まずは「自分の会社がいくらか」を知るところから
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「AIを使っているか」から「どのAIを使っているか」へ
「AIを活用できていない会社は企業価値が下がる」——この言説は2025〜2026年にかけて急速に広まった。
しかし今、評価の軸が一段上がりはじめている。
「AIを使っている」ことは前提になりつつある。次の問いは「どのAIを、どのように使っているか」だ。
2026年3月、AI計測プラットフォームのデータで「ChatGPT→Claude乗り換え」のセッション数が1,487%急増したというデータが公表された。乗り換えの主な動機は、OpenAIの軍事利用方針や政治的スタンスへの懸念だという。つまり「同等の性能なら、倫理的に安心なAIを選ぶ」というユーザー心理が明確に動いた週だった。
この変化が、M&Aにおける企業価値評価にも波及しはじめている。
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「Constitutional AI」とは何か
Anthropic(Claudeを開発する会社)が提唱する「Constitutional AI」とは、AIの行動を「価値観の憲法(Constitution)」によって制御する設計思想だ。AIが有害なコンテンツを生成しない・特定の政治的立場に偏らない・透明性を保つ——という原則をシステムレベルで組み込んでいる。
この設計が「ユーザーからの信頼」に直結した。企業がAI機能をサービスに組み込む際、「どのAIを使っているか」を開示することが差別化になりうる文脈が生まれた。
「本サービスはClaude APIを活用しています」という開示は、「倫理的に安全なAIを選んで使っている会社だ」というシグナルとして機能しはじめている。
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M&AバリュエーションにおけるAI活用の新しい評価軸
従来、M&Aのデューデリジェンスにおいてテクノロジー系企業のAI活用は、以下の観点で評価されてきた。
これらは引き続き重要な評価軸だ。しかし、新たに以下の観点が加わりつつある。
観点1: AI活用の透明性・説明責任
「このサービスのどの部分にAIが関与しているか」「AI判断に人間のレビューが入っているか」「AI活用の方針を公開しているか」——こうした透明性への要求が、買い手のDDで確認されるケースが増えている。
特に医療・HR・金融など「人の人生に影響する判断」を行う領域でAIを使っているサービスは、透明性の欠如がレピュテーションリスクとして評価される。
観点2: AI依存リスクの構造
「特定のAIプロバイダーに過度に依存していないか」「プロバイダーがサービス変更・廃止した場合にどうなるか」——AI活用の構造的なリスクがDDの対象になりはじめている。
OpenAIのSoraスマホアプリ終了(2026年3月)のように、AIサービスが突然変更・廃止されるリスクは現実にある。AI依存の程度とリスクヘッジの設計が、買い手の評価対象だ。
観点3: 利用するAIの「倫理的評価」
「このサービスが使っているAIは、倫理的に問題のあるコンテンツを生成するリスクがないか」「AI開発会社の方針が、自社のブランド価値と一致しているか」——これを確認する買い手が増えている。
特に海外の買い手・ESG意識の高い投資家・ブランド価値を重視する戦略的買い手にとって、「どのAIを使っているか」はブランドのリスク評価の一部になりつつある。
観点4: 偶発債務リスクと「表明保証」への直接的影響
M&Aの最終契約において、「自社のシステムやサービスが第三者の著作権・プライバシーを侵害していないこと」を売り手が表明保証するハードルは年々上がっている。
学習データの出所が不明瞭なAIや、ブラックボックス化されたAIに依存している場合、買い手は将来の訴訟リスク(偶発債務)を警戒する。結果として、買収価格のディスカウント(リスクプレミアムの加算)や、厳格な特別補償条項を要求せざるを得なくなる。
一方で、Constitutional AIのように著作権や倫理的配慮がシステムレベルで組み込まれたモデルを採用し、その運用を可視化できていれば、法務DDでのネガティブ評価を防ぐことができる。これは単なる「倫理的アピール」ではなく、適正なバリュエーションを死守するための強固な防壁となる。
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「AI開示」が売却を有利にする3つのシナリオ
シナリオ1: SaaSスタートアップの売却
医療・HR・法務・会計領域でAI機能を持つSaaSの売却を検討している場合、「自社サービスがどのAIを使い、どのような安全設計をしているか」を整理してDDに備えることが重要だ。
「AI機能はあるが、どのモデルを使っているか不明」「プロンプトエンジニアリングの詳細が属人的」という状態は、買い手のリスク評価を高める要因になる。
逆に「〇〇のAPIを使用・利用規約範囲内での活用・ハルシネーション対策の設計あり・個人情報の非学習設定済」という整理ができていると、買い手の安心感を高める資産になる。
シナリオ2: IT・システム会社の売却
顧客向けシステムにAI機能を組み込んでいる受託開発会社・SIerの場合、「顧客のデータをAI学習に使っていないか」「AI利用に関する契約条項が整備されているか」がDDの確認事項になりうる。
GitHub Copilot(2026年4月から個人ユーザーのコードをAI学習に使う方針変更)のようなニュースが出るたびに、「自社のコードや顧客データはAI学習に使われていないか」という確認が発生する。
この問いに即座に答えられる体制を持っているか否かが、買い手の印象を左右する。
シナリオ3: AI活用を訴求するマーケティング企業の売却
「AI活用で業務効率化を実現している」という訴求をしている企業が売却を検討する場合、「AI活用の実態が訴求内容と一致しているか」がDDで確認される。
誇大なAI活用の訴求は、レピュテーションリスク・景表法リスクとして評価される可能性がある。「AIを使っている」の内実を正確に言語化し、誇張なく説明できる状態を整えておくことが重要だ。
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今からできる「AI評価を高める」準備
1. AI活用の棚卸しと文書化
自社サービス・社内業務でどのAIを使っているかを一覧化する。利用しているAPIの種類・目的・データの取り扱い方針・利用規約の確認状況——これらをドキュメントにまとめておくことが、DDに備える第一歩だ。
2. AI利用ポリシーの策定
「自社はAIをどのような目的で使うか」「何に使わないか」「顧客データの取り扱いはどうするか」を明文化したAI利用ポリシーを策定する。これは外部への信頼性アピールにもなり、内部のガバナンス強化にもなる。
3. AI依存リスクの分散
特定のAIプロバイダーへの依存度が高い場合、代替可能性を設計しておくことがリスクヘッジになる。「万が一このサービスが止まったら?」という問いに答えられる設計は、買い手の評価を高める。
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まとめ
「AIを使っているか」は、もはや差別化にならない。
問われているのは「どのAIを、どう使い、どう説明責任を果たしているか」だ。
ブラックロックCEO・ラリー・フィンク氏が「AIの普及は富の格差を拡大させる現実的な恐れがある」と警告したように、AIの恩恵は「質の高いAI活用ができる会社」に集中する方向に動いている。
M&Aの文脈で言えば、買い手が求めるのは「AIを使っている会社」ではなく「AIを正しく、透明に、持続可能な形で使っている会社」だ。
この基準を満たした状態で売却の場に臨むことが、高いバリュエーションを実現するための条件になりつつある。
この記事は、時点の情報を元に作成しています。
ジョブカンM&A ジョブカンM&A編集部
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