「せいさん」には精算と清算の2つの漢字がある。読みが同じで、意味が違う。
日常の書類で書き分けを間違えても実害は小さいが、会社をたたむ場面では、どちらの話をしているかで手続きも期間もまったく変わる。
まずは「自分の会社がいくらか」を知るところから
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2語の違い
| 精算 | 清算 | |
|---|---|---|
| 意味 | 金額を細かく計算して、過不足を整理する | 法人格を消滅させ、財産関係を整理して終わらせる |
| 対象 | 費用・立替金・交通費など | 会社そのもの |
| 使う場面 | 経費精算、旅費精算、家賃の日割り精算 | 会社の解散・清算結了 |
| 手続き | 社内の規程で完結する | 登記・税務申告・債権者保護手続きが要る |
| 期間 | その場〜数日 | 最低2か月以上、実務では半年〜1年 |
「精」は細かい、「清」は清める。細かく計算するのが精算、きれいさっぱり終わらせるのが清算である。
書き分けの目安
- 経費精算・旅費精算・精算書 —— 金額の過不足を整理する。「精」
- 清算結了・清算人・特別清算 —— 会社を終わらせる。「清」
- 精算課税(相続時精算課税制度)—— 税額を後で精算する制度なので「精」
「清算する」を「支払いを済ませる」の意味で使うのは誤用に近い。契約書や決算資料では書き分ける。
会社の清算とは何をすることか
会社をたたむときの「清算」は、解散した会社の財産関係を整理して、法人格を消滅させるまでの一連の手続きを指す。
大まかな流れ
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | 株主総会の特別決議で解散を決議し、清算人を選任する |
| 2 | 解散および清算人選任の登記(解散から2週間以内) |
| 3 | 官報公告と、知れている債権者への個別の催告(2か月以上の期間が必要) |
| 4 | 財産の換価、債権の回収、債務の弁済 |
| 5 | 残余財産があれば株主へ分配 |
| 6 | 決算報告を株主総会で承認 |
| 7 | 清算結了の登記 |
3の債権者保護手続きが最低2か月かかるため、どれだけ急いでも2か月では終わらない。加えて解散の事業年度と清算中の事業年度で税務申告が発生する。
費用も発生する
登録免許税、官報公告費用、専門家への報酬などがかかる。「たためばお金がかからない」わけではない。
清算の種類
| 中身 | |
|---|---|
| 通常清算 | 債務を全額弁済できる場合。裁判所の関与なしに進む |
| 特別清算 | 債務超過の疑いがある場合など。裁判所の監督下で進む(株式会社のみ) |
債務が資産を上回っている場合、通常清算では進められない。特別清算か破産の手続きになる。
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清算の前に検討すること
清算は「終わらせる」手続きなので、そこから戻る道は無い。次の3つを先に確認しておく。
| 条件 | 検討すべき選択肢 |
|---|---|
| 黒字で、事業に一定の価値がある | 第三者への譲渡(M&A)。清算では取引先も従業員も許認可も残らないが、譲渡なら引き継げる |
| 後継者がいないだけで、事業は回っている | 事業承継。親族内・従業員承継・第三者承継のいずれか |
| 一時的に事業を止めたいだけ | 休眠という選択肢がある。清算すると法人格が消えるので戻せない |
| 債務超過で、支払いの見通しが立たない | 早めに専門家へ相談する。特別清算・破産・民事再生で扱いが変わる |
「たたむ」と決める前に、いくらで売れるかを一度見ておく価値はある。清算では残余財産の分配しか残らないが、譲渡なら営業権(のれん)が価格に乗ることがある。
従業員の雇用も分かれる。清算では全員が離職するが、譲渡なら雇用が継続する形にできる。
個人事業の場合は「廃業」
個人事業主には清算の手続きが無い。法人格が無いためである。税務署へ廃業の届出を出し、資産や債務は個人に残る。
混同されやすいが、法人の清算と個人事業の廃業は別の手続きである。
よくある質問
解散と清算は同じですか。
違う。解散は事業をやめることを決める行為で、清算はその後の財産整理の手続きである。解散しただけでは法人格は消えず、清算結了の登記で初めて消滅する。
清算結了までどのくらいかかりますか。
債権者保護手続きに2か月以上かかるため、最短でも2〜3か月。実務では財産の換価や税務申告を含めて半年〜1年を見込む。
清算中でも会社は存続しますか。
清算の目的の範囲内で存続する。新たな事業はできないが、債権回収や資産の売却はできる。
相続時精算課税制度の「精算」はどちらですか。
「精」である。贈与時に納めた税を相続時に精算する制度なので、金額の過不足を整理する意味になる。
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まとめ
- 精算は金額の過不足の整理、清算は法人格を消滅させる手続き。読みは同じでも別物
- 会社の清算は、債権者保護手続きだけで最低2か月。実務では半年〜1年かかる
- 債務超過なら通常清算では進められない。特別清算か破産になる
- 清算する前に、譲渡・承継・休眠の3つを検討する。清算からは戻れず、取引先も従業員も許認可も残らない
- 個人事業には清算が無い。廃業の届出になる
参考
この記事は、時点の情報を元に作成しています。
ジョブカンM&A ジョブカンM&A編集部
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