「廃業」は法律用語ではない。会社をたたむ手続きは、会社法では解散 → 清算 → 清算結了という3段階で組み立てられている。登記が2回、税務申告が2〜3回、官報への公告が2か月以上という構造になっており、思い立ってから終わるまで最短でも2か月を超え、実務では3〜6か月かかる。
そして実費だけで7万円強、専門家に頼めば30万円前後が出ていく。会社を清算して手元に残る金額を先に計算しないまま解散決議をすると、費用を払うために資産を処分する順番になる。
まずは「自分の会社がいくらか」を知るところから
ジョブカンM&Aでは、専任アドバイザーが事業価値の簡易査定から成約まで一貫して伴走します。相談は無料。売却・買収のどちらでもお気軽にどうぞ。
清算・特別清算・破産のどれになるか
「清算」とひとくくりに呼ばれていますが、債務を完済できるかどうかで、進む道が3つに分かれます。最初にここを見分けないと、手続きの前提そのものが変わります。
| 進む手続き | 該当する条件 | 誰が進めるか | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 通常清算 | 会社の財産で債務を全額弁済できる | 清算人(多くは元の代表者) | 会社法475条以下 |
| 特別清算 | 株式会社で、債務超過の疑いがある/清算の遂行に著しい支障を来す事情がある | 清算人(裁判所の監督下) | 会社法510条 |
| 破産 | 支払不能または債務超過で、債権者の同意が見込めない | 裁判所が選任する破産管財人 | 破産法 |
境界線は3つあります。
1つ目は、債務を完済できるかどうかです。財産を全部換金しても債務が残るなら通常清算は選べません。債務が残ったまま清算結了の登記をしても、清算は終わっていないものとして扱われます。
2つ目は、会社の種類です。会社法510条は特別清算の対象を「清算株式会社」と定めており、特別清算を使えるのは株式会社だけです。合同会社・合名会社・合資会社が債務を完済できない場合、破産を選ぶことになります。
3つ目は、債権者の協力が得られるかどうかです。特別清算は債権者集会での協定の可決、または債権者との個別和解によって終結させる手続きなので、主要な債権者の同意が前提になります。金融機関1行が実質的な債権者である、あるいは親会社がグループ会社を整理するといった場面で使われるのはそのためです。同意が取れる見込みがないなら、債権者の同意を要件としない破産のほうが現実的です。
以下は、通常清算を前提に手続きを説明します。
会社法上の解散事由
株式会社が解散するのは、次の場合である(会社法471条)。
| 解散事由 | 中小企業で実際に多いか |
|---|---|
| 定款で定めた存続期間の満了 | ほぼない |
| 定款で定めた解散の事由の発生 | ほぼない |
| 株主総会の決議 | これが大半 |
| 合併(消滅会社となる場合) | M&Aの一形態 |
| 破産手続開始の決定 | 債務超過の場合 |
| 解散を命ずる裁判 | 例外的 |
自主的に会社をたたむ場合は、株主総会の特別決議で解散する。議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が要る。同じ総会で清算人も選任するのが実務である。
なお、12年間登記がない株式会社は、法務大臣の公告と通知を経て解散したものとみなされる(みなし解散)。休眠状態で放置していた会社がこれに当たることがあり、その場合も清算の手続は残る。
解散から清算結了までの流れ
| 順番 | やること | 期限・期間 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 1 | 株主総会で解散決議・清算人選任 | — | 会社法471条3号・478条 |
| 2 | 解散および清算人選任の登記 | 解散の日から2週間以内 | 会社法926条 |
| 3 | 税務署等へ異動届出書を提出 | 速やかに | — |
| 4 | 官報に解散公告・債権者へ個別催告 | 2か月以上の申出期間 | 会社法499条 |
| 5 | 解散事業年度の確定申告 | 事業年度終了の日の翌日から2か月以内 | — |
| 6 | 財産の換価・債権の取立て・債務の弁済 | 公告期間の満了後 | — |
| 7 | 残余財産の確定と株主への分配 | — | — |
| 8 | 清算事業年度の確定申告 | 事業年度終了の日の翌日から2か月以内 | 清算が1年を超える場合に発生 |
