続柄の読み方は「つづきがら」|事業承継・相続の書類で使う書き方一覧

相続税の申告書、遺産分割協議書、株主名簿、役員の親族関係の届出。
事業承継の手続きでは、「続柄」を書く欄が次々に出てきます。

そして、書き方が書類ごとに違います。
戸籍では「長男」、住民票では「子」、確定申告では「長男」。
同じ人物を指しているのに、欄によって書く言葉が変わります。

この記事では、読み方から始めて、どの書類でどう書くかを一覧で整理します。

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目次
  1. 読み方は「つづきがら」が本来
  2. 書類ごとに書き方が違う
  3. 事業承継で「続柄」が効いてくる場面
    1. ① 相続税・贈与税の申告
    2. ② 非上場株式等の納税猶予(事業承継税制)
    3. ③ 株主名簿と、親族株主の整理
    4. ④ 役員の親族関係(同族会社の判定)
  4. 続柄の書き方一覧(相続・税務の書類向け)
  5. 誤りやすい3つのケース
  6. よくある質問
  7. まとめ
  8. 参考

読み方は「つづきがら」が本来

正式な読みは「つづきがら」です。
「ぞくがら」は慣用読みで、日常会話や実務では広く通用しています。

  • つづきがら … 本来の読み。公的な場面、放送用語ではこちら
  • ぞくがら … 慣用読み。役所の窓口でも通じる

⚠️ どちらで読んでも書類の効力は変わりません。
気にする必要があるのは、読み上げる場面(税務署や法務局での説明、
金融機関との面談)くらいです。

「続柄」が意味するのは、ある人(基準となる人)から見た親族関係です。
「基準が誰か」で答えが変わる、という点が、この欄でつまずく最大の理由です。

書類ごとに書き方が違う

同じ「長男」でも、書類によって書く言葉が変わります。

書類 基準となる人 長男の書き方 妻の書き方
戸籍謄本 戸籍の筆頭者 長男 妻
住民票 世帯主 子 妻
相続税の申告書 被相続人 長男 妻
遺産分割協議書 被相続人 長男(記載は任意) 妻
確定申告(扶養控除等申告書) 申告者本人 長男 または 子 妻
履歴書・身上書 本人 長男 妻

🔴 住民票だけが「子」でひとまとめになります。
2004年以降、住民票の続柄は「長男・二男」ではなく「子」と記載する運用に変わりました。
住民票を見て「長男か次男か」は判別できません。

したがって、出生順が必要な手続きでは戸籍が要ります。
相続で法定相続人を確定するときに戸籍謄本の連続した取得が必要なのは、この理由です。

事業承継で「続柄」が効いてくる場面

① 相続税・贈与税の申告

相続税の申告書には、相続人ごとに被相続人との続柄を記載します。
続柄によって、次が変わります。

  • 法定相続分(配偶者と子、配偶者と直系尊属、配偶者と兄弟姉妹で割合が違う)
  • 相続税の2割加算(配偶者・一親等の血族以外が取得した場合、税額が2割増しになる)
  • 配偶者の税額軽減(配偶者は法定相続分または1億6,000万円まで課税されない)

🔴 2割加算がいちばん効きます。
孫に自社株を直接渡すと、代襲相続人である場合を除いて2割加算の対象です。
「1世代飛ばして節税」と考えていると、逆方向に効くことがあります。

② 非上場株式等の納税猶予(事業承継税制)

自社株の贈与・相続にかかる税を猶予する制度です。
後継者が先代経営者の親族である必要は、現在はありません。
2015年以降、親族外承継も対象になっています。

ただし、要件の判定では続柄が出てきます。

  • 先代経営者と同族関係者で議決権の過半を保有していたか
  • 後継者が同族内で筆頭株主であったか

「同族関係者」の範囲は6親等内の血族・配偶者・3親等内の姻族(法人税法上の特殊関係者)
で、ここは続柄の話そのものです。

③ 株主名簿と、親族株主の整理

中小企業では、株式が兄弟・叔父・従兄弟に分散していることがよくあります。
M&Aや承継の前に、誰がどの続柄で何株持っているかを一覧にするところから始まります。

⚠️ 株主名簿と実態がずれている会社が多いのが実情です。
名義株(他人名義で登録されているが実質は別人の株)が混ざっていると、
譲渡の同意を取る相手を間違えます。

④ 役員の親族関係(同族会社の判定)

