事業承継・M&A補助金【16次公募】2026年10月2日受付開始|4つの枠の補助上限・補助率、対象経費、必要書類と申請の流れ

事業承継・M&A補助金は、中小企業の事業承継やM&Aに伴う設備投資、専門家への費用、M&A後の統合(PMI)の費用などを補助する国の制度である。2026年9月4日に16次公募の公募要領が公表され、10月2日から申請受付が始まっている(2026年10月5日時点)。

申請受付は2026年10月2日(金)から11月6日(金)17時までで、電子申請システムのJグランツでのみ受け付ける。9月25日には、Jグランツの申請フォーム項目定義書と必要書類チェックリストも公開された。本稿では、16次公募の公募要領(Ver.1.0、2026年9月)と事務局の公開資料をもとに、枠ごとの補助額と申請準備を整理する。最新の情報と詳細は、必ず事務局サイトの公募要領で確認してほしい。

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目次
  1. 16次公募のスケジュール
  2. 4つの枠と補助上限・補助率
    1. 押さえておきたい条件
  3. 補助対象になる事業者
  4. 対象経費と事前着手のルール
    1. 枠ごとの主な対象経費
    2. FA・仲介費用は登録業者に限られる
    3. 交付決定前の契約は対象外
  5. 審査と加点項目
  6. 必要書類(専門家活用枠の例)
    1. 申請前に「項目定義書」と「必要書類チェックリスト」で確かめること
  7. 申請までの流れ
  8. 過去の採択状況
  9. よくある質問
    1. Q1. すでにM&Aの相手が決まっていても申請できるか
    2. Q2. 同じ回で専門家活用枠とPMI推進枠を同時に申請できるか
    3. Q3. 税務の扱いはどうなるか
  10. まとめ
  11. 参考

16次公募のスケジュール

項目 日程
公募要領の公表 2026年9月4日(金)
申請フォーム項目定義書・必要書類チェックリストの公開 2026年9月25日(金)
公募説明会 2026年10月9日(金)(申込は9月9日〜10月7日17時)
申請受付期間 2026年10月2日(金)〜11月6日(金)17:00
不備の差戻しを受けたい場合の提出目安 2026年10月29日(木)(締切の5営業日前。事務局が推奨)
補助事業期間 2027年1月下旬(予定)から14か月以内を想定
採択発表・交付申請 本稿執筆時点で確認した公募要領には日程の記載なし(事務局サイトで確認)

締切を過ぎた申請は受け付けない。申請にはGビズIDプライムのアカウントが必要で、発行には1〜2週間、混雑時は3週間程度かかる。受付はすでに始まっているので、未取得ならすぐに手続きを始めたい。

事務局は、締切の前日や当日に申請が集中すると、不備の指摘と修正の差戻しを複数回できず、不備が解消しないまま不採択になる可能性があるとしている。差戻しに対応したい場合は、締切の5営業日前(2026年10月29日)までの提出を勧めている。

4つの枠と補助上限・補助率

16次公募は、事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠・廃業・再チャレンジ枠の4つで構成される。枠や類型ごとに公募要領が分かれている。

枠・類型 対象 補助上限 補助率 補助下限
事業承継促進枠 5年以内に親族内承継・従業員承継を予定し、設備投資などを行う 800万円(賃上げ要件を満たせば1,000万円) 小規模事業者等は2/3、それ以外は1/2(800万円超の部分は1/2) 100万円
専門家活用枠 買い手支援類型 M&Aで株式・経営資源を譲り受ける 600万円(DD費用で+200万円) 2/3 50万円
専門家活用枠 売り手支援類型 M&Aで株式・経営資源を譲り渡す 600万円(DD費用で+200万円) 1/2(営業利益率の低下または赤字なら2/3) 50万円
専門家活用枠 小規模売り手支援類型 小規模事業者等が譲り渡す 450万円 2/3 なし
専門家活用枠 買い手支援類型(100億企業特例) 売上高100億円を目指す企業の大型の譲受け 2,000万円 1,000万円以下の部分は1/2、超える部分は1/3 50万円
PMI推進枠 PMI専門家活用類型 M&A後の統合に専門家を活用 150万円 1/2 50万円
PMI推進枠 事業統合投資類型 M&A後の統合に伴う設備投資など 800万円(賃上げ要件を満たせば1,000万円) 小規模事業者等は2/3、それ以外は1/2(800万円超の部分は1/2) 100万円
廃業・再チャレンジ枠(単独申請) 事業承継・M&Aに伴う廃業と再チャレンジ 300万円 2/3 50万円

