レーマン方式とは?M&A仲介手数料の計算方法と売り手が損をしない報酬交渉の基礎知識

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目次
  1. レーマン方式とは
  2. 国内では「変形レーマン方式」が主流
  3. 「取引金額」の定義に注意
    1. 株式譲渡価格
    2. 企業価値(時価総額)ベース
    3. 移動総資産ベース
  4. 最低報酬(成功報酬のフロア)にも注意
  5. 着手金・中間報酬の有無も確認する
  6. 売り手が損をしない報酬交渉術と確認すべき5つのポイント
    1. 1. 取引金額の定義を明確にする
    2. 2. 段階区分と各段階の料率を書面で確認する
    3. 3. 最低報酬(フロア)を把握する
    4. 4. 着手金・中間報酬の条件を確認する
    5. 5. 複数社を比較し、具体的な「報酬交渉」を行う
  7. FAと仲介会社の違い:報酬体系にも影響する
  8. まとめ

レーマン方式とは

レーマン方式(Lehman Formula)とは、M&Aの成功報酬を計算する際に用いられる手数料体系のことだ。もともとは米国の投資銀行リーマン・ブラザーズが1970年代に採用したことで広まったとされ、現在も国内外のM&A仲介・FA(財務アドバイザー)の報酬体系として広く使われている。

レーマン方式の基本的な考え方は、取引金額が大きくなるにつれて手数料率が逓減(ていげん)していくという逓減型の設計だ。たとえば次のような段階的な料率が設定される(一例)。

取引金額の区分 手数料率(一例)
5億円以下の部分 5%
5億円超〜10億円以下の部分 4%
10億円超〜50億円以下の部分 3%
50億円超〜100億円以下の部分 2%
100億円超の部分 1%

取引金額10億円のM&Aを例に計算すると:

  • 5億円×5% = 2,500万円
  • 5億円×4% = 2,000万円
  • 合計:4,500万円

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    国内では「変形レーマン方式」が主流

    上記はオリジナルのレーマン方式だが、日本のM&A仲介では段階区分や料率を独自に調整した「変形レーマン方式」を使うことが一般的だ。

    たとえば、段階の区切りを「2億・5億・10億」とする事務所もあれば、「3億・5億・10億」とする事務所もある。料率も会社によって異なる。つまり、「レーマン方式」という言葉が共通であっても、実際の手数料計算方法は仲介会社によって大きく違う

    相談前に「どういう計算式を使っているか」を必ず確認する必要がある。


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    「取引金額」の定義に注意

    レーマン方式で手数料を計算する際の「取引金額」がどの数字を指すかによって、最終的な手数料額が大きく変わる。代表的な定義を整理する。

    株式譲渡価格

    売り手が受け取る株式の対価そのものを取引金額とする。もっとも直感的でシンプルな定義だ。

    企業価値(時価総額)ベース

    株式価値に加えて、会社が抱える有利子負債を加えた額を取引金額とする定義だ。負債が多い会社では、受け取る株式代金より手数料計算のベースが大きくなるため、売り手にとっては実質的な手数料率が高くなることがある。

    この点は特に注意が必要だ。「売却価格は3億円なのに、有利子負債2億円が加算されて5億円ベースで計算された」というケースが実際に起きている。

    移動総資産ベース

    不動産・設備・棚卸資産などの総資産を取引金額とする定義だ。これも取引金額が膨らみやすく、売り手にとって不利になることがある。


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    最低報酬(成功報酬のフロア)にも注意

    多くのM&A仲介会社は、「最低成功報酬〇〇万円」という下限額(フロア)を設定している。取引金額が小さい場合、計算上の手数料額よりもフロアが高くなることがある。

    たとえば「最低報酬2,000万円」という設定があると、仮に1億円の取引でレーマン計算が500万円でも、実際に支払う報酬は2,000万円になる。売り手にとっては取引金額の20%を仲介に支払うことになりかねない。