法人税法上の同族会社かどうかは、上位3株主グループが議決権の50%超を
持っているかで判定します。ここでの「グループ」は親族を含みます。

役員報酬の損金算入や、留保金課税の適用に効いてきます。

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続柄の書き方一覧(相続・税務の書類向け)

被相続人・申告者本人を基準にした場合の一般的な書き方です。

関係 書き方
夫 夫
妻 妻
長男・二男・三男 長男/二男/三男(「次男」ではなく「二男」が戸籍の表記)
長女・二女・三女 長女/二女/三女(「次女」ではなく「二女」)
養子 養子
父・母 父/母
養父・養母 養父/養母
祖父・祖母 祖父/祖母
兄・弟・姉・妹 兄/弟/姉/妹
孫 孫
甥・姪 甥/姪
配偶者の父母 義父/義母(戸籍上は「妻の父」等)
内縁の配偶者 法定相続人ではない。続柄欄には該当なし

🔴 戸籍の表記は「二男」「二女」です。「次男」「次女」は日常表記で、
戸籍・登記の書類では「二男」「二女」と書くのが正確です。

誤りやすい3つのケース

① 養子

養子は、実子と同じ第一順位の法定相続人です。
ただし相続税の基礎控除の計算では、算入できる養子の数に制限があります。

  • 実子がいる場合 … 養子は1人まで
  • 実子がいない場合 … 養子は2人まで

⚠️ 特別養子縁組による養子、配偶者の連れ子を養子にした場合などは、実子として扱われます。
孫を養子にして基礎控除を増やす手法は、この制限にかかります。

② 代襲相続

子が先に亡くなっている場合、孫が代襲相続人になります。
このとき、孫は2割加算の対象になりません(代襲相続人である場合の例外)。
一方、子が存命なのに孫へ遺贈すると2割加算の対象です。同じ「孫」でも扱いが違います。

③ 半血兄弟姉妹

父母の一方だけが同じ兄弟姉妹(半血)の法定相続分は、
父母の双方が同じ兄弟姉妹(全血)の2分の1です(民法900条4号)。
兄弟姉妹が相続人になる場面(子も直系尊属もいない場合)で効いてきます。

よくある質問

Q. 「続柄」の欄に「本人」と書く場面はありますか。
あります。住民票の世帯主本人、確定申告書の申告者本人などです。
基準となる人自身なので「本人」と書きます。

Q. 事実婚のパートナーは書けますか。
住民票では「同居人」「未届の妻(夫)」と記載されることがありますが、
法定相続人ではありません。事業承継で資産を渡すなら、遺言や生前贈与が必要で、
かつ相続税は2割加算の対象になります。

Q. 「長男」の下に女の子がいて、その下に男の子がいる場合、下の男の子は?
男女で別々に数えるので、「二男」です。「三男」ではありません。

Q. 株主名簿に続柄を書く義務はありますか。
会社法上の記載事項ではありません(氏名・住所・株式数・取得日が法定事項)。
ただし承継の実務では、親族関係を併記した一覧を別に作っておくと判断が速くなります。

まずは「自分の会社がいくらか」を知るところから

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まとめ

「続柄」の読みは「つづきがら」が本来、「ぞくがら」が慣用で、
どちらでも実務上の問題はありません。

実際に効くのは読み方ではなく、書類ごとに書き方が違うという点です。

  • 住民票は「子」でひとまとめ。出生順が要る手続きでは戸籍が必要
  • 戸籍・税務の書類は「二男」「二女」(「次男」ではない)
  • 相続税では続柄で税額が変わる —— 配偶者と一親等の血族以外は2割加算、
    養子は基礎控除への算入数に制限がある

事業承継の準備で最初にやることは、親族関係図と株主名簿を1枚に重ねることです。
誰がどの続柄で何株持っているかが一覧になると、
2割加算の当たり方も、同意を取る相手も、その場で見えるようになります。

参考

  • 民法 第887条〜第890条(相続人)、第900条(法定相続分)
  • 相続税法 第18条(相続税額の加算)、第19条の2(配偶者の税額軽減)
  • 相続税法 第15条(遺産に係る基礎控除、養子の数の制限)
  • 法人税法 第2条第10号(同族会社)、法人税法施行令 第4条(特殊の関係のある個人)
  • 中小企業庁「事業承継ガイドライン」
  • 国税庁「相続税の申告のしかた」
  • 住民基本台帳法(住民票の記載事項)

ジョブカンM&A ジョブカンM&A編集部

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