資本業務提携と子会社化の決定的な違い:経営支配・財務・税務影響を徹底比較

「競争力を高めたい」「一回り大きく成長したい」と考えている企業は、他社との提携や子会社化を視野に入れることがあります。2つの方法のうちどちらがいいかを検討するためには、それぞれのメリットやデメリットをよく理解しておく必要があります。そこで今回は、資本業務提携と子会社化の違いや、実施する場合の流れなどを詳しく解説していきます。

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目次
  1. 資本業務提携とは?
    1. 資本提携
    2. 業務提携
  2. 資本業務提携の具体例
  3. 資本業務提携の手法
    1. 資本提携の手法
      1. 株式譲渡(相対取引)
      2. 公開買い付け(TOB)
      3. 第三者割当増資
    2. 業務提携の手法
      1. 販売提携
      2. 生産提携
      3. 技術提携
  4. 子会社化とは?
  5. 資本業務提携と子会社化の違い
    1. 支配関係があるかどうか
    2. 経営の独立性
    3. 資本の取得
    4. 財務報告および監査
    5. 法的リスク
    6. 税務上の影響
  6. 資本業務提携のメリット、デメリット
    1. 資本業務提携のメリット
      1. 強い協力関係を築ける
      2. 資本や資金を共有できる
      3. 技術やノウハウを共有できる
      4. 競争力が向上する
      5. コストを削減できる
      6. 成長スピードが上がる
      7. 市場拡大を実現しやすい
      8. 業界のトップに立てる可能性が高まる
      9. リスクを分散できる
      10. 規制に対処しやすくなる
      11. 価値の創造・向上を実現しやすい
    2. 資本業務提携のデメリット
      1. 株式購入のために資金が必要な場合がある
      2. 文化の違いによる対立が生じやすい
      3. 戦略の不一致による対立が生じやすい
      4. リソースの適切な配分に労を要する場合がある
      5. 紛争リスクがある
      6. 統合プロセスが複雑である
      7. 契約が複雑である
      8. (競合相手との資本業務提携の場合など)情報漏洩リスクが高まる
      9. 競争法に違反する可能性がある
      10. 市場が変化する場合がある
      11. 資本業務提携自体が失敗となる可能性がある
      12. 提携の解消が簡単ではない
  7. 資本業務提携の流れ
    1. 資本業務提携の目的やニーズを明らかにする
    2. 提携相手を選定する
    3. 提携候補企業の財務的・法的評価をおこなう
    4. 交渉および契約
    5. 株主総会または取締役会で承認を得る
    6. 許認可を取得する
    7. 経営陣を選定する
    8. 統合を進める
    9. モニタリングおよび評価
  8. 資本業務提携と子会社化のどちらが最適の選択となるかをよく考えよう

資本業務提携とは?

まずは、資本業務提携の概要から説明していきます。
資本業務提携とは、複数の企業または組織が、資本面と業務面の両方において連携することによって、双方にとっての利益を追求していく提携をいいます。
資本面、事業面それぞれの連携については次の通りです。

資本提携

資本面での連携のことを「資本提携」といいます。一方の企業がもう一方の企業の株式を取得または出資して、相手企業の株主となります。株式を取得または出資する側の企業は、相手企業の経営に影響を及ぼす場合があります。ただし、基本的には、増資の引き受けなどによって経営権を取得しない程度の株式取得に留めることになります。また、資本提携は、議決権の取得や戦略的パートナーシップの確立を可能にします。

業務提携

業務面での連携のことを「業務提携」といいます。具体的には、提携企業間で特定の業務またはプロジェクトに関して協力し合い、リソースやノウハウを共有することをいいます。業務提携することによって、事業の効率性や競争力が向上して、新たな市場やビジネスチャンスを獲得できる可能性が高まります。

資本業務提携の具体例

資本業務提携の具体的な内容や提携方法は、提携する企業や業界、戦略的目標などによって異なります。よくある資本業務提携のカタチとしては、次のようなものが挙げられます。

