援機関に一定の規律をかけることで、中小企業が安心してM&Aを選べる環境をつくることを目的としている。

登録の対象と主な要件

対象は、中小企業とFA業務または仲介業務の契約を結び、手数料を受け取ってマッチングや手続きの進行を総合的に支援する事業者だ。仲介業務を行う金融機関なども含まれる。一方、デュー・ディリジェンス(DD)だけを行う士業や、マッチングサイトの提供だけを行うプラットフォーマーは登録の対象外になる。

主な登録要件は次のとおり(令和8年度公募要領による)。

  • 中小M&Aガイドラインの遵守を宣言し、その宣言を自社のホームページ等に掲載する
  • 手数料体系・支援業務の内容を報告し、データベースでの公表に同意する
  • 秘密保持条項の内容にかかわらず、顧客が情報提供受付窓口や事業承継・引継ぎ支援センターへ相談することを制約しない
  • 毎年度、前年度の支援実績を報告する(報告しないと登録を継続できない)

遵守事項に違反すると、登録の取消しや、期間を定めて登録しない措置がとられることがある。

事業承継・M&A補助金との関係

事業承継・M&A補助金の「専門家活用枠」では、FA・仲介の手数料は登録FA・仲介業者に支払ったものだけが補助対象になる。補助金の利用を考えているなら、相談先が登録されているかを最初に確かめておきたい。なお、DDの費用やマッチングサイトの利用料は、登録の有無にかかわらず補助対象になる。補助金の枠と申請の流れは事業承継・M&A補助金の解説にまとめている。

データベースの見方と更新の頻度

登録支援機関データベースでは、支援機関名・所在地のほか、M&A支援業務の専従者数、FA・仲介それぞれの成功報酬の算定方式(株価レーマン・移動総資産レーマンなど)、最低手数料、成約実績件数が一覧で見られる。最低手数料や成約実績件数で並び替えられるので、後述する「手数料体系」の比較にそのまま使える。「不適切な譲り受け側に係る情報共有の仕組み」への加盟の有無も表示されている。

新規の登録は、毎月月末までの申請分が翌月中旬ごろに中小企業庁のサイトで公表され、データベースに加わる(2026年9月24日に令和8年度公募の8月分が公表された)。掲載数は2026年10月5日時点で3,362件だ。

トラブルがあったときの窓口

登録された支援機関との契約や支援内容に問題があった場合は、M&A支援機関登録事務局の情報提供受付窓口に情報を寄せられる。紛争解決や助言を行う窓口ではない点には注意したい。登録支援機関は、窓口に相談したことだけを理由に、秘密保持義務違反として不利益に扱わないことを登録時に誓約している。

一覧の社名だけでは選べない理由

M&A仲介会社・M&Aアドバイザリー(FA)・M&Aプラットフォームは、ここ10年で急速に数が増えた。上場企業から専門特化型の小規模事務所まで、業態も規模もさまざまだ。

一覧に並ぶのは、社名・設立年・成約件数・所在地といった基本情報だ。候補を洗い出すには十分だが、ここから先の自社の売却・譲渡にとって最適な相手かどうかは一覧の外にある。理由は次の3つだ。

  1. 成約件数の多さが、自社の業種・規模との相性を保証しない:大手ほど成約件数は多いが、大企業向けの実績が中心で、小規模な中小企業の案件には不慣れな場合もある。
  2. 手数料体系が会社によって大きく異なる:着手金の有無、報酬の計算方法(レーマン方式の基準額の違いなど)は一覧情報だけでは見えない。
  3. 契約形態(仲介型かFA型か)が実質的な立場を左右する:同じ「M&A支援会社」でも、売り手・買い手双方の間に立つ「仲介型」と、片側の代理人として動く「FA(フィナンシャル・アドバイザー)型」とでは、担当者が誰の利益を最優先に動くかが違う。