| 9 | 残余財産確定事業年度の確定申告 | 確定した日の翌日から1か月以内 | — |
| 10 | 株主総会で決算報告の承認 | — | 会社法507条 |
| 11 | 清算結了の登記 | 承認の日から2週間以内 | 会社法929条 |
| 12 | 税務署等へ清算結了の異動届出書 | 速やかに | — |
9の「1か月以内」には期限延長の特例がない。法人税の申告期限を1か月延長している会社でも、残余財産確定の申告だけは延長できない。残余財産が確定してから税理士を探すと間に合わない。
債権者への公告は省略できない
清算人は、就任後遅滞なく、債権者に対し2か月を下らない一定の期間内にその債権を申し出るべき旨を官報に公告し、判明している債権者には個別に催告しなければならない(会社法499条)。
この2か月は短縮できない。債務がまったくない会社でも、この期間が終わるまで残余財産を株主へ分配できない。廃業を決めてから実際に会社が消えるまでの日数は、ここで決まる。
費用はいくらかかるか
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 解散の登記(登録免許税) | 30,000円 | 会社の解散 |
| 清算人選任の登記(登録免許税) | 9,000円 | 解散後の最初の清算人 |
| 清算結了の登記(登録免許税) | 2,000円 | 最後の登記 |
| 官報公告の掲載料 | 約32,000円 | 行数により変動 |
| 登記事項証明書・印鑑証明書等 | 数千円 | 通数による |
| 小計(実費) | 約73,000円 | 専門家に頼まなくても必ずかかる |
| 司法書士報酬(登記) | 7万〜15万円 | 依頼する場合 |
| 税理士報酬(清算申告) | 10万〜20万円 | 依頼する場合 |
専門家に一式を依頼すると、実費込みで30万円前後というのが中小企業の相場である。加えて、在庫の処分費、原状回復費、従業員の退職金、リース契約の中途解約金がかかる。これらは登記費用より桁が大きくなることが多い。
まずは「自分の会社がいくらか」を知るところから
ジョブカンM&Aでは、専任アドバイザーが事業価値の簡易査定から成約まで一貫して伴走します。相談は無料。売却・買収のどちらでもお気軽にどうぞ。
清算に伴う税務手続き
清算で最もつまずきやすいのが税務です。事業年度の切り方と申告期限が、通常の決算とは変わります。
事業年度は解散日で切れる
| 事業年度 | 期間 | 申告期限 |
|---|---|---|
| 解散事業年度 | 事業年度の開始日から解散の日まで | 終了日の翌日から2か月以内 |
| 清算事業年度 | 解散の日の翌日から1年ごと | 終了日の翌日から2か月以内 |
| 残余財産確定事業年度 | 直前の事業年度の翌日から残余財産確定の日まで | 確定の日の翌日から1か月以内 |
注意すべきは最後の行です。残余財産確定事業年度の申告期限は1か月以内で、申告期限の延長の特例は適用されません。その期間内に残余財産の最終分配を行う場合は、分配を行う日の前日が期限になります。分配を急いで実行すると、申告期限が自分で前倒しになる構造です。
法人税以外にも、消費税の課税事業者であれば同じ区切りで申告が必要になり、事業を廃止した旨の届出も出します。税務署・都道府県・市町村への異動届出書、社会保険の適用事業所全喪届、労働保険の確定精算、雇用保険の事業所廃止届も、それぞれ提出先と期限が別です。
期限切れ欠損金を使えるのはどんなときか
清算中に不動産などを売却すると、含み益が実現して所得が出ます。ここで青色欠損金の繰越控除だけでは足りず、法人税が発生してしまう場面があります。
法人税法59条4項は、法人が解散した場合において残余財産がないと見込まれるときは、設立当初からの欠損金額(いわゆる期限切れ欠損金)を、青色欠損金等の控除後の所得金額を限度として損金に算入できると定めています。
「残余財産がないと見込まれるとき」とは、その事業年度終了の時において債務超過の状態にあるときを指します(法人税基本通達12-3-8)。判定には、資産・負債を時価ベースで作成した実態貸借対照表を用います(同12-3-9)。国税庁の質疑応答事例では、この実態貸借対照表に未払法人税等を負債として含めたうえで判定して差し支えないとされています。
つまり、含み益を出したうえで債務超過が解消してしまうと、この制度は使えません。資産の売却時期と債務の弁済順序が税額を左右するので、換価を始める前に試算しておく論点です。