  • 共同投資: 2社以上の企業が共同で新しいプロジェクトや事業を開始。資金についても共同で出資する
  • 市場進出の支援: 国際市場への進出を検討している企業が、現地のパートナー企業と提携して市場に参入する
  • 技術共有: 技術や研究開発分野での提携によって、新製品やサービスの開発を推進させる
  • 生産効率向上: 製造業において、生産効率向上を目的に生産施設や資源を共有する
  • 市場展開: 販売ネットワークを共有することによって、新たな市場への展開を支援する
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    資本業務提携の手法

    資本業務提携の手法は、「資本提携」と「業務提携」にわけて考えるとわかりやすいです。

    資本提携の手法

    資本面における主な提携方法は、「株式譲渡(相対取引)」「公開買い付け(TOB)」「第三者割当増資」となります。

    株式譲渡(相対取引)

    株式譲渡とは、自社の発行済株式を譲渡することによって資本提携する方法です。
    未上場企業の場合、株式が市場で流通していないことから、基本的には、買い手と売り手が価格面などの条件に合意したうえで直接取引することになりますが、これを「相対取引」といいます。
    非上場企業の場合、株式の譲渡に制限を設けている場合が多いですが、譲渡制限がある場合は、原則として株主総会または取締役会による決議が必要です。
    なお、「未上場企業」と「非上場企業」には明確な法的区別はありませんが、前者は、「上場を目指している」という含みがありますが、「非上場企業」は、「上場する予定がない」また「は上場を辞めた」というニュアンスを含んでいます。
    また、資本提携においては、株式の取得は、経営権を取得しない範囲までに収めることが原則です。

    公開買い付け(TOB)

    公開買い付け(TOB)とは、買付価格や買付予定数、買付期間などを交付して、市場外にて不特定多数から株式を買い集める手法です。
    なぜ、市場内ではなく市場外で買付をおこなうかというと、上場企業の場合、市場内で大量の株式を買い付けると、株価=買収価格が上昇するリスクがあるためです。このことから、資本業務提携において上場企業の株式を取得する際には、TOBの手法が用いられるケースが大半です。また、株主に対して公正な取引機会を提供することを目的に、TOBが活用されることもあります。

    なお、次の条件に合致する場合などは、相対取引ではなく、公開買い付け(TOB)によって株式を取得することが、金融商品取引法第27条の2によって義務付けられています。

  • 60日間に10名以内が買付をおこない、株券などの所有割合が1/3を超える場合
  • 株券などの所有割合が5%を超える場合(60日間に買付する人数が10名以下の場合を除く)
  • 参照:e-GOV「金融商品取引法」

    第三者割当増資

    第三者割当増資とは、特定の第三者に対して、新株を発行および交付する手法です。
    株式の売却ではなく増資となるため、売り手にとっては、譲渡益に対して課税されないということになります。既存株主に変動が生じることもありません。そのため、既存株主の地位を守りつつも、他社とのパートナーシップの確立・強化にチャレンジした場合には特に有効であるといえます。
    また、資本業務提携という目的のもと、新しい資金調達源を確保することにも役立つ手法です。

    業務提携の手法

    事業面における主な提携方法は、「販売提携」「生産提携」「技術提携」となります。

    販売提携

    販路や販促ノウハウ、販売員などのリソースを共有して、お互いの商品を販売する施策です。「販売店契約」「フランチャイズ契約」「代理店契約」も、販売提携の一種です。
    販売提携することで、未進出の地域に事業展開できることもあれば、スピーディに収益を伸ばせることもあります。

    生産提携

    生産プロセスのすべて、あるいは一部を提携先に委託する施策です。OEM(他社ブランドの製造)やODM(他社ブランドの設計・設定)も生産提携に含まれます。
    受託側は稼働率向上のメリットなどを享受することができます。委託元は、生産性の向上を期待することができます。

    技術提携

    技術提携とは、技術を持ち寄って製品を共同開発したり、お互いの技術を活用し合ったりすることです。この際、「共同研究開発契約」「ライセンス契約」などを結ぶことになります。

    子会社化とは?