    小規模なM&Aでは、このフロアの金額が相対的に大きくなる点を十分に把握しておく必要がある。


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    着手金・中間報酬の有無も確認する

    仲介会社への支払いは成功報酬だけではない。多くの場合、以下のような段階的な費用が発生する。

    種別 タイミング 金額の目安
    着手金 仲介契約締結時 50〜300万円程度
    基本合意報酬(中間報酬) LOI(基本合意書)締結時 成功報酬の10〜20%程度
    成功報酬 最終契約(クロージング)時 レーマン方式で計算

    仲介会社によっては着手金が無料のところもある一方、高額の着手金を取る会社もある。「着手金ゼロだから安心」とも言い切れず、成功報酬率が高い場合もある。

    トータルコストで比較することが重要だ。


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    売り手が損をしない報酬交渉術と確認すべき5つのポイント

    1. 取引金額の定義を明確にする

    「株式譲渡価格」「企業価値(有利子負債込み)」「移動総資産」のどれで計算するかを契約前に確認し、自社の財務状況に照らしてどの定義が実質的に有利かを判断する。

    2. 段階区分と各段階の料率を書面で確認する

    口頭でのやりとりではなく、契約書・重要事項説明書に記載されている計算式を自分でシミュレーションする。売却価格を複数のシナリオで試算し、どれだけの手数料が発生するかを把握しておく。

    3. 最低報酬(フロア)を把握する

    自社の想定売却規模で、フロアが実際に発動するケースがないかを確認する。

    4. 着手金・中間報酬の条件を確認する

    着手金・中間報酬が成約しなかった場合に返金されるか、一部返金されるかを確認する。「成約しなかった場合でも返金しない」という条件の場合は、交渉決裂リスクを念頭に置いて判断する。

    5. 複数社を比較し、具体的な「報酬交渉」を行う

    仲介会社は一社だけに絞る必要はない。複数社から提案(相見積もり)を取ることで、手数料体系やサービスの差が見えやすくなる。さらに、比較するだけでなく実際に報酬交渉を行うことが重要だ。

    M&A仲介手数料は、絶対に変えられないものではない。たとえば「御社に専任契約でお任せする代わりに、最低報酬額(フロア)を2,000万円から1,500万円に下げてほしい」「他社は株式譲渡価格ベースを採用しているため、御社もそちらに合わせてほしい」といった交渉は実務上よく行われている。アドバイザリー契約書にサインをする前が、売り手にとって最も交渉力が高まるタイミングである。


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    FAと仲介会社の違い:報酬体系にも影響する

    M&Aのアドバイザーには大きく2種類ある。

    仲介会社: 売り手・買い手の双方から報酬を受け取る。双方の利益を調整しながら成約を目指す。
    FA(財務アドバイザー): 売り手または買い手どちらか一方の利益を代理する。利益相反が生じにくく、売り手側FA・買い手側FAとして独立的に動く。

    どちらが良いかは一概に言えないが、売却価格の最大化を強く求める場合や、交渉相手が大手企業・ファンドである場合は、売り手側FAを立てる選択肢を検討する価値がある。


    まずは「自分の会社がいくらか」を知るところから

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    まとめ

    レーマン方式は、M&A仲介の世界で広く使われている成功報酬の計算体系だ。ただし「レーマン方式」という名称が同じでも、取引金額の定義・段階区分・各段階の料率は仲介会社ごとに異なる。

    売り手として重要なのは、「計算式を書面で確認する」「取引金額の定義に注意する」「最低報酬フロアを把握する」「着手金・中間報酬の条件を理解する」の4点だ。M&Aは人生の大きな決断のひとつだからこそ、報酬の仕組みをしっかり理解した上でアドバイザーを選びたい。

    ジョブカンM&A ジョブカンM&A編集部

    ジョブカンM&Aは、株式会社DONUTSが運営するM&Aアドバイザリーサービスです。主に企業の事業承継、成長戦略、出口戦略(イグジット)といった多様なニーズに応えることを目的としています。最大の特徴は、累計導入社数20万社以上を誇るバックオフィス支援クラウドERPシステム「ジョブカン」の広範なネットワークを活用している点です。この強力な顧客基盤を生かし、効率的なマッチングを実現します。


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