資金調達の方法|借りる・出資を受ける・資産を換える、の3系統で整理する

資金調達の解説は手段の一覧で終わることが多いが、中小企業の現場で決まるのは順番のほうである。

何を先に当たるかは、資金の使い道と返済の見込みで決まる。ここを飛ばして手段だけを比べても選べない。

まずは「自分の会社がいくらか」を知るところから

ジョブカンM&Aでは、専任アドバイザーが事業価値の簡易査定から成約まで一貫して伴走します。相談は無料。売却・買収のどちらでもお気軽にどうぞ。

目次
  1. 3系統に分けて考える
  2. デット(借りる)の中での選び方
    1. 借入先の順番
  3. 補助金・助成金は「資金調達」ではない
  4. アセット(資産を換える)
  5. 事業承継・M&Aの場面で使えるもの
  6. 調達前に整理しておく決算書の項目
  7. 資金繰り表を出せるかで結果が変わる
  8. よくある質問
    1. 銀行と公庫はどちらを先に当たりますか。
    2. ファクタリングは使ってよいですか。
    3. 増資と借入はどちらが有利ですか。
    4. 経営者保証は外せますか。
  9. まとめ
  10. 参考

3系統に分けて考える

系統 性質 主な手段
デットファイナンス(借りる) 返す。経営権に影響しない 金融機関の融資、社債、制度融資
エクイティファイナンス(出資を受ける) 返さない。経営権が薄まる 第三者割当増資、ベンチャーキャピタル
アセットファイナンス(資産を換える) 返さない。資産が減る 売掛債権の流動化、リースバック、遊休資産の売却

中小企業の大半はデットが中心になる。エクイティは株主構成が変わるため、事業承継を控えている会社では慎重に判断する。

デット(借りる)の中での選び方

資金の使い道 向く借り方 理由
運転資金(仕入、人件費、つなぎ) 短期借入、当座貸越、手形割引 回収サイクルと返済期間を合わせる
設備資金(機械、店舗、システム) 長期借入(設備の耐用年数に近い期間) 設備が生む利益で返す
一時的な資金繰り 当座貸越、公的制度のセーフティネット 都度の申込を減らせる

🔴 設備資金を短期借入で賄うと資金繰りが壊れる。設備は長期にわたって利益を生むのに、返済だけが先に来るためである。

借入先の順番

  1. 日本政策金融公庫 —— 創業・小規模事業者向け。無担保・無保証の制度がある
  2. 信用保証協会付きの制度融資 —— 自治体・金融機関・保証協会の三者で行う。金利の一部を自治体が補助する例がある
  3. 金融機関のプロパー融資 —— 保証協会を通さない。実績と信用が要る
  4. ノンバンク・ビジネスローン —— 早いが金利が高い。恒常的に使う資金では選ばない

取引実績のない会社が、いきなりプロパー融資を受けるのは難しい。公庫や保証協会付きから始めて、返済実績を積む。

補助金・助成金は「資金調達」ではない

補助金 助成金
所管 経済産業省系が多い 厚生労働省系が多い
審査 採択されないことがある 要件を満たせば原則支給
支給時期 多くは事業実施後の精算払い 同上

🔴 先に自己資金や借入で立て替える必要がある。「補助金が出るから買える」という計画は、つなぎ資金がないと成立しない。

採択が前提の資金繰り計画を立てない。

まずは「自分の会社がいくらか」を知るところから

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アセット(資産を換える)

  • 売掛債権の流動化(ファクタリング) —— 入金を前倒しできるが、手数料が実質的な金利になる。恒常的に使うと利益が痩せる
  • リースバック —— 不動産や設備を売却して賃借を続ける。現金化できるが賃料が固定費になる
  • 遊休資産の売却 —— 使っていない土地・設備。財務の見え方も改善する

遊休資産の売却は、事業承継の準備としても効く。買い手が評価しない資産を先に現金化しておくと、交渉が単純になる。

事業承継・M&Aの場面で使えるもの

制度・手段 使う場面
事業承継・引継ぎ補助金 承継に伴う設備投資、専門家費用
事業承継時の経営者保証解除に向けた支援 前経営者と後継者の二重の保証を避ける
日本政策金融公庫の事業承継・集約・活性化支援資金 株式取得資金、承継後の運転資金
信用保証協会の事業承継特別保証 一定の要件で経営者保証を不要にできる
LBO(買収先の資産・収益力を担保にした借入) 買い手が資金を調達する手段。中小規模では使いにくい

🔴 株式の買取資金は、個人では調達しにくい。後継者が株式を買い取る形の承継では、公庫の制度融資や持株会社を使った設計が検討される。

調達前に整理しておく決算書の項目

金融機関が見るのは、利益よりも返せるかどうかである。

  • 役員貸付金・仮払金 —— 会社の資金が社外に出ている状態。最も指摘される
  • 債務償還年数 —— (有利子負債 - 現預金)÷(営業利益 + 減価償却費)。10年を超えると厳しく見られる
  • 売掛金の年齢 —— 回収できていない古い債権
  • 在庫の実態 —— 不良在庫が資産に残っていないか
  • 他行の借入状況 —— 隠しても信用情報で分かる

役員貸付金を清算してから申し込むだけで、評価が変わることがある。

まずは「自分の会社がいくらか」を知るところから

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資金繰り表を出せるかで結果が変わる

決算書は過去の数字で、金融機関が知りたいのはこれから返せるかである。

  • 月次の資金繰り表(最低6か月、できれば12か月先まで)
  • 借入の使い道と、返済の原資
  • 売上の前提(どの取引先から、いくら)

「いくら足りないか」ではなく「なぜ足りなくなるか」を説明できるかが分かれ目になる。

よくある質問

銀行と公庫はどちらを先に当たりますか。

創業期や実績が薄い段階では公庫から。制度が整っており、無担保・無保証の枠もある。実績ができてから民間金融機関のプロパー融資へ広げる流れが一般的になる。

ファクタリングは使ってよいですか。

一時的な資金繰りには使える。ただし手数料が実質的な金利として重く、恒常的に使うと利益を圧迫する。継続して必要なら、資金繰りの構造そのものを見直す。

増資と借入はどちらが有利ですか。

返済義務の有無と、経営権への影響で判断する。増資は返さなくてよいが持分が薄まる。事業承継を控えている会社では、株主が増えることが将来の障害になりうる。

経営者保証は外せますか。

経営者保証に関するガイドラインの要件を満たせば、外せる可能性がある。法人と個人の資産の分離、財務基盤の強化、適時適切な情報開示の3つが軸になる。承継の場面では、前経営者と後継者から二重に取ることが原則禁止されている。

まとめ

  • 手段は多いが、性質は3系統。返すか/経営権に影響するか/資産が減るか
  • 設備資金を短期借入で賄わない。返済だけが先に来る
  • 借入先は公庫・保証協会付きから。実績を積んでプロパーへ広げる
  • 補助金は資金調達ではない。多くは後払いで、つなぎ資金が要る
  • ファクタリングを恒常的に使うと利益が痩せる
  • 役員貸付金の清算と資金繰り表の用意が、評価を最も動かす
  • 承継では経営者保証の扱いを先に決める

まずは「自分の会社がいくらか」を知るところから

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参考

ジョブカンM&A ジョブカンM&A編集部

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