    続いては、子会社化の概要を説明していきます。
    子会社化とは、ある企業が他の企業の株式を取得するか出資をおこなうことで、その企業の支配権を獲得して、自社の子会社とするプロセスのことです。一般的に、親会社が子会社の議決権の50%超を所有する場合、その会社は子会社(連結子会社)と見なされます。
    子会社化によって、“親会社と子会社”という関係性が構築されると、子会社の意思決定においても、親会社が支配的な立ち位置に立つことになります。まず、親会社は子会社の取締役会や経営陣を任命するのが一般的で、経営方針や戦略に関しては、子会社は親会社の指示に従うよう調整する必要があります。
    ただし、親会社と子会社は別々の法人であって、法的責任は分離されています。財務報告に関しても、子会社が独自におこない、親会社から独立した監査を受けるのが一般的です。ただし、親会社は子会社の財務状況を監視して、必要に応じて資金を提供したり戦略を調整したりします。正しい財政状態や経営成績を常に把握するために、親会社は子会社を自社の連結財務諸表に組み込みます。
    つまり、子会社視点で見ると、親会社は運営に影響を与えてくるとはいえ、資本や資金を提供してくれる存在であり、親会社とのビジネス取引を通じて収益を上げることもあります。

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    資本業務提携と子会社化の違い

    資本業務提携と子会社化には、主に次のような違いがあります。

  • 支配関係があるかどうか
  • 経営の独立性
  • 資本の取得
  • 財務報告および監査
  • 法的リスク
  • 税務上の影響
  • それぞれ詳しく解説していきます。

    支配関係があるかどうか

    資本業務提携においては、提携しているいずれかの企業が、もう一方の企業を支配することはありません。一方、子会社化は親会社が他の企業を完全に支配または所有します。

    経営の独立性

    資本業務提携においては、提携企業は一般的に独自の経営チームと意思決定プロセスをキープします。これに対して子会社化された企業は、親会社の経営方針に従うことが期待されています。また、子会社の経営陣は親会社によって任命されるのが一般的です。

    資本の取得

    資本業務提携の場合、株式取得または出資によって資本を得るのが一般的で、提携企業は相互に議決権の過半数を下回る程度の株式を所有するケースが多いです。これは、原則として相手企業への経営支配を目的としないためです。

    財務報告および監査

    資本業務提携においては、提携企業は独自の財務報告をおこなって、独立した監査を受けるのが一般的です。一方、子会社は親会社の連結財務諸表に組み込まれるため、親会社の一部として財務報告と監査がおこなわれることになります。

    法的リスク

    資本業務提携における企業同士はお互いに法的に独立しているため、法的リスクも分離されます。一方、子会社は親会社の傘下にあるため、親会社は子会社の法的リスクを一部負担することになります。

    税務上の影響

    資本業務提携における資本提携(既存株主からの株式譲渡)の場合、売り手(株主)には譲渡益に対して所得税・住民税が課税されます。ただし、第三者割当増資の場合、売り手(株主)側の課税は原則発生しません。

    一方、子会社化(株式取得)を伴う場合は、売り手(株主)が受け取る株式譲渡益に対して、原則として約20%(所得税・住民税・復興特別所得税)の申告分離課税が適用されます。買い手側(親会社)は、株式取得費用は原則として損金算入できない(資産計上)ため、節税効果はすぐには発生しません。

    資本業務提携のメリット、デメリット

    続いては、資本業務提携のメリット、デメリットを確認していきましょう。

    メリット デメリット
    ・強い協力関係を築ける
    ・資本や資金を共有できる
    ・技術やノウハウを共有できる
    ・競争力が向上する
    ・コストを削減できる
    ・成長スピードが上がる
    ・市場拡大を実現しやすい
    ・業界のトップに立てる可能性が高まる
    ・リスクを分散できる
    ・規制に対処しやすくなる
    ・価値の創造・向上を実現しやすい
    ・株式購入のために資金が必要な場合がある
    ・文化の違いによる対立が生じやすい
    ・戦略の不一致による対立が生じやすい
    ・リソースの適切な配分に労を要する場合がある
    ・紛争リスクがある
    ・統合プロセスが複雑である
    ・契約が複雑である
    ・(競合相手との資本業務提携の場合など)情報漏洩リスクが高まる
    ・競争法に違反する可能性がある
    ・市場が変化する場合がある
    ・資本業務提携自体が失敗となる可能性がある
    ・提供の解消が簡単ではない

