新事業進出補助金は第4回で終了|後継の新事業進出・ものづくり補助金 第1回の補助上限・対象経費・締切と、M&A・事業承継後に使えるかの判定表

「新事業進出補助金」は、2026年9月30日に第4回の採択結果が出て、公募を終えました。いま申請できるのは、後継の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」(以下、新事業進出・ものづくり補助金)です。第1回の申請受付は2026年9月30日(水)18時に始まり、締切は10月30日(金)18時です。

名前は似ていますが、公式サイトは「中小企業新事業進出補助金」「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」とは異なる補助金だと明記しています。新製品・サービスの開発、新市場への進出、輸出体制の強化を、「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3枠で募集しています。

この記事は、事業承継やM&Aの後に新しい事業へ出る、または買収した事業を伸ばしたい中小企業の経営者に向けて書いています。読み終えたら、自社が対象になるか、どの枠で出すか、そもそもこの補助金でよいかを判定表で決め、締切から逆算して準備を始めてください。数字は公募要領(第1回・1.3版、2026年9月28日改訂)で確かめています。

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目次
  1. 新事業進出補助金 第4回の採択結果は508者・採択率33.9%
  2. 新事業進出・ものづくり補助金 第1回のスケジュールと締切
  3. 新事業進出・ものづくり補助金の3つの枠と補助上限・補助率
    1. 新事業進出枠に当たらない例
  4. 新事業進出・ものづくり補助金の対象経費と、M&Aの買い手が外しやすい経費
  5. M&A・事業承継の後に新事業進出・ものづくり補助金を使えるかの判定表
  6. 新事業進出・ものづくり補助金と事業承継・M&A補助金の使い分け
  7. 新事業進出・ものづくり補助金で約束する3〜5年の要件と返還
  8. 新事業進出・ものづくり補助金の申請の流れ
  9. よくある質問
    1. Q. 新事業進出補助金の第5回はありますか。
    2. Q. 新事業進出補助金の第4回で不採択でした。第1回に申請できますか。
    3. Q. 買収した子会社と親会社の両方から申請できますか。
    4. Q. 買収した会社の工場を買い取る費用は補助されますか。
  10. まとめ
  11. 参考

新事業進出補助金 第4回の採択結果は508者・採択率33.9%

第4回は、締切(2026年6月19日)時点の応募1,499者のうち、508者が採択されました。採択率は約33.9%です。うち224者は、関税の影響に関する加点(関税加点)の対象でした。

公募回 応募 採択 採択率
第1回 3,006者 1,118者 約37.2%
第2回 2,350者 832者 約35.4%
第3回 1,212者 423者 約34.9%
第4回 1,499者 508者 約33.9%

採択率は毎回3割台で、応募した3社のうち2社は落ちています。第4回で採択された会社は、後で述べるとおり、新事業進出・ものづくり補助金の第1回には申請できません。

新事業進出・ものづくり補助金 第1回のスケジュールと締切

第1回の日程は途中で改められています。当初は「申請受付8月31日・締切9月30日・採択発表12月」でしたが、いまは次の日程です。古い日程のまま書かれた解説記事が残っているので注意してください。

段階 日程
公募開始 2026年6月29日(月)
申請受付開始 2026年9月30日(水)18:00
応募締切 2026年10月30日(金)18:00(厳守)
採択発表 2027年1月頃(予定)
交付申請 原則、採択発表日から2か月以内
補助事業の実施期間 新事業進出枠・グローバル枠は交付決定日から14か月以内(採択発表日から16か月以内)。革新的新製品・サービス枠は交付決定日から10か月以内(採択発表日から12か月以内)

