「コングロマリット(conglomerate)」とは、異なる業種や産業に属している複数の企業を束ねている巨大企業グループのことです。コングロマリットという企業形態をとるメリットやデメリット、成功している事例などを詳しく解説していきます。
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コングロマリット(conglomerate)の基礎知識|定義と仕組み
コングロマリットとは、冒頭で述べた通り、異なる業種や産業に属している複数の企業が、経営統合によって1つの大きな企業グループとなった複合企業を意味します。英語にすると「conglomerate」ですが、この言葉は形容詞として使われる場合は、「いろいろなものが集まった」などを意味します。また、もともとは地質学の分野で使われていた言葉で、直径2mm以上の岩石が砂や泥と一緒に固まってできた「礫岩質(れきがんしつ)」という意味も有していますが、経営学や経済学の分野で使われるようになってからも同様に、さまざまな要素から成り立っていることを表すために使われています。
なお、「コングロマリット」を日本語に訳すと、「複合企業」「多角経営企業」などとなります。
「コングロマリット」のポイントは、「複数の異業種ビジネスを傘下に持っていること」で、親会社の本業とは無関係な領域まで含めた大型企業集団であることに大きな意味があります。
なぜかというと、詳しくは追って解説していきますが、無関係な事業の組み合わせによって新しいビジネスモデルが生まれる可能性が高まるほか、リスクを分散できるメリットなどがあるためです。
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「コングロマリット型」とは?
コングロマリットについてさらに詳しく説明していくにあたって、先に頭に入れてもらいたい用語が「コングロマリット型」です。
「コングロマリット型」とは、M&Aにおける買収方法の1つです。M&Aにおける買収方法は、コングロマリット型のほかに、「水平統合型」「垂直統合型」があります。
水平統合型とは、同業種・同業態の企業が統合するM&Aのことで、事業にかかるコストの削減や、それぞれの企業の強みを生かした事業発展などが期待できます。
垂直統合型とは、川上と川下という立場関係の企業が統合するM&Aのことです。たとえば、製造・卸売・小売企業が統合する場合などがこれに該当します。垂直統合型を実施することで、別の企業を通さずに一気通貫で業務を進められるようになることから、手数料などのコスト削減効果などが期待できます。
これに対して、コングロマリット型は、関連性のない企業同士が統合するM&Aということになります。なお、コングロマリット型は「異業種統合」と呼ばれることもあります。
コングロマリットのメリット
コングロマリットを形成するメリットは次の通りです。
シナジー効果が期待できる
同じ業界・同じ産業に属している企業同士の統合の場合とは異なり、異なる業界・異なる産業に属している企業の統合だからこその、思いもよらない相互作用が起きる可能性があります。ただし、異なる性質を持つ企業同士が統合すれば、必ずシナジー効果が生まれるというわけではないうえ、「“思いもよらない”相互作用が生まれる場合がある」ということはつまり、統合前にどのようなシナジー効果が期待できるかを予測することは難しいということになります。
リスクやコストを最低限に抑えながら事業を多角化できる
一般的に、未参入の事業をはじめることには少なからずリスクが伴ううえ、ある程度のコストもかけなければなりませんが、コングロマリットによって既に実績のある事業をそのまま取り込めば、リスクやコストを最低限に抑えることができます。
敵対的買収されにくくなる
敵対的買収とは、買収される側の企業や投資家の合意を得ることなく、発行済株式の50%を超える部分を買い占めて、実質的な支配権を得るM&Aの戦略です。敵対的買収を実施する主な目的としては、事業拡大やシナジー効果の創出への期待、経営資源の獲得などが挙げられますが、コングロマリット型企業を買収してもどういう効果が見込めるのかがわかりづらいことから、敵対的買収はされにくくなるといえます。
経営リスクを分散できる
グループ内のある事業の収益が低下しても、他に好調な事業があれば、会社全体としての業績悪化は防ぐことができます。つまり、経営リスクを分散できるということになります。
中長期経営計画を策定しやすい
複数かつ多種多様な事業を展開することで企業の成長を目指すとなると、短期で結果を出すことは難しく、必然的に中長期的な目線を持つことになります。中長期経営計画を策定することが必須となれば、中長期での経営戦略が進みやすくなります。
資金調達力が向上する
グループ全体での売上・利益規模が大きいことから、社債発行や銀行からの融資を受けやすい傾向にあります。また、それぞれの事業におけるキャッシュフローをグループ内で融通し合うことで、利益剰余を有効に活用することもできます。これによって、グループ全体としての投資余力が拡大することになります。
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コングロマリットのデメリット