残余財産を分配するとみなし配当が出る
株主へ残余財産を分配するとき、出資した元手を超える部分は配当とみなされます(所得税法25条1項)。株主が個人の場合、この部分は配当所得として課税され、支払時に20.42%が源泉徴収されます。
計算例
- 発行済株式100株、資本金等の額300万円(1株あたり3万円)
- 残余財産1,000万円を全株主へ分配(1株あたり10万円)
| 区分 | 金額 | 扱い |
|---|---|---|
| 資本金等の額に対応する部分 | 300万円 | 株式の譲渡収入。取得費を引いて譲渡損益を計算 |
| それを超える部分(みなし配当) | 700万円 | 配当所得。20.42%=1,429,400円を源泉徴収 |
手元に1,000万円が残るように見えても、株主個人に渡る前に源泉徴収が入り、配当所得は総合課税なので確定申告で追加の負担が出ることがあります。会社に残った現預金の額と、株主の手取りは別物です。M&Aによる株式譲渡益が分離課税の対象になるのと比べると、同じ金額でも手取りが変わります。
個人事業主の廃業手続きとの違い
個人事業をたたむ場合、登記も清算人も官報公告も要らない。税務署と都道府県への届出だけで完結する。
| 会社(株式会社) | 個人事業主 | |
|---|---|---|
| 根拠 | 会社法(解散・清算) | 所得税法・消費税法の届出 |
| 登記 | 2回(解散・清算結了) | 不要 |
| 官報公告 | 2か月以上、必須 | 不要 |
| 清算人 | 選任が必要 | 不要 |
| 税務申告 | 解散事業年度と残余財産確定事業年度で最低2回 | 廃業年分の確定申告を翌年3月15日までに1回 |
| 実費 | 約73,000円 | 0円(届出に手数料はかからない) |
| 所要期間 | 最短でも2か月超、実務は3〜6か月 | 書類提出のみ。即日 |
| 法人格 | 清算結了登記で消滅 | もともと法人格がない |
個人事業主が出す届出
| 書類 | 提出先 | 期限 |
|---|---|---|
| 個人事業の開業・廃業等届出書 | 税務署 | 廃業の日から1か月以内 |
| 所得税の青色申告の取りやめ届出書 | 税務署 | 翌年3月15日まで |
| 事業廃止届出書(消費税) | 税務署 | 速やかに |
| 給与支払事務所等の廃止届出書 | 税務署 | 廃止の日から1か月以内 |
| 事業開始等申告書(廃止) | 都道府県税事務所 | 自治体による |
都道府県への届出だけ提出先が違うため、後回しになりやすい。税務署の書類だけ出して終わりにすると、個人事業税の課税が続くことがある。
また、予定納税をしている人は減額申請ができる。年の途中で廃業して所得が減る見込みなら、申請すれば納付額を抑えられる。
法人成りしていた場合は、会社の清算と個人の廃業が両方かかることがある。個人事業を残したまま法人を設立していたケースでは、両方の手続を並行して進める。
清算・M&A・事業譲渡のどれを選ぶか
清算は取り消せません。清算結了の登記を入れた後で「やはり売りたかった」とは言えないので、判断は登記の前に済ませます。
判定条件は、決算書と現状から自分で確認できる事実に絞りました。
| 選択肢 | 債務の状態 | 営業損益 | 従業員・許認可 | 後継者 | その他の条件 |
|---|---|---|---|---|---|
| 清算する | 財産で債務を完済できる | 直近3期以上が営業赤字で、回復を見込む根拠がない | 従業員がいない、または全員の再就職先の目処が立つ | 親族・社内とも不在 | 事業が代表者個人の技能・資格に依存していて、他人が引き継げない |
| M&Aで会社ごと売る | 完済できる、または債務込みで引き受け手が見つかる水準 | 直近で営業利益が出ている、または一過性の要因を除けば黒字 | 従業員を雇用ごと残したい/許認可を残したい | 不在だが事業は続いている | 決算書・契約書・許認可の書類が揃っており、簿外債務の心当たりがない |
| 事業だけ譲渡する | 会社に残る債務を、譲渡代金で処理できる | 黒字の事業と赤字の事業が混在している | 一部の従業員・設備だけ引き継いでほしい | 不在 | 会社自体は残したい事情がある(不動産の保有、係争中の案件など) |
| まだ判断しない | 完済できる | 赤字だが手元資金で当面持ちこたえられる | 従業員がいない | 親族に候補がいるが本人の意思が固まっていない | 廃業か承継かを1〜2年かけて決めたい |