他の枠と併せて廃業費を申請する場合は、事業承継促進枠・専門家活用枠(買い手・売り手)・PMI推進枠でそれぞれ300万円、小規模売り手支援類型で150万円が上限に加算される。

押さえておきたい条件

M&Aが成立しなかった場合、買い手・売り手支援類型と100億企業特例は補助上限が300万円に変わり、原則としてDD費用のみが対象になる。小規模売り手支援類型は上限50万円となり、着手金・システム利用料・DD費用が対象になる。

事業承継促進枠と事業統合投資類型で上限を1,000万円に引き上げるには、補助事業が完了した事業年度の翌年度に従業員1人当たり給与支給総額を3%以上引き上げることを、申請時までに従業員に表明する必要がある。未達なら引上げ額(最大200万円)の返還を求められる。

100億企業特例は、最低譲渡価額が5億円以上であること、補助事業者の「100億宣言」が申請時に公表済みであること、被承継者の従業員の雇用を3年間維持すること、DDを実施することなどが要件になる。不採択でも通常の買い手支援類型には移行しない。

PMI推進枠は、申請受付の終了時点でクロージング日から3年を超えていない取組が対象で、親族内の事業承継やグループ内の再編は対象外である。

補助対象になる事業者

補助対象は、中小企業基本法に準じた中小企業者と個人事業主である。

業種 資本金 従業員数
製造業その他 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下

資本金か従業員数のどちらかを満たせばよい。ソフトウェア業・情報処理サービス業、旅館業、ゴム製品製造業には別の基準がある。補助率が上がる小規模事業者等は、製造業その他で従業員20人以下、商業・サービス業で5人以下、宿泊業・娯楽業で20人以下である。

次の点に注意したい。

  • 医療法人、社会福祉法人、一般社団・財団法人、学校法人、組合などは対象外(個人開業医は中小企業者等に含まれる)
  • 法人は申請時点で3期分の決算と申告が完了していること
  • 個人事業主は開業届と青色申告承認申請書の提出から5年が経過していること
  • 大企業の出資比率が高い「みなし大企業」や、直近3年の課税所得の年平均が15億円を超える事業者は対象外

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対象経費と事前着手のルール

枠ごとの主な対象経費

枠・類型 主な対象経費
事業承継促進枠 設備費(1件税抜20万円以上)、産業財産権等関連経費、謝金、旅費、外注費、委託費
専門家活用枠 買い手・売り手支援類型 謝金、旅費、外注費、委託費(FA・仲介費用を含む)、システム利用料、表明保証保険料
廃業費(併用申請の場合) 廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、土壌汚染調査費、移転・移設費用
PMI推進枠 PMIの専門家活用費用、設備費、システム導入費、外注費、委託費など

事業承継促進枠では、被承継者に支払う譲受費用(土地や資産の購入費など)は対象外である。

FA・仲介費用は登録業者に限られる

専門家活用枠で、FA(ファイナンシャル・アドバイザー)やM&A仲介の費用を補助対象にできるのは、中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に登録された業者の支援に限られる。登録の確認は交付決定時に行われる。M&Aマッチングサイトの登録料・利用料・成約手数料はシステム利用料に区分される。

交付決定前の契約は対象外

補助対象経費は、交付決定日以降かつ補助事業期間内に契約・発注し、期間内に支払ったものに限られる。成功報酬を補助対象にするには、専門家との契約、相手方との最終契約、成功報酬の支払いのすべてが補助事業期間内に収まっている必要がある。

ケース 補助事業期間の開始前 補助事業期間中 終了後 対象になるか
① ― 専門家契約・最終契約・成功報酬支払 ― 対象
② 専門家契約 最終契約・成功報酬支払 ― 対象外
③ 専門家契約・最終契約 成功報酬支払 ― 対象外
④ ― 専門家契約・最終契約 成功報酬支払 対象外

すでに仲介会社と契約済みの案件は、原則として補助対象にならない。補助金の利用を考えるなら、専門家との契約前に申請スケジュールを確認することが重要である。

審査と加点項目

審査は、資格要件の審査のあと、事務局と外部有識者の審査委員会による書面審査で行われる。専門家活用枠の買い手支援類型では、財務内容の健全性、買収の目的・必要性、買収による効果と地域経済への影響、成長の見込みなどが着眼点になる。

