M&Aのクロージングとは?当日にやることと、前提条件が満たせず延期になる3つの型

M&Aのクロージングは、株式や事業を実際に引き渡し、対価を受け取る日である。

最終契約を結んだ日とは別である。契約は「この条件で譲渡する」という約束で、クロージングはその実行にあたる。ここが同じ日だと思っていると、契約後の数週間から数か月の作業が想定から抜ける。

まずは「自分の会社がいくらか」を知るところから

ジョブカンM&Aでは、専任アドバイザーが事業価値の簡易査定から成約まで一貫して伴走します。相談は無料。売却・買収のどちらでもお気軽にどうぞ。

目次
  1. 最終契約とクロージングは別の日
  2. クロージング当日にやること
    1. 場所と時間
  3. 前提条件が満たせず延期になる3つの型
    1. 1. 表明保証に違反が見つかった
    2. 2. 許認可・同意が取れなかった
    3. 3. 社内の手続きが終わっていない
  4. 売り手が事前に片づけておくこと
  5. クロージング後に残る手続き
  6. よくある質問
    1. クロージングまでの期間はどのくらいですか。
    2. 前提条件が満たせなかったら契約は白紙ですか。
    3. 対価は一括で支払われますか。
    4. クロージング後に問題が見つかったらどうなりますか。
  7. まとめ
  8. 参考

最終契約とクロージングは別の日

最終契約(調印) クロージング(実行)
何をするか 譲渡の条件を確定して契約書に署名する 株式・事業を引き渡し、対価を受け取る
時期 交渉がまとまった時点 契約から数週間〜数か月後
間にあるもの — 前提条件の充足、許認可の取得、社内手続き

契約からクロージングまでの期間を空けるのは、その間にやらなければ実行できないことがあるためである。株主総会の承認、取引先の同意、許認可の移転、金融機関の手続きなどが該当する。

条件がすべて整っている場合は、契約と同日にクロージングすることもある。中小企業のM&Aでは同日に行う例も多い。

クロージング当日にやること

株式譲渡の場合、当日に交換されるのは主に次のものである。

売り手が渡すもの 買い手が渡すもの
株券(発行会社の場合)または株主名簿の名義書換に必要な書類 譲渡代金(着金の確認まで)
株主名簿 領収書の受領
会社の実印・銀行印・通帳・重要書類 —
役員の辞任届 新役員の就任承諾書
各種の許認可に関する書類 —

当日は「確認して交換する」だけの日にする。その場で条件を交渉する場ではない。着金を確認してから書類を渡すのが原則で、順序は事前に決めておく。

場所と時間

金融機関の営業時間内に設定する。着金の確認が当日にできないと、その日のうちに完了しない。午前中に始めて、午後に着金を確認する形が一般的である。

前提条件が満たせず延期になる3つの型

最終契約にはクロージングの前提条件(CP)が定められる。これが満たされないと、買い手はクロージングを拒否できる。

1. 表明保証に違反が見つかった

契約時に「こうです」と表明した内容が、実際と違っていた場合である。

  • 簿外債務が見つかった
  • 係争中の案件を開示していなかった
  • 主要な取引先との契約に、支配権が変わると解除できる条項があった

軽微なものは価格調整で処理されるが、重大なものは解除の理由になる。

2. 許認可・同意が取れなかった

  • 許認可が承継できない業種で、買い手側の新規取得が間に合わない
  • チェンジ・オブ・コントロール条項により、主要取引先や賃貸人の同意が要るのに取れない
  • 金融機関の借入について、保証や担保の切り替えが整わない

チェンジ・オブ・コントロール条項は、契約書を全部読まないと分からない。デューデリジェンスの段階で洗い出しておく。

3. 社内の手続きが終わっていない

  • 株主総会・取締役会の承認決議が取れていない
  • 譲渡制限株式の譲渡承認の手続きが済んでいない
  • 少数株主からの株式の集約が終わっていない

譲渡制限株式の承認は、会社法の手続きで期間が決まっている。逆算して動かないとクロージング日に間に合わない。

まずは「自分の会社がいくらか」を知るところから

ジョブカンM&Aでは、専任アドバイザーが事業価値の簡易査定から成約まで一貫して伴走します。相談は無料。売却・買収のどちらでもお気軽にどうぞ。

売り手が事前に片づけておくこと

クロージングで止まる原因の多くは、売り手側の準備で防げる。

やること いつまでに
株主名簿を実態に合わせる 早いほどよい。名義株がある場合は解消に時間がかかる
株券不発行の定款変更(株券発行会社の場合) 契約前
代表者個人の資産と会社の資産を分ける 早いほどよい。社長個人名義の不動産を会社が使っているケースは要整理
契約書一式を揃える デューデリジェンス前
未払残業代・社会保険の加入漏れを確認する デューデリジェンス前。指摘されてからでは価格に響く
役員退職金の決議 クロージングまで。株主総会の決議が要る

「あとで直します」で進めると、クロージング直前に価格の再交渉になる。早く出したほうが交渉上も有利になる。

クロージング後に残る手続き

当日で終わりではない。

  • 役員変更の登記(就任・辞任)
  • 株主名簿の名義書換
  • 金融機関の口座・借入の名義変更、代表者保証の解除
  • 許認可の届出(変更届・新規申請)
  • 取引先・従業員への説明
  • 税務署等への異動届

代表者保証の解除は、必ず書面で確認する。「解除する予定」のまま放置すると、譲渡後も旧経営者が保証を負い続けることになる。

よくある質問

クロージングまでの期間はどのくらいですか。

中小企業のM&Aでは、契約から1か月以内が多い。許認可の移転や独占禁止法の届出が必要な場合は数か月かかる。条件が揃っていれば契約と同日もある。

前提条件が満たせなかったら契約は白紙ですか。

契約書の定めによる。多くは、期限までに条件が満たされない場合に解除できる旨を定めている。期限(ロングストップ・デート)が設定されているかを契約時に確認する。

対価は一括で支払われますか。

一括が原則だが、分割やアーンアウト(業績連動の追加対価)が設定されることもある。分割の場合は、未払分の担保をどうするかを契約に定める。

クロージング後に問題が見つかったらどうなりますか。

表明保証違反として、補償請求の対象になり得る。請求できる期間と上限額が契約で定められているのが通常である。この条項は売り手にとって最も重要な条項のひとつなので、内容を必ず確認する。

まずは「自分の会社がいくらか」を知るところから

ジョブカンM&Aでは、専任アドバイザーが事業価値の簡易査定から成約まで一貫して伴走します。相談は無料。売却・買収のどちらでもお気軽にどうぞ。

まとめ

  • クロージングは最終契約とは別の日。間に前提条件の充足・許認可・社内手続きが入る
  • 当日は着金を確認してから書類を渡す。交渉する場ではない
  • 延期・解除になる型は3つ。表明保証違反/許認可・同意が取れない/社内手続きが未了
  • チェンジ・オブ・コントロール条項は契約書を全部読まないと分からない。デューデリジェンスで洗い出す
  • クロージング後も登記・名義変更・許認可の届出が残る。代表者保証の解除は書面で確認する

参考

ジョブカンM&A ジョブカンM&A編集部

ジョブカンM&Aは、株式会社DONUTSが運営するM&Aアドバイザリーサービスです。主に企業の事業承継、成長戦略、出口戦略(イグジット)といった多様なニーズに応えることを目的としています。最大の特徴は、累計導入社数20万社以上を誇るバックオフィス支援クラウドERPシステム「ジョブカン」の広範なネットワークを活用している点です。この強力な顧客基盤を生かし、効率的なマッチングを実現します。


他の関連記事はこちら