交付決定より前に発注・契約した経費は補助の対象になりません。採択の通知が来ても、交付決定までは設備を発注しないでください。

新事業進出・ものづくり補助金の3つの枠と補助上限・補助率

枠は「何に挑むか」で分かれ、上限は従業員数で決まります。括弧内は賃上げ特例を使った場合の上限です。

枠 向いている取組 補助上限(従業員数別) 補助率 補助下限
革新的新製品・サービス枠 自社の技術で新しい製品・サービスを開発する 1〜5人:750万円(850万円)/6〜20人:1,000万円(1,250万円)/21〜50人:1,500万円(2,500万円)/51人以上:2,500万円(3,500万円) 中小企業者1/2(2/3)、小規模企業者・小規模事業者・再生事業者2/3 100万円
新事業進出枠 既存事業と違う製品等で、新しい顧客層の市場に出る 1〜20人:2,500万円(3,000万円)/21〜50人:4,000万円(5,000万円)/51〜100人:5,500万円(7,000万円)/101人以上:7,000万円(9,000万円) 1/2(2/3) 750万円
グローバル枠 新しい国・地域への輸出のために国内の製造拠点等を強化する 新事業進出枠と同じ 2/3 750万円

数字を読むときの注意が2つあります。

  • 「1/2(2/3)」の2/3は標準ではありません。地域別最低賃金の引上げで影響を受けた事業者向けの特例(2024年10月〜2025年9月に、改定後の最低賃金未満で雇っていた従業員が全体の30%以上の月が3か月以上ある)を使った場合の補助率です。
  • 賃上げ特例の上限は、枠の基本の上限に届く計画でないと使えません。特例では、1人当たり給与支給総額を年平均6.0%以上、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より50円以上高く保つ必要があり、未達なら引上げ分の全額を返します。

新事業進出枠の下限は750万円なので、補助率1/2なら補助対象経費1,500万円以上の計画が前提になります。

新事業進出枠に当たらない例

新事業進出枠は「自社にとって新しい製品等」かつ「自社にとって新しい顧客層」の両方が要ります。公募要領は、次のような計画を対象外としています。

  • 既存の製品等の製造量・提供量を増やすだけ
  • 過去に作っていた製品等を再び作る
  • 既存の製品等と市場が同じ(単なるメニュー追加など)
  • 既存の製品等で商圏を広げるだけ

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新事業進出・ものづくり補助金の対象経費と、M&Aの買い手が外しやすい経費

新事業進出枠の対象経費は、機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費です。グローバル枠はこれに海外旅費と通訳・翻訳費が加わり、革新的新製品・サービス枠は建物費が対象外です。

新事業進出枠とグローバル枠では機械装置・システム構築費か建物費のどちらか、革新的新製品・サービス枠では機械装置・システム構築費が必須です。

M&Aの後に申請するとき、計画に入れても補助されない経費があります。

経費 扱い
株式の購入費(買収代金) 対象外
不動産・構築物の購入費 対象外
建物の購入・賃借 対象外。建物費は建設・改修に限る
グループ会社・資本関係のある会社・同じ役員がいる会社への支払い 対象外(リース会社との共同申請で相見積もりを取る場合を除く)
自社の人件費、税理士・弁護士への決算・訴訟の費用 対象外
国の他の補助金等で既に受給の対象になっている経費 対象外