各枠に共通する主な加点事由は次のとおりである。

  • 「中小企業の会計に関する基本要領」または「指針」の適用
  • 経営力向上計画・経営革新計画・先端設備等導入計画の認定または承認
  • (連携)事業継続力強化計画の認定
  • 地域未来牽引企業、健康経営優良法人、サイバーセキュリティお助け隊サービスの利用
  • えるぼし認定・くるみん認定、または従業員100人以下で一般事業主行動計画を公表
  • 事業化状況報告時点で従業員1人当たり給与支給総額を2%以上引き上げることを申請時に表明
  • 米国の追加関税措置による大きな影響

事業承継促進枠では、事業承継・引継ぎ支援センターまたは中小機構の地域本部の支援を受けて事業承継計画書を策定していること、アトツギ甲子園への出場なども加点になる。専門家活用枠では、小規模事業者等であることも加点事由である。

賃上げの加点を受けて採択されたのに未達だった場合は、未達の報告から18か月間、中小企業庁所管の補助金の申請で、正当な理由が認められない限り減点の対象になる。表明する前に、実現可能な計画かを確かめておきたい。

必要書類(専門家活用枠の例)

申請者 主な書類
法人 履歴事項全部証明書(申請日前3か月以内)、直近3期分の決算書、代表者の住民票(申請日前3か月以内)
個人事業主 住民票、直近3期分の確定申告書B第一表・第二表と青色申告決算書、開業届と青色申告承認申請書の写し(売り手支援類型は従業員1名の労働条件通知書も)
株式譲渡の対象会社(売り手支援類型) 履歴事項全部証明書、直近の確定申告書(別表一・二・四)、直近3期分の決算書、株主名簿、従業員1名の労働条件通知書

売り手支援類型で補助率2/3を希望する場合は、営業利益率の低下を示す計算書や損益計算書などを追加で出す。加点事由に該当する場合も、それを証明する書類が必要である。

事業承継促進枠では、認定経営革新等支援機関の確認を受けた事業承継計画が必要になり、廃業・再チャレンジ枠でも認定経営革新等支援機関の確認書が要る。枠ごとに書類が大きく違うため、該当する枠の公募要領で確認してほしい。

申請前に「項目定義書」と「必要書類チェックリスト」で確かめること

事務局は2026年9月25日、各枠の公募要領ダウンロードページにJグランツ申請フォーム項目定義書と必要書類チェックリスト(いずれもExcel)を掲載した。Jグランツに入る前に、手元で次の4点を確かめておくと差戻しを減らせる。以下は専門家活用枠(買い手・売り手支援類型)の資料による。

  • 自分の「フォーム番号」を確かめる。公募要領の「公募申請類型番号」とJグランツの「フォーム番号」は一致しない場合がある。たとえば個人事業主が事業を譲り渡す売り手支援類型は、類型番号が2、フォーム番号は4である。対応表はチェックリストの別シートにある。
  • 項目定義書で入力項目を洗い出す。フォームごとに、入力項目・選択肢・入力のヒント・入力例が並んでいる。「●」は必須、「△」は該当する場合に必須、「△(*)」は任意(加点事由)である。過去に経営資源引継ぎ補助金や事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)で採択されている場合は、その交付申請番号も入力する。
  • チェックリストで書類の期限と形式を見る。履歴事項全部証明書と住民票は申請日以前3か月以内に発行されたもの。住民票にマイナンバーが記載されていれば墨消しする。税務申告を電子で行っている場合は、受付を確認できる「メール詳細」か「受信通知」を追加で出し、それが無ければ納税証明書(その2)か課税証明書を出す。合同会社は、株主名簿の代わりに代表社員が記載された定款を出す。
  • 申請の作成を第三者に任せる場合は、行政書士証票の写しと委任契約書等の写しを、Zipにまとめず別々に提出する(公募申請の手引きP15)。

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申請までの流れ

  1. GビズIDプライムのアカウントを取得する
  2. 申請する枠・類型を決め、公募要領と必要書類を確認する
  3. 事業承継促進枠は認定経営革新等支援機関、専門家活用枠は登録FA・仲介業者などと計画を詰める(契約は交付決定後)
  4. 事業計画を作り、加点事由の証明書類をそろえる
  5. 2026年10月2日〜11月6日17時にJグランツで申請する(不備の差戻しに対応するなら10月29日までが目安)
  6. 採択後に交付申請を行い、交付決定を受けてから専門家との契約や発注に着手する
  7. 補助事業期間の終了後に実績報告を行い、確定した補助金を受け取る
  8. 補助事業期間の終了後も、事務局の指示に従って事業化状況を報告する(専門家活用枠は3年間)

