会社の売却やM&Aを検討し始めると、必ず出てくるのが「キャピタルゲイン」という言葉です。キャピタルゲインとは、株式や不動産などの資産を売却した際に生じる差益(値上がり益)のことを指します。
M&Aの場面では、経営者が創業時から保有してきた自社株式を譲渡して得る「創業者利益」が、キャピタルゲインの典型例です。会社を売却したとき、手元にいくら残るのかは、このキャピタルゲインとそれにかかる税金によって決まります。
この記事では、キャピタルゲインの意味、インカムゲインとの違い、M&A・株式譲渡での税金と計算方法までを、経営者の視点でわかりやすく整理します。
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キャピタルゲインとは?
キャピタルゲインとは、保有している資産を取得したときの価格よりも高く売却できた場合に得られる差益のことです。対象となる資産は、株式・投資信託・不動産・仮想通貨など幅広くあります。
たとえば、1株1,000円で取得した株式を1,500円で売却すれば、差額の500円がキャピタルゲインです。反対に、取得価格より安く売却して損失が出た場合は「キャピタルロス」と呼びます。
M&Aにおいては、オーナー経営者が保有する株式を買い手に譲渡することで生じる利益が、これに当たります。長年かけて育てた会社の価値が、売却によって現金化される——これがM&Aにおけるキャピタルゲインの本質です。
キャピタルゲインとインカムゲインの違い
キャピタルゲインとよく対比されるのが「インカムゲイン」です。両者は利益の得られ方が根本的に異なります。
- キャピタルゲイン:資産を「売却」して得る差益。株式の売却益、不動産の売却益など。一度に大きな利益を得られる可能性がある一方、値下がりリスクもある
- インカムゲイン:資産を「保有し続ける」ことで継続的に得る収益。株式の配当金、預金利息、不動産の家賃収入など。金額は比較的安定するが、一度に大きくは増えにくい
会社経営に置き換えると、事業を続けて毎年得る利益(役員報酬や配当)がインカムゲイン、会社そのものを売却して得る利益がキャピタルゲインというイメージです。M&Aによる会社売却は、将来のインカムゲインを、まとまったキャピタルゲインとして一度に受け取る選択でもあります。
M&A・株式譲渡におけるキャピタルゲイン
中小企業のM&Aで最も一般的な手法が「株式譲渡」です。オーナーが保有する株式を買い手へ譲渡し、その対価を受け取ります。このとき生じる譲渡益がキャピタルゲインです。
概算は、次の式で考えます。
売却価額 - 取得原価 - 譲渡に要した費用 = 譲渡益(キャピタルゲイン)
創業オーナーの場合、取得原価は設立時の出資額であることが多く、会社が成長していれば売却価額との差が大きくなり、キャピタルゲインも大きくなります。これが「創業者利益」と呼ばれるものです。
なお、会社の出口戦略として、株式譲渡によるキャピタルゲインを狙うか、事業を継続して役員退職金などで受け取るかは、税負担も含めて検討すべき論点です。詳しくはM&Aを活用した「役員退職金」の適正額計算シミュレーションもあわせてご覧ください。
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キャピタルゲインにかかる税金と計算方法
キャピタルゲインには税金がかかります。対象資産によって税率が異なる点に注意が必要です。
個人が株式を譲渡した場合
個人がM&Aで株式を譲渡して得たキャピタルゲインには、申告分離課税で20.315%が課されます。内訳は次のとおりです。
- 所得税:15%
- 復興特別所得税:0.315%
- 住民税:5%
株式譲渡益は他の所得と分離して課税されるため、譲渡益がいくら大きくても税率は原則一定です。
計算はシンプルで、次のようになります。
譲渡益 × 20.315% = 税額
たとえば、譲渡益(キャピタルゲイン)が1億円であれば、税額は約2,031万円、手取りは約7,969万円となります。
法人が株式を譲渡した場合
売り手が法人の場合は、譲渡益が益金として法人の他の所得と合算され、法人税等(実効税率でおおむね30%前後)が課されます。個人とは課税の仕組みが異なるため、株式の保有形態によって手取りが変わります。
その他の資産の税率(参考)
- 不動産:保有期間5年超で20.315%、5年以下で39.63%
- FX:20.315%
- 仮想通貨:総合課税で5〜45%(所得額に応じて変動)
M&Aでキャピタルゲインを最大化するために
会社売却で得られるキャピタルゲインは、売却価額だけでなく、スキームの選び方や税務の設計によって手取り額が変わります。
- 株式譲渡か事業譲渡か:手法によって課税の対象・時期が変わる
- アーンアウト条項の有無:対価の受け取り時期が分かれると課税時期も変わる
- 企業価値の適正な評価:そもそもの売却価額を高めることがキャピタルゲイン最大化の起点
これらは専門的な判断を伴うため、M&A仲介会社や税理士など専門家と連携しながら進めるのが一般的です。会社を「継ぐか売るか」で迷う段階であれば、家業を継ぐか売るか——第三の選択肢と事業承継型M&Aも判断の参考になります。
まとめ:キャピタルゲインは「差益」、税率は原則20.315%
キャピタルゲインとは、資産を売却して得る差益のことで、M&Aでは創業オーナーが株式譲渡で得る創業者利益がこれに当たります。保有し続けて得るインカムゲインとは、利益の得られ方が異なります。
- 個人の株式譲渡益 → 申告分離課税20.315%(一定)
- 法人の株式譲渡益 → 法人税等(実効税率30%前後)
会社売却で実際に手元に残る金額は、売却価額からこの税金を差し引いた額です。キャピタルゲインとその税負担を正しく理解したうえで、専門家とともに最適な出口戦略を設計することが、納得のいくM&Aにつながります。
この記事は、時点の情報を元に作成しています。
ジョブカンM&A ジョブカンM&A編集部
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