    資本業務提携のメリット

    メリットは次の通りです。

    強い協力関係を築ける

    株式の取得を伴うことから、長期的に強固な関係性を築くことができます。途中、困難な局面にぶつかる可能性も無きにしも非ずですが、資本提携を伴っている限り、お互いに、その状況を打破しようとするため、双方の従業員の連携意識が高まることも期待できます。
    事業面に関しては、販路拡大や製品開発などに関して協力し合うことによって、競合他社より優位に事業を展開しやすくなる可能性があります。

    資本や資金を共有できる

    資本業務提携によって、資本や資金などのリソースを共有することができるため、新規プロジェクトの資金調達や成長戦略の実行が容易になります。

    技術やノウハウを共有できる

    資本業務提携において、技術やノウハウの共有がおこなわれた場合、革新的なプロジェクトの推進や、サービスや製品の向上が叶いやすくなります。

    競争力が向上する

    リソースや技術、ノウハウを共有することによって競争力が高まります。提携企業同士で共同して、市場での競争に立ち向かう場合もあります。

    コストを削減できる

    リソースを共同で活用することは、コスト削減にもつながります。

    成長スピードが上がる

    新たな市場や顧客層にアクセスできることから、事業を拡大する機会が増え、成長速度が上がります。

    市場拡大を実現しやすい

    提携企業の市場にアクセスすることで、新たな顧客層、新たな地域に進出することができます。新規市場に進出したい場合や、国際展開したい場合にはこの点は大きなメリットとなるでしょう。

    業界のトップに立てる可能性が高まる

    共同で市場をけん引して、業界のトッププレイヤーを目指すことができます。実際に、業界内でのリーダーリップを確立することを目的に、資本業務提携をおこなう企業もあります。

    リスクを分散できる

    それぞれの企業の独立性を保ったままの提携であることから、複数の企業にリスクが分散されることになり、特定の一社がリスクに直面する可能性が低くなります。

    規制に対処しやすくなる

    提携企業同士、共同でコンプライアンスを維持できるため、法律などの規制に対処しやすくなります。

    価値の創造・向上を実現しやすい

    資本業務提携によって、企業価値を創造する機会が生まれやすくなります。さらに、市場や顧客に提供する価値を向上させることにもつながるため、必然的に株主価値も高まります。

    資本業務提携のデメリット

    デメリットは次の通りです。

    株式購入のために資金が必要な場合がある

    株式譲渡や第三者割当増資によって株式を取得する場合、株式購入のための費用を用意する必要があります。ただし、株式交換によって資本業務提携する場合、基本的には購入費用を用意する必要はありません。

    文化の違いによる対立が生じやすい

    提携する企業間で、企業文化や価値観が異なる場合、対立が生じる可能性があります。

    戦略の不一致による対立が生じやすい

    提携企業同士の戦略や方向性が一致しない場合、足並みをそろえて目標に向かうことができず、対立してしまう場合があります。

    リソースの適切な配分に労を要する場合がある

    資本業務提携においては、資本や資金などのリソースを共有できますが、適切に配分できなければ不満が上がる可能性が高くなり、場合によってはリソース争いが発生します。

    紛争リスクがある

    契約違反が生じた、意思決定で合意を得られなかった、経営陣が交代したことなどに端を発して紛争が起きることがあります。

    統合プロセスが複雑である

    資本業務提携における統合プロセスはシンプルではないため、時間と労力を要することがあります。

    契約が複雑である

    資本業務提携における提携企業同士はお互いに独立した法人で居続けることになるため、契約が複雑になります。資本業務提携にあたっては、細かな契約条件や責任の所在を明確にしておくことが不可欠ですが、そのために法的アドバイザーを雇用することが望ましいといえます。