補助金は事業完了後の精算払いである。支払いを先に自社で立て替える必要があるため、資金繰りの計画も欠かせない。

過去の採択状況

公募回 申請件数 採択件数
14次公募 512件 311件
15次公募 551件 338件

15次公募の内訳は、事業承継促進枠が申請190件・採択115件、専門家活用枠が申請312件・採択194件、PMI推進枠が申請47件・採択28件、廃業・再チャレンジ枠が申請2件・採択1件である(事務局サイトのお知らせ、2026年9月11日公表)。

よくある質問

Q1. すでにM&Aの相手が決まっていても申請できるか

専門家活用枠は、補助事業期間内に基本合意書または最終契約書を締結する予定の案件が対象である。ただし、補助事業期間の開始前に最終契約を締結した案件や、覚書で最終契約日を期間内に延ばしただけの案件は、原則として対象にならない。

Q2. 同じ回で専門家活用枠とPMI推進枠を同時に申請できるか

買い手支援類型とPMI推進枠のPMI専門家活用類型は、同じ公募回で同時に申請できる。同時申請でM&Aが補助事業期間内に実現しなかった場合、PMI専門家活用の経費は補助対象外になる。

Q3. 税務の扱いはどうなるか

補助金の収入や、事業譲渡に伴う消費税の扱いは個別の条件で変わる。事業譲渡の消費税は関連記事「事業譲渡の消費税」で整理しているが、実際の判断は税理士など専門家に確認してほしい。

まずは「自分の会社がいくらか」を知るところから

ジョブカンM&Aでは、専任アドバイザーが事業価値の簡易査定から成約まで一貫して伴走します。相談は無料。売却・買収のどちらでもお気軽にどうぞ。

まとめ

  • 16次公募の申請受付は2026年10月2日〜11月6日17時で、Jグランツのみで受け付ける
  • 専門家活用枠は買い手・売り手とも上限600万円(DDで+200万円)、小規模売り手は450万円、100億企業特例は2,000万円である
  • 事業承継促進枠と事業統合投資類型は上限800万円で、賃上げ要件を満たせば1,000万円になる
  • FA・仲介費用はM&A支援機関登録制度の登録業者に限られ、交付決定前の契約は対象外である
  • GビズIDプライムの取得に最大3週間程度かかるため、準備は早めに始める。差戻しに対応したいなら10月29日までに出す
  • 申請前に、項目定義書でフォーム番号と入力項目を、必要書類チェックリストで書類の期限を確かめる

参考

  • 事業承継・M&A補助金事務局(公式サイト) https://shoukei-mahojokin.go.jp/
  • 事業承継・M&A補助金 16次公募 事業承継促進枠 公募要領等ダウンロード https://shoukei-mahojokin.go.jp/r7h/16-succession_download/
  • 事業承継・M&A補助金 16次公募 専門家活用枠 公募要領等ダウンロード https://shoukei-mahojokin.go.jp/r7h/16-experts_download/
  • 事業承継・M&A補助金 16次公募 PMI推進枠 公募要領等ダウンロード https://shoukei-mahojokin.go.jp/r7h/16-pmi_download/
  • 事業承継・M&A補助金 16次公募 廃業・再チャレンジ枠 公募要領等ダウンロード https://shoukei-mahojokin.go.jp/r7h/16-challenge_download/
  • 事業承継・M&A補助金 16次公募 専門家活用枠 よくある質問 https://shoukei-mahojokin.go.jp/r7h/16-experts_faq/
  • 事業承継・M&A補助金 16次公募 専門家活用枠 公募申請手続き(申請期日5営業日前までの申請推奨・公募申請の手引き) https://shoukei-mahojokin.go.jp/r7h/16-experts_application/
  • 事業承継・M&A補助金 16次公募 専門家活用枠 必要書類チェックリスト(Excel) https://shoukei-mahojokin.go.jp/assets/documents/r7h/16-experts/check-list_experts.xlsx
  • 事業承継・M&A補助金 16次公募 専門家活用枠 Jグランツ申請フォーム項目定義書(Excel・Ver1.0 2026年9月25日) https://shoukei-mahojokin.go.jp/assets/documents/r7h/16-experts/performance-report_experts.xlsx
  • 中小企業庁「M&A支援機関登録制度」 https://ma-shienkikan.go.jp/
  • 中小機構「補助金活用ナビ 事業承継・M&A補助金のご案内」 https://seisansei.smrj.go.jp/subsidy_info/succession_subsidy.html

ジョブカンM&A ジョブカンM&A編集部

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