各行の意味は次のとおりです。
清算を選ぶ場面は、引き継ぐ価値のある事業が残っていないときです。売上が代表者個人の人脈や資格に紐づいていて、代表者が退けば消えるのであれば、買い手にとって買う対象がありません。この場合は清算のほうが早く、費用も読めます。
M&Aを選ぶ場面は、営業利益が出ているときです。清算では、積み上げてきた営業利益も、取引先との関係も、対価として回収できません。従業員の雇用も終了します。中小企業基盤整備機構によると、令和6年度に事業承継・引継ぎ支援センターが関与した第三者承継の成約件数は2,132件で過去最高でした。公的な相談窓口は47都道府県48か所にあり、相談自体は無料です。
事業譲渡を選ぶ場面は、会社と事業を切り離したいときです。黒字の部門だけを譲渡し、残った会社を清算するという順番も取れます。ただし事業譲渡は個々の契約・許認可を移す手続きなので、取引先の同意や許認可の取り直しが必要になり、株式譲渡より手間がかかります。
まだ判断しないは、次の節で扱います。
判定表の前提として押さえておきたいのは、清算を選んだ時点で譲渡対価はゼロになるという事実です。残余財産は自社の資産を換金しただけの金額であり、事業の収益力に対する評価は含まれません。従業員の雇用契約も清算とともに終了します。これは良し悪しの話ではなく、清算という手続きの性質です。黒字で休廃業・解散に至る企業が過半数を占めるという白書の数字は、この比較が十分にされないまま決まっている場合があることを示しています。
廃業を決める前に比べるもの
廃業と第三者承継では、経営者の手元に残る金額が正反対になる。
| 廃業(解散・清算) | 第三者へ譲渡(M&A) | |
|---|---|---|
| 手元に入るもの | 残余財産のみ。資産を処分価格で売った残り | 株式の譲渡代金。のれん(営業権)が乗る |
| 出ていくもの | 登記費用・退職金・原状回復費・在庫処分費 | 仲介手数料 |
| 従業員 | 全員が離職する | 雇用が継続する |
| 取引先 | 取引が終了する | 継続する |
| 許認可 | 失効する | 譲渡方法により引き継げる |
| 経営者の税負担 | 残余財産の分配は配当所得(総合課税・累進) | 譲渡所得の申告分離課税20.315% |
| 期間 | 3〜6か月 | 半年〜1年 |
税負担の違いは事前に比べられていないことが多い。清算して残余財産を株主に分配すると、資本金等を超える部分はみなし配当として配当所得になり、他の所得と合算して累進税率がかかる。一方、株式を譲渡すれば譲渡所得として一律20.315%である。同じ金額でも、受け取り方で手取りが変わる。
赤字続きで債務超過なら廃業という判断になるが、黒字なのに後継者がいないという理由だけで廃業を決めているなら、譲渡の見積もりを取ってから決める。公的な相談窓口として、各都道府県に事業承継・引継ぎ支援センターが置かれている。
「まだたたまない」という選択肢
判断がつかないとき、無理に清算まで進める必要はありません。事業活動を止めたまま会社を存続させる、いわゆる休眠という状態があります。
休眠は会社法上の制度ではなく、実務上の呼び名です。税務署・都道府県・市町村へ異動届出書を提出して事業を行っていない旨を届け出ることで、申告や納税の扱いが変わります。清算のように登記や官報公告は不要で、後から事業を再開することもできます。
ただし次の点は確認が必要です。
- 法人住民税の均等割が免除されるかどうかは自治体ごとに扱いが異なります。届出をすれば自動的に免除されるとは限らないため、所在地の自治体に確認してください
- 休眠中も法人は存続するので、役員の任期は進み、任期満了ごとに役員変更の登記義務が生じます
- 決算・申告の義務がなくなるわけではありません
12年放置するとみなし解散になる
登記をしないまま放置した会社には、みなし解散という制度が働きます。
会社法472条1項は、最後の登記から12年を経過した株式会社を「休眠会社」と定めています。法務大臣が官報で公告し、2か月以内に「まだ事業を廃止していない」旨の届出も必要な登記もされないときは、その期間の満了時に解散したものとみなされます。法務省は毎年10月頃にこの整理作業を行い、対象会社の本店へ登記所から通知書を送っています。
みなし解散の登記が入っても、解散したとみなされた後3年以内であれば、株主総会の決議によって会社を継続できます(会社法473条)。ただし継続の登記費用がかかり、その間の登記懈怠について代表者が過料を課される可能性があります(会社法976条1号、100万円以下)。