続いて、デメリットをみていきましょう。
短期的には経営状況が悪化するリスクが高い
メリットのひとつとして解説した通り、複数事業を展開するにあたっては、中長期的な目線を持って経営戦略を練ることが必須で、短期的には結果を出しにくいといえます。同じ業界・同じ産業に属している企業同士の統合であれば、スピーディにシナジー効果を創出できる可能性がありますが、コングロマリット型の統合の場合、そうはいかないことから、一時的に経営状況が悪化するリスクが高いといえます。
企業価値が低下するリスクがある
異なる業界・異なる産業に属している企業が集まった結果、全体としてどんな企業グループであるのかが外から見てわかりづらくなることから、投資家などから信頼してもらいづらくなる可能性が高いといえます。つまり、株価が下がることによって企業価値が低下するリスクがあるということです。
また、経営資源が分散していることから、各事業の収益が上がりにくいことも、企業価値低下の原因となり得ます。
コーポレートガバナンス(企業統治)が難しくなる
グループ内の各事業に関連性がほぼないとなると、不正行為を防止して適切な活動を実現させるコーポレートガバナンス(企業統治)の難易度が上がります。
意思決定のスピードが鈍化しやすい
多様な業種の企業を抱えるコングロマリットでは、組織構造が複雑化・多層化しがちです。そのため、現場の決裁権限を超える案件について親会社の承認を得るまでに、多くのステップと時間を要する傾向にあります。
特に、市場環境の変化が激しい現代において、この判断の遅れは致命的な機会損失(オポチュニティ・ロス)につながりかねません。また、グループ全体のリソース配分を巡って、異なる事業部間での利害調整が難航することも、経営スピードを落とす大きな要因となります。
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コングロマリットと事業多角化との違いは?
コングロマリットは、異なる業界・異なる産業に属している企業の統合であることから、「事業多角化」と混同しやすいですが、この2つには明確な違いがあります。
事業多角化とは、企業が成長するために事業の分野を広げる”戦略そのもの”を意味します。新しく進出する分野は、既存事業と関連性がある分野であることもあれば、関連性のない分野であることもあります。
一方、コングロマリットは、事業多角化のうち、関連例の低い分野への多角化を推し進めた結果として形成された企業グループを指します。形成手段としては、主に「買収」「合併」「資本提携」の3種類のM&Aスキームが用いられます。
買収
コングロマリットを形成するために自社グループに取り込みたい企業の株式取得を通じて経営権を獲得して、子会社化します。株式を100%取得するケースにおいては、資本の結びつきが強くなるため、グループ内の企業同士の結束も強くなる傾向にあります。
合併
合併には、合併会社が被合併会社を吸収する「吸収合併」、被合併会社をすべて消滅させて新設合併会社を設立する「新設合併」の2種類があります。また、独立した企業同士を合併するケースと、グループ内の再編に合併というスキームを使うケースがあります。
資本提携
資本提携とは、将来的に合併する可能性などを視野に入れて、一方が他方の株式を保有するか、もしくはお互いに相手の株式を保有して、業務面や資金面でお互いに協力し合うことを意味します。
買収とは異なり、一般的に、経営の独立性を保つために、譲渡する株式は発行済株式総数の1/3未満に抑えます。
買収による「コングロマリット化」のプロセス
コングロマリット化するために買収する場合のプロセスは次の通りです。
戦略立案
親会社が、「どの分野に、なぜ進出するのか」についての戦略を立てる
対象企業の選定
戦略に基づいて、買収するターゲット企業を探す
交渉・実行
ターゲット企業と統合の条件について交渉を重ね、合意に至った場合は、ターゲット企業の株式を取得して子会社化する
PMI
買収した企業をグループの一員として組み込み、統合プロセス(PMI)実行する
「戦略立案⇒対象企業の選定⇒交渉・実行⇒PMI」の一連の流れを繰り返すことによって、企業グループが雪だるま式に大きくなっていった結果として、コングロマリットという企業形態が実現することになります。
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コングロマリット化とホールディングス化との違いは?
「ホールディングス化」とは、企業がいくつかの事業部門をそれぞれ独立した会社(子会社)にして、各会社の株式を保有・管理する「持株会社(ホールディグス)」を設立して、グループ全体を統括する経営体制に移行することを意味します。
一方、「コングロマリット化」とは、グループ全体として、関連性の低い多種多様な事業をおこなっている「状態」となることを意味します。
また、コングロマリットとホールディングスの関係性については、“コングロマリットを効率的に管理するために、ホールディングス体制を採用している”というケースが非常に多いということがいえます。
コングロマリットと他の企業形態との違いは?