買収した会社から設備を引き取る、親会社が子会社に工事を発注する、といった取引は補助の対象になりません。

M&A・事業承継の後に新事業進出・ものづくり補助金を使えるかの判定表

M&Aや承継の後に申請するときに引っかかりやすいのは、「誰が申請者か」と「その事業は本当に新しいか」の2点です。公募要領の規定を、判定に使える形に並べます。

自社の状況 判定 根拠(公募要領)
親会社が子会社の議決権を50%超持っている(買収で子会社化した) グループで1申請だけ。親子が別々に出すと全社が要件を満たさない扱いになる みなし同一事業者(P10)
子会社化した会社が既にやっている事業を、親会社が新事業として申請する 対象外。容易に実施できる事業とみなされる 補助対象外となる事業②(P25)
公募開始日(2026年6月29日)時点で承継が確定していた 承継元と承継先を一体とみなし、両方の事業を既存事業として審査する。承継元が既にやっている事業は「新事業」にならない 補助対象外となる事業③(P25)
6月29日より後に承継・買収が確定した 承継元が既にやっている事業は、時期を問わず容易に実施可能な事業として対象外になる。一体とみなして審査する扱いの起点は公募開始日時点の確定分しか書かれていないので、申請前に事務局のコールバック窓口で確認する 補助対象外となる事業③(P25)
買収のために新しく設立した会社で申請する 新事業進出枠は創業後1年未満だと対象外。従業員0名ならどの枠も対象外 補助対象外となる事業者18・19(P22)
大企業の子会社になった(同一の大企業が株式の2分の1以上を持つ等) 対象外(みなし大企業) 補助対象外となる事業者20(P22)
新事業進出補助金の第4回で採択された(辞退していない) 対象外。締切日から16か月以内に採択された会社は申請できない 補助対象外となる事業者1(P21)
採択後、交付決定前に事業譲渡・会社分割をする予定がある 交付申請の権利は承継できない。採択された会社以外は交付決定を受けられない 採択後の留意事項(P53)

判定表の上半分に当てはまらず、承継した会社の経営資源を使って、承継元も自社もやっていなかった製品・顧客層に出る計画であれば、新事業進出枠の検討に進めます。

新事業進出・ものづくり補助金と事業承継・M&A補助金の使い分け

M&Aの前後で使える補助金は1つではありません。どちらが合うかは、お金を使う対象で決まります。

状況 向いている制度
買収・承継の後、新しい製品・顧客層の事業に出るために、総額1,500万円以上の設備や建物の建設・改修に投資する 新事業進出・ものづくり補助金(新事業進出枠)
買収した会社の技術を使って新製品・新サービスを開発する 新事業進出・ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
FA・仲介・デューデリジェンスなど、M&Aそのものにかかる専門家費用を抑えたい 事業承継・M&A補助金
買収後の統合(PMI)の専門家費用や、統合に伴う小規模な設備投資 事業承継・M&A補助金
親族内・従業員への承継を控え、承継を機に設備を入れる 事業承継・M&A補助金
買収した事業の既存製品を増産する、商圏を広げるだけ どちらも合わない。新事業進出枠の対象外で、自己資金や融資で進めるほうが早い
5年間の賃上げ計画を約束できない、まだ新事業の中身が固まっていない まだ早い。返還リスクを負ってまで申請しない

事業承継・M&A補助金は、新事業進出・ものづくり補助金の「補助対象外となる事業者」の採択歴の一覧には入っていません。ただし、同じ経費を両方で受け取ることはできません。事業承継・M&A補助金の枠と上限は「事業承継・M&A補助金の解説」で整理しています。

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新事業進出・ものづくり補助金で約束する3〜5年の要件と返還

採択されたら終わりではありません。補助事業の終了後3〜5年の事業計画期間で、次の要件を満たし続ける必要があります。

要件 内容 未達のとき
付加価値額 営業利益+人件費+減価償却費の年平均成長率4.0%以上 返還の規定は無い。達成状況は事業化状況報告で確かめられる
賃上げ 従業員1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上。交付申請時までに全従業員か従業員代表に表明する 未達成率に応じて返還。成長率がゼロ以下なら全額返還
事業場内最低賃金 毎年、地域別最低賃金より30円以上高い 未達の年ごとに、補助金額÷計画年数を返還
一般事業主行動計画 次世代育成支援対策推進法の行動計画を「両立支援のひろば」で公表 申請要件

付加価値額が増えず、計画期間の過半数で営業利益が赤字の場合などは、賃上げ未達の返還は求められません。

買収した会社の賃金水準が親会社より低いと、1人当たり給与支給総額の伸びを約束するのは重くなります。統合後の人事制度の見直しと賃上げ計画を同時に組み立ててから申請してください。

また、補助で取得した単価50万円以上の財産には処分の制限があり、事業計画期間中に大企業などへ事業を承継すると目的外使用になります。数年以内に会社を売る可能性があるなら、その前提で申請するかを決めてください。