M&A支援会社を比較する5つの軸

一覧から候補を絞り込むときは、次の5つの軸で情報を集めると、実質的な比較がしやすくなる。

1. 契約形態(仲介型/FA型)

仲介型は売り手・買い手の間に立って条件をまとめる。FA型は自社(売り手または買い手)の代理人として、相手側との交渉を有利に進める役割を担う。両者の担当者としての立場の違いは、次の判定表で整理できる。

2. 手数料体系

着手金・月額報酬(リテイナーフィー)・中間金・成功報酬をどう組み合わせているかは会社ごとに違う。特に成功報酬の算定方法として広く使われる「レーマン方式」は、譲渡金額の区分ごとに掛け目(料率)が変わる仕組みだ。

3. 得意領域(業種・地域・規模)

医療・介護、製造業、IT、飲食業など、得意とする業種は会社によって異なる。地域密着型か全国対応かという違いもある。

4. 専任担当者の実績・経験

会社としての実績が豊富でも、実際に自社を担当するのは1人の担当者だ。その担当者が同業種・同規模の案件をどれだけ手がけてきたかは、面談で直接確認する必要がある。

5. 対応スピードと専任体制

一人の担当者が同時に何件を抱えているかによって、対応スピードは大きく変わる。案件の掘り起こしから成約まで、平均してどの程度の期間がかかっているかも確認したい項目だ。

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仲介型とFA型の違いを判定表で整理する

比較項目 仲介型 FA型
立場 売り手・買い手の間に立つ中立的な立場 売り手または買い手、片側の代理人
契約の相手 売り手・買い手の双方と契約するのが一般的 依頼した一方とのみ契約
交渉の進め方 双方の条件をすり合わせてまとめる 依頼者の利益を最大化する交渉を行う
向いているケース 早期成約・スムーズな合意形成を重視する場合 価格・条件面で自社の利益を最優先したい場合
手数料負担 双方から受領する場合が多い(両手数料) 依頼した側のみが負担するのが一般的

中小企業のM&Aでは仲介型が広く使われているが、譲渡金額や条件面での交渉力を重視する場合は、FA型を選ぶ、あるいは仲介会社とは別に自社側のFA・顧問税理士を立てるという選択肢もある。

レーマン方式の掛け目の目安

成功報酬の算定でよく使われる「レーマン方式」は、譲渡金額を区分ごとに分けて、それぞれに異なる料率(掛け目)を掛けて合計する方式だ。会社によって基準額や区分の刻み方は異なるが、一般的な目安は次のとおり。

譲渡金額の区分 一般的な料率の目安
5億円以下の部分 5%
5億円超〜10億円以下の部分 4%
10億円超〜50億円以下の部分 3%
50億円超〜100億円以下の部分 2%
100億円超の部分 1%

中小企業のM&Aでは、譲渡金額が小さい案件ほど、この料率だけでは会社の採算が合わないため、最低手数料(例:数百万円〜)を別途設定している会社が多い。一覧上の「手数料無料」「着手金無料」といった表示だけでなく、最低手数料の有無まで確認しておくと、想定外の負担を避けられる。

一覧を見る前に自社側で整理しておくこと

比較の軸を理解したうえで、一覧を眺める前に、自社の状況を整理しておくと候補の絞り込みが早くなる。

  • [ ] 売却・譲渡を検討している時期・スケジュール感(急ぎか、数年単位で検討中か)
  • [ ] 想定する譲渡金額のレンジ(大まかな規模感でよい)
  • [ ] 自社の業種・事業内容を専門とする支援会社に心当たりがあるか
  • [ ] 複数社に相談する場合、比較のために同じ質問(手数料・担当実績・スケジュール)を用意しているか
  • [ ] 秘密保持契約(NDA)の締結タイミングと範囲を確認したか