    (競合相手との資本業務提携の場合など)情報漏洩リスクが高まる

    資本業務提携は、競合相手との間でおこなわれるケースもあります。この場合、戦略に関する情報の共有に慎重にならなければ、情報漏洩リスクが高まると考えられます。

    競争法に違反する可能性がある

    資本業務提携の結果、市場での支配力が過度に高まると、他社の競争を阻害する可能性が出てきます。場合によっては、競争法に引っかかることもあるため注意が必要です。

    市場が変化する場合がある

    特定の市場への進出や、その市場での業務拡大を目的に提携したものの、提携後に市場が変化する場合があります。そのため、市場の変化に適切に対応する必要があります。

    資本業務提携自体が失敗となる可能性がある

    資本業務提携をおこなっても、必ずしも結果を出せるわけではありません。場合によっては、経済的な損失や信頼性の低下が生じることも考えられます。

    提携の解消が簡単ではない

    資本業務提携によって、期待したような効果を得られないことから、提携関係を解消したいと考えたとしても、簡単には解消できない場合があります。事業面でのみしか提携していないのであれば(業務提携契約しか結んでいないのであれば)、契約解除によって提携を解消できますが、資本面で提携している場合(資本提携契約を結んでいる場合)、提携を解消するためには、提携先が取得している自社株式の買取をおこなう必要があります。
    しかし、資本業務提携を結んだときから年月を経ている場合、当時の株価と現在の株価の差が大きい可能性が高いため、まずは株式の買取価格に関して提携先と話し合うことが不可欠です。

    資本業務提携の流れ

    資本業務提携の流れは次の通りです。

  • 資本業務提携の目的やニーズを明らかにする
  • 提携相手を選定する
  • 提携候補企業の財務的・法的評価をおこなう
  • 交渉および契約
  • 株主総会または取締役会で承認を得る
  • 許認可を取得する
  • 経営陣を選定する
  • 統合を進める
  • モニタリングおよび評価
  • それぞれ詳しくみていきましょう。

    資本業務提携の目的やニーズを明らかにする

    資本業務提携を検討している段階では、まず、資本業務提携の目的やニーズを明らかにすることが大切です。また、企業のビジョンや長期的な戦略にも改めて目を向け、資本業務提携することがビジョンや戦略に合致しているのかどうかを確認します。

    提携相手を選定する

    資本業務提携の目的やニーズが明らかになれば、どういう企業なら、提携相手として相応しいのかがみえてきます。基本的には、市場や文化、価値観、ビジネスモデルが一致していて、なおかつしっかりと信頼関係を築ける相手であることが大切です。

    提携候補企業の財務的・法的評価をおこなう

    提携候補企業の財務諸表の分析および評価、資産の評価、法的コンプライアンスの確認などを通して、提携候補企業の評価をおこないます。

    交渉および契約

    提携候補企業との交渉を開始します。交渉のうえ、提携することで合意を得たら、提携条件、リスク分担、組織構造、契約期間、解除条項などをまとめた契約書を交わします。契約書作成にあたっては、法的アドバイザーに支援してもらうことが大切です。

    株主総会または取締役会で承認を得る

    株主総会または取締役会を開催して、提携することを承認してもらいます。

    許認可を取得する

    定形に関する許認可を得て、規制機関に対して通知をおこないます。競争法に違反する可能性がある提携ではないかの確認のために、診査を受ける場合があります。

    経営陣を選定する

    経営陣を選定して配置します。そのうえで、提携における経営陣の役割と責任を明確にして、組織を調整していきます。

    統合を進める

    提携の実務完了後は、リソース共有、業務プロセスの合理化を進めて、文化を調和させていきます。

    モニタリングおよび評価

    資本業務提携は、提携すれば終わりではありません。提携の実務が完了した後も、どんな効果を得られているのかをモニタリングして、評価し続けていくことが大切です。うまくいっている場合もそうでない場合も、その要因を把握して、必要に応じて戦略を調整していくことが重要です。
    また、ビジョンや戦略が変化した場合には、提携条件を見直すことが大切です。

    資本業務提携と子会社化のどちらが最適の選択となるかをよく考えよう

    ここまで解説してきた通り、資本業務提携は基本的に「協力」関係を築くものであるのに対して、子会社化には「支配」がつきものです。ただし、子会社化には、資本面でのバックアップや強固なシナジー効果などのメリットもあるので、どちらが最適の選択となるかはケースバイケースであるといえます。いずれの選択が自社にとってプラスとなるのか判断できない場合などは、早めに専門家に相談することをおすすめします。

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    執筆 ジョブカンM&A編集部

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