精算と清算の違い|どちらを使うかで手続きが変わる。会社をたたむ側が押さえる2語

「せいさん」には精算と清算の2つの漢字がある。読みが同じで、意味が違う。

日常の書類で書き分けを間違えても実害は小さいが、会社をたたむ場面では、どちらの話をしているかで手続きも期間もまったく変わる。

まずは「自分の会社がいくらか」を知るところから

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目次
  1. 2語の違い
    1. 書き分けの目安
  2. 会社の清算とは何をすることか
    1. 大まかな流れ
    2. 費用も発生する
  3. 清算の種類
  4. 清算の前に検討すること
  5. 個人事業の場合は「廃業」
  6. よくある質問
    1. 解散と清算は同じですか。
    2. 清算結了までどのくらいかかりますか。
    3. 清算中でも会社は存続しますか。
    4. 相続時精算課税制度の「精算」はどちらですか。
  7. まとめ
  8. 参考

2語の違い

精算 清算
意味 金額を細かく計算して、過不足を整理する 法人格を消滅させ、財産関係を整理して終わらせる
対象 費用・立替金・交通費など 会社そのもの
使う場面 経費精算、旅費精算、家賃の日割り精算 会社の解散・清算結了
手続き 社内の規程で完結する 登記・税務申告・債権者保護手続きが要る
期間 その場〜数日 最低2か月以上、実務では半年〜1年

「精」は細かい、「清」は清める。細かく計算するのが精算、きれいさっぱり終わらせるのが清算である。

書き分けの目安

  • 経費精算・旅費精算・精算書 —— 金額の過不足を整理する。「精」
  • 清算結了・清算人・特別清算 —— 会社を終わらせる。「清」
  • 精算課税(相続時精算課税制度)—— 税額を後で精算する制度なので「精」

「清算する」を「支払いを済ませる」の意味で使うのは誤用に近い。契約書や決算資料では書き分ける。

会社の清算とは何をすることか

会社をたたむときの「清算」は、解散した会社の財産関係を整理して、法人格を消滅させるまでの一連の手続きを指す。

大まかな流れ

順 やること
1 株主総会の特別決議で解散を決議し、清算人を選任する
2 解散および清算人選任の登記(解散から2週間以内)
3 官報公告と、知れている債権者への個別の催告(2か月以上の期間が必要)
4 財産の換価、債権の回収、債務の弁済
5 残余財産があれば株主へ分配
6 決算報告を株主総会で承認
7 清算結了の登記

3の債権者保護手続きが最低2か月かかるため、どれだけ急いでも2か月では終わらない。加えて解散の事業年度と清算中の事業年度で税務申告が発生する。

費用も発生する

登録免許税、官報公告費用、専門家への報酬などがかかる。「たためばお金がかからない」わけではない。

清算の種類

中身
通常清算 債務を全額弁済できる場合。裁判所の関与なしに進む
特別清算 債務超過の疑いがある場合など。裁判所の監督下で進む(株式会社のみ)

債務が資産を上回っている場合、通常清算では進められない。特別清算か破産の手続きになる。

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清算の前に検討すること

清算は「終わらせる」手続きなので、そこから戻る道は無い。次の3つを先に確認しておく。

条件 検討すべき選択肢
黒字で、事業に一定の価値がある 第三者への譲渡(M&A)。清算では取引先も従業員も許認可も残らないが、譲渡なら引き継げる
後継者がいないだけで、事業は回っている 事業承継。親族内・従業員承継・第三者承継のいずれか
一時的に事業を止めたいだけ 休眠という選択肢がある。清算すると法人格が消えるので戻せない
債務超過で、支払いの見通しが立たない 早めに専門家へ相談する。特別清算・破産・民事再生で扱いが変わる

「たたむ」と決める前に、いくらで売れるかを一度見ておく価値はある。清算では残余財産の分配しか残らないが、譲渡なら営業権(のれん)が価格に乗ることがある。

従業員の雇用も分かれる。清算では全員が離職するが、譲渡なら雇用が継続する形にできる。

個人事業の場合は「廃業」

個人事業主には清算の手続きが無い。法人格が無いためである。税務署へ廃業の届出を出し、資産や債務は個人に残る。

混同されやすいが、法人の清算と個人事業の廃業は別の手続きである。

よくある質問

解散と清算は同じですか。

違う。解散は事業をやめることを決める行為で、清算はその後の財産整理の手続きである。解散しただけでは法人格は消えず、清算結了の登記で初めて消滅する。

清算結了までどのくらいかかりますか。

債権者保護手続きに2か月以上かかるため、最短でも2〜3か月。実務では財産の換価や税務申告を含めて半年〜1年を見込む。

清算中でも会社は存続しますか。

清算の目的の範囲内で存続する。新たな事業はできないが、債権回収や資産の売却はできる。

相続時精算課税制度の「精算」はどちらですか。

「精」である。贈与時に納めた税を相続時に精算する制度なので、金額の過不足を整理する意味になる。

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まとめ

  • 精算は金額の過不足の整理、清算は法人格を消滅させる手続き。読みは同じでも別物
  • 会社の清算は、債権者保護手続きだけで最低2か月。実務では半年〜1年かかる
  • 債務超過なら通常清算では進められない。特別清算か破産になる
  • 清算する前に、譲渡・承継・休眠の3つを検討する。清算からは戻れず、取引先も従業員も許認可も残らない
  • 個人事業には清算が無い。廃業の届出になる

参考

ジョブカンM&A ジョブカンM&A編集部

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