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一覧を使った比較の進め方

実際の進め方としては、まず一覧から自社の業種・規模に近い実績を持つ会社を数社ピックアップし、初回相談(多くの場合は無料)で次の3点を必ず質問するとよい。

  1. 自社と同じ業種・同程度の規模の成約実績はどれくらいあるか
  2. 手数料の内訳(着手金・中間金・成功報酬・最低手数料)と、レーマン方式の基準額
  3. 担当者が現在何件を並行して担当しているか

一覧に載っている情報だけで決めるのではなく、複数社に同じ質問をぶつけて回答を比較することで、自社に合う相手かどうかの判断材料が揃う。焦って1社だけで決めず、比較する時間を確保しておきたい。

一覧サイトの情報の見方で注意したいこと

M&A企業一覧を掲載するサイトの中には、支援会社からの広告出稿・提携料をもとに掲載順を決めているものもある。上位に表示されているからといって、それが自社に最も適した会社とは限らない。一覧サイトを使う際は、次の点を頭に置いておくとよい。

  • 掲載順・ランキングの根拠が「実績」なのか「広告」なのかを確認する
  • 一覧に載っている「成約件数」は、会社全体の累計であって、自社と同規模・同業種の実績とは限らない
  • 一覧サイト自体が特定の支援会社の関連会社である場合、中立的な比較になっていない可能性がある

一覧はあくまで候補を洗い出すための入り口であり、最終的な判断は個別の面談・見積もりの比較を通じて行うものだ、という前提を崩さないようにしたい。

よくある質問

Q. 複数のM&A支援会社に同時に相談してもよいか。
A. 問題ない。ただし、専任契約(一定期間、特定の1社に独占的に依頼する契約)を締結すると、他社への並行相談ができなくなる場合がある。契約前にどの範囲まで独占されるのかを確認しておきたい。

Q. M&Aプラットフォーム(オンラインマッチング型)と仲介会社の違いは何か。
A. プラットフォーム型は、売り手・買い手が自らシステム上で相手を探し、交渉の一部を自分たちで進める形式が中心で、手数料を抑えられる傾向がある。一方、仲介会社は担当者が相手探しから交渉、契約書の調整まで伴走する分、手数料は高くなりやすい。自社でどこまで手続きを主体的に進められるかによって、向き不向きが分かれる。

Q. 無料相談だけで支援会社を決めてよいか。
A. 無料相談は、あくまで自社との相性や担当者の実務経験を見極める場と考えたい。複数社との面談を経て、手数料体系・契約内容を書面で比較したうえで契約するのが望ましい。

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まとめ

公的な「M&A企業一覧」は、中小企業庁のM&A支援機関登録制度のデータベース(3,362機関)と、47都道府県の事業承継・引継ぎ支援センターの2つで足りる。そこに並ぶ情報は比較の入り口だ。契約形態(仲介型かFA型か)、手数料体系(レーマン方式の基準額・最低手数料)、得意領域、担当者の実績、対応スピードという5つの軸で情報を集めて初めて、自社に合う相手かどうかを判断できる。

一覧を眺める前に、自社の希望条件(規模・業種・スケジュール)を整理しておくことが、遠回りに見えて実は一番の近道になる。

参考・一次情報

  • 中小企業庁「中小M&Aガイドライン」 https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/m_and_a_guideline.html
  • 中小企業庁「事業承継・引継ぎ支援」 https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/
  • 中小企業庁「M&A支援機関登録制度 登録支援機関データベース」 https://ma-shienkikan.go.jp/search
  • 中小企業基盤整備機構「事業承継・引継ぎ支援センター」 https://shoukei.smrj.go.jp/center/
  • 中小企業庁 財務課「M&A支援機関登録制度について(令和8年度)」 https://ma-shienkikan.go.jp/documents/20260529_M&A支援機関登録制度(令和8年度)について.pdf
  • M&A支援機関登録事務局「情報提供受付窓口」 https://ma-shienkikan.go.jp/inappropriate-cases

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