廃業届の書き方と出す先|個人事業でセットになる5つの届出と、期限が違う理由

「廃業届」と呼ばれている書類の正式名称は、個人事業の開業・廃業等届出書である。

ただし、出すのはこれ1枚ではない。青色申告をしていたか、消費税の課税事業者だったか、従業員を雇っていたかで、最大5種類の届出が発生する。しかも期限がそれぞれ違う。

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目次
  1. 出す書類の一覧
    1. 予定納税をしている場合
  2. 個人事業の開業・廃業等届出書の書き方
    1. 提出の方法
  3. 廃業の日をいつにするか
  4. 届出を出す前に確認したい選択肢
  5. 法人の場合は手続きが違う
  6. よくある質問
    1. 廃業届を出さないとどうなりますか。
    2. 期限を過ぎてしまいました。
    3. 屋号の預金口座はどうなりますか。
    4. 開業と廃業を同じ年にした場合も出しますか。
    5. 廃業した年の確定申告はどうなりますか。
  7. まとめ
  8. 参考

出す書類の一覧

書類 出す先 期限 誰が出すか
個人事業の開業・廃業等届出書 税務署 廃業の日から1か月以内 全員
所得税の青色申告の取りやめ届出書 税務署 翌年3月15日まで 青色申告をしていた人
事業廃止届出書(消費税) 税務署 速やかに 消費税の課税事業者
給与支払事務所等の廃止届出書 税務署 廃止から1か月以内 従業員や専従者に給与を払っていた人
事業開始等申告書(廃止) 都道府県税事務所 自治体による(10日以内など) 全員

都道府県への届出を忘れる人が多い。税務署の書類だけ出して終わりにすると、個人事業税の課税が続いてしまうことがある。自治体のウェブサイトで様式と期限を確認する。

予定納税をしている場合

予定納税額の減額申請ができる。年の途中で廃業して所得が減る見込みなら、申請することで納付額を抑えられる。

  • 第1期・第2期分 —— 7月15日まで
  • 第2期分のみ —— 11月15日まで

申請しなければ、前年の所得をもとに計算された額をそのまま納めることになる。廃業した年の資金繰りに効く。

個人事業の開業・廃業等届出書の書き方

1枚の様式で、開業にも廃業にも使う。書くのは次の箇所である。

欄 書くこと つまずきやすい点
提出先の税務署 納税地を管轄する税務署 住所地・居所地・事業所のどれを納税地にしているかで変わる
届出の区分 「廃業」に丸を付ける 開業の様式と共通なので、印を付け忘れる
廃業の日 事業をやめた日 在庫の処分や売掛金の回収が残っていても、事業をやめた日でよい
廃業の事由 「事業を廃止したため」など 詳細を書く義務はない
事業の概要 行っていた事業の内容 開業届と同じ表現で足りる
給与等の支払の状況 従業員の有無 ここに記載があると、給与支払事務所の廃止届も必要になる

マイナンバーの記載と、本人確認書類の提示(または写しの添付)が要る。郵送で出す場合は写しを同封する。

提出の方法

  • 税務署の窓口へ持参
  • 郵送(控えを返してもらうなら、返信用封筒と切手を同封する)
  • e-Taxで電子申告

控えは必ず取っておく。金融機関や自治体の手続きで、廃業を証明する書類として求められることがある。

廃業の日をいつにするか

事業をやめた日を書くが、選べる幅がある。

  • 月末にすると、消費税や事業税の計算区切りが分かりやすい
  • 年末にすると、その年の確定申告で完結する
  • 在庫や設備の処分が残っている場合、処分してからにするか、処分前にするかで所得の計上年が変わる

廃業した年も確定申告が必要である。廃業日までの所得を、翌年の申告期限までに申告する。

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届出を出す前に確認したい選択肢

廃業届を出すと、その事業は終わる。次の3つは、出す前に一度検討する価値がある。

状況 検討すべきこと
黒字で、顧客や取引先が残っている 事業譲渡。得意先・従業員・許認可・屋号は、廃業では消えるが譲渡なら引き継げる
一時的に休みたいだけ 廃業届を出さずに、事業を休止するという扱いもある。ただし申告義務は残る
法人成りする 廃業届は出すが、設立と資産の引き継ぎをセットで設計する。個人の資産を法人へ移す方法で税負担が変わる

個人事業でも、事業単位で譲渡できる。顧客リスト、店舗の賃借権、従業員、屋号、仕入先との関係——これらに価値があるなら、閉じるより渡すほうが手取りが残ることがある。

設備を廃棄する前に、いくらで引き取ってもらえるかを見ておく。廃棄には費用がかかるが、譲渡なら収入になる。

法人の場合は手続きが違う

法人には「廃業届」に当たる1枚の書類が無い。解散・清算の登記と、税務上の異動届出が別々に必要になる。

個人事業 法人
登記 不要 解散登記・清算結了登記が必要
期間 届出を出せば完了 債権者保護手続きに2か月以上。実務では半年〜1年
費用 ほぼかからない 登録免許税・官報公告費用・専門家報酬
主な届出 開業・廃業等届出書ほか 異動届出書、解散・清算の確定申告

法人をたたむのは、個人事業をたたむより手間も費用もかかる。それだけに、譲渡を検討する価値も大きくなる。

よくある質問

廃業届を出さないとどうなりますか。

申告の督促が来ることがある。税務署の記録上は事業を続けていることになるため、確定申告の案内が届き続ける。個人事業税の課税も止まらない。

期限を過ぎてしまいました。

受け付けてもらえる。遅れたことによる罰則の定めは無い。気づいた時点で速やかに出す。

屋号の預金口座はどうなりますか。

金融機関の手続きが別に必要である。廃業届を出しても口座は自動では閉じない。取引のある金融機関へ確認する。

開業と廃業を同じ年にした場合も出しますか。

両方出す。開業届と廃業届の両方が必要になる。

廃業した年の確定申告はどうなりますか。

必要である。廃業日までの所得を、翌年の申告期限(原則3月15日)までに申告する。青色申告をしていたなら、その年は青色のまま申告できる。

まずは「自分の会社がいくらか」を知るところから

ジョブカンM&Aでは、専任アドバイザーが事業価値の簡易査定から成約まで一貫して伴走します。相談は無料。売却・買収のどちらでもお気軽にどうぞ。

まとめ

  • 「廃業届」の正式名称は個人事業の開業・廃業等届出書。期限は廃業の日から1か月以内
  • 出すのは1枚ではない。青色申告・消費税・給与支払事務所で最大5種類、期限もばらばら
  • 都道府県税事務所への届出を忘れやすい。忘れると個人事業税の課税が続く
  • 予定納税をしているなら減額申請ができる。申請しないと前年基準の額を納めることになる
  • 届出を出す前に、事業譲渡という選択肢を一度見る。顧客・従業員・許認可・屋号は、廃業では消える

参考

ジョブカンM&A ジョブカンM&A編集部

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