休眠を選ぶなら、役員の任期管理だけは続けるという条件がつきます。放置とは別物です。
廃業手続きのチェックリスト
- [ ] 解散日を決め、株主総会の招集手続を取った
- [ ] 解散決議と同じ総会で清算人を選任した
- [ ] 解散日から2週間以内に解散・清算人選任の登記を申請した
- [ ] 税務署・都道府県・市区町村へ異動届出書を提出した
- [ ] 官報に解散公告を出し、2か月以上の申出期間を設けた
- [ ] 判明している債権者へ個別に催告した
- [ ] 従業員の解雇予告(30日前)と退職金の原資を確保した
- [ ] 社会保険・雇用保険の資格喪失手続を取った
- [ ] リース契約・賃貸借契約の中途解約金を確認した
- [ ] 解散事業年度の申告を事業年度終了から2か月以内に済ませた
- [ ] 残余財産確定の申告期限(1か月・延長不可)を清算人が把握している
- [ ] 決算報告を株主総会で承認し、2週間以内に清算結了の登記を申請した
- [ ] 廃業と譲渡で手元に残る金額を比べた
まずは「自分の会社がいくらか」を知るところから
ジョブカンM&Aでは、専任アドバイザーが事業価値の簡易査定から成約まで一貫して伴走します。相談は無料。売却・買収のどちらでもお気軽にどうぞ。
よくある質問
Q. 休眠にしておけば廃業手続きは不要か。
不要ではない。休眠でも法人住民税の均等割が課される自治体があるほか、役員変更登記を怠れば過料の対象になる。12年間登記がなければみなし解散として扱われる。
Q. 債務超過でも解散・清算できるか。
通常清算はできない。債務を完済できない見込みなら、特別清算や破産の手続へ移る。清算人が債務超過に気づいた時点で裁判所に申し立てる義務がある。
Q. 解散したら会社は消えるか。
消えない。解散は営業活動を終える手続であり、法人格は清算の目的の範囲でなお存続する。法人格が消えるのは清算結了の登記が完了したときである。
Q. 期間はどれくらいかかるか。
債権者への公告が2か月以上必要なため、最短でも2か月を超える。実務では解散決議から清算結了まで3〜6か月というのが一般的である。
Q. 会社を廃業したら繰越欠損金はどうなるか。
消滅する。繰越欠損金を抱えたまま清算するより、譲渡や組織再編で活かせないかを先に検討する余地がある。
まとめ
会社の廃業手続きは、解散・清算・清算結了の3段階で、登記2回・税務申告2〜3回・官報公告2か月という構造になっている。
- 自主的にたたむなら株主総会の特別決議で解散し、2週間以内に登記する
- 官報公告の2か月は短縮できない。ここが所要期間を決める
- 実費は登録免許税41,000円+官報公告約32,000円で約73,000円
- 残余財産確定の申告は1か月以内で、延長の特例がない
- 個人事業主は登記も公告も不要。届出だけで終わる
- 残余財産の分配は配当所得、株式譲渡は分離課税20.315%。受け取り方で手取りが変わる
参考・一次情報
- 会社法(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086
- 登録免許税法(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000035
- 法務局 商業・法人登記の申請書様式 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html
- 国税庁 No.2090 新たに事業を始めたときの届出など https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2090.htm
- 中小企業庁 事業承継 https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/index.html
この記事は、時点の情報を元に作成しています。
ジョブカンM&A ジョブカンM&A編集部
ジョブカンM&Aは、株式会社DONUTSが運営するM&Aアドバイザリーサービスです。主に企業の事業承継、成長戦略、出口戦略(イグジット)といった多様なニーズに応えることを目的としています。最大の特徴は、累計導入社数20万社以上を誇るバックオフィス支援クラウドERPシステム「ジョブカン」の広範なネットワークを活用している点です。この強力な顧客基盤を生かし、効率的なマッチングを実現します。
他の関連記事はこちら