新事業進出・ものづくり補助金の申請の流れ

  1. GビズIDプライムを取る。発行に1週間程度かかり、遅れても締切は延びません。
  2. 一般事業主行動計画を策定し、「両立支援のひろば」に公表する。掲載まで1〜2週間かかるため、2週間以上の余裕を見ます。
  3. 枠を決め、事業計画を作る。事務局の「経営戦略に基づく補助事業計画の考え方」と事業計画テンプレートを使えます。外部の支援を受けても、計画は申請者自身が作ります。支援者がいる場合は名前・支援内容・報酬額を申請画面に書きます。
  4. 融資を使うなら、金融機関の確認書をもらう。自己資金だけなら不要です。
  5. 電子申請システムで申請する(10月30日18時まで)。入力には数時間かかり、締切間際は混み合います。代理申請はできません。
  6. 口頭審査に備える。一定の審査基準を満たした事業者の一部が対象で、対象になるとメールで日時の予約が案内されます。予約は先着順です。オンラインで15分程度です。代表者など社内の人が対応し、コンサルタントの同席は認められません。
  7. 採択後、説明会に参加し、2か月以内に交付申請する。説明会に出ないと採択は無効になります。
  8. 交付決定後に発注し、期間内に事業を終えて実績報告する。その後、5年間(計6回)事業化状況を報告します。

M&Aの直後は、買収した会社の数字が自社の決算に入っていないことがあります。付加価値額や給与支給総額の基準をどの会社の数字で置くか、計画を作る前に整理しておくと口頭審査でも説明しやすくなります。

よくある質問

Q. 新事業進出補助金の第5回はありますか。

ありません。新事業進出補助金は第4回で公募を終えています。新事業への進出を支援する補助金に申請するなら、新事業進出・ものづくり補助金の新事業進出枠が受け皿になります。

Q. 新事業進出補助金の第4回で不採択でした。第1回に申請できますか。

第4回の不採択だけを理由に申請できなくなることはありません。申請できなくなるのは、締切日から16か月以内に採択された事業者(辞退した場合を除く)や、他の対象補助金で補助事業を実施中の事業者などです。不採択だった計画は、新規性と新しい市場の説明を見直してから出し直してください。

Q. 買収した子会社と親会社の両方から申請できますか。

できません。親会社が議決権の50%超を持つ子会社とはみなし同一事業者になり、1回の公募で1社しか申請できません。両方が申請すると、全社が要件を満たさない扱いになります。複数の事業は1つの事業計画書にまとめて書けます。

Q. 買収した会社の工場を買い取る費用は補助されますか。

されません。建物の購入費や不動産の購入費、株式の購入費は対象外です。建物費は、新事業のための建物の建設・改修に限られます。

まずは「自分の会社がいくらか」を知るところから

ジョブカンM&Aでは、専任アドバイザーが事業価値の簡易査定から成約まで一貫して伴走します。相談は無料。売却・買収のどちらでもお気軽にどうぞ。

まとめ

新事業進出補助金は第4回(応募1,499者・採択508者)で終わり、いまの申請先は新事業進出・ものづくり補助金です。第1回の締切は2026年10月30日18時です。

M&Aや承継の後に使うときは、承継元や子会社が既にやっている事業は「新事業」にならず、親子会社はグループで1申請しかできず、買収代金や建物の購入費は補助されないという3点を先に確かめてください。そのうえで、5年間の賃上げを約束できる新事業の計画があるかで、申請するかを決めます。

参考

  • 独立行政法人中小企業基盤整備機構「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」https://shinjigyou-monodukuri.smrj.go.jp/
  • 独立行政法人中小企業基盤整備機構「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)1.3版」https://shinjigyou-monodukuri.smrj.go.jp/assets/documents/shinmono_application_guidelines_01.pdf
  • 独立行政法人中小企業基盤整備機構「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募スケジュール」https://shinjigyou-monodukuri.smrj.go.jp/schedule/
  • 独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業新事業進出補助金 採択結果」https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/results
  • 中小企業新事業進出補助金事務局「新事業進出補助金 第4回公募の採択結果について」https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/docs/shinjigyou_koubo_gaiyou_04.pdf

ジョブカンM&A ジョブカンM&A編集部

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