続いては、コングロマリット以外の企業形態との違いをみていきます。
コングロマリットと「コンツェルン」「財閥」の違いは?
「コンツェルン」も、コングロマリット同様、企業の集合体を表す言葉です。ただし、コングロマリットとは異なり、“市場の支配・独占”を目的に、持株会社などを頂点にして、子会社群・孫会社群を形成する企業体のことを意味します。
日本においては、戦前の「財閥」がコンツェルンに該当します。特に有名だったのが、三井・三菱・住友・安田の「四大財閥」ですが、GHQの「財閥解体政策」によって解散することとなりました。ただし、その後、これらは「企業グループ」として再編されています。
コングロマリットと「トラスト」の違いは?
「トラスト」とは、同一の事業をおこなう企業が集合した企業グループのことです。前述した「水平統合型」のようなイメージです。トラストが巨大化し過ぎると、市場を独占する状態となる恐れがあるため、独占禁止法に違反しないよう注意する必要があります。
コングロマリットと「コンビナート」の違いは?
「コンビナート」とは、前述した「垂直統合型」のようなイメージです。生産の効率化を目的に、サプライチェーンの黄龍から下流までの企業を集めた集団です。コンビナートのなかでももっともよく知られているものが「石油コンビナート」です。これは、石油関連企業がお互いの生産性を高めるために、特定の地域に集中している工業地帯を意味する言葉です。
コングロマリットと「カルテル」の違いは?
「カルテル」とは、同一の事業をおこなう企業同士が連携して、価格や市場分配などに関して合意することによって、相互に利益を確保するために結ぶ協定のことを指します。前述のトラストとは異なり、企業間に資本関係がありません。なお、トラスト同様、独占禁止法に抵触しないよう注意することが必要です。
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コングロマリット・プレミアム、コングロマリット・ディスカウントとは?
異なる業界・異なる産業に属している企業が統合されてコングロマリット化することによって、「コングロマリット・プレミアム」が生じる場合と、「コングロマリット・ディスカウント」が生じる場合があります。
コングロマリット・プレミアムとは?
「コングロマリット・プレミアム」とは、グループ企業・事業間のシナジー効果によって、企業価値の向上が期待されて株価が向上することを指します。グループとしての経営管理や資金調達をおこなうことによって、コーポレートシナジーを生み出すことも、コングロマリット・プレミアムの形成につながります。
コングロマリット・ディスカウントとは?
「コングロマリット・ディスカウント」とは、複数事業の展開によって経営管理が複雑化した結果、シナジー効果が得られないことから、株価が下落することを意味します。先に解説した通り、実際には各事業の非効率化などは起こっていないとしても、投資家からすると企業の実態が見えづらくなることから、結果的に株価が下落する場合もあります。
M&Aや株式市場の現場では、各事業の価値を単独で評価して合計した「サム・オブ・ザ・パーツ(SOTP)」と比較して、実際の時価総額が低い状態を指します。このディスカウントを解消するために、ノンコア事業を切り出す「カーブアウト(事業売却)」や「スピンオフ」が検討されるケースが増えています。
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コングロマリット型M&Aを成功させるポイントとは?
コングロマリット型M&Aを成功させて、コングロマリット・プレミアムを生じさせるためには、次のポイントを抑えることが大切です。
それぞれ詳しくみていきましょう。
M&Aの目的と戦略を明確にする
まず大切なのは、M&Aの目的と戦略を明確にすることです。統合によってどのような価値を生み出したいのかを明確にして、各企業の経営者および関係者で共有することが不可欠です。
リスクヘッジを考えて実践する
前述の通り、コングロマリット型M&Aを実施すると、結果的にコングロマリット・ディスカウントが生じてしまう場合があります。そうしたリスクがあることを理解したうえで、リスクヘッジのための策を講じ、問題が発生した場合には速やかに対応することが大切です。
なお、リスクヘッジのための大切な要素のひとつとして、日ごろから関係者と密にコミュニケーションをとることが挙げられます。こまめに情報を共有しておくことで、問題が生じることを防げる場合もありますし、問題が生じた際にもスピーディに対応できます。
インテグレーションプランを策定する/PMIを重視する
「インテグレーションプラン」とは、複数の異なるシステムやサービス、人材などを「インテグレーション(統合)」して、全体として機能させるための戦略や計画を意味します。
統合前には、インテグレーションプランをしっかり策定して、実行に移すことが肝心ですが、併せて、統合後の円滑なPMIを目指すことも大切にしたいポイントです。
統合後のパフォーマンスを継続的に追跡・評価する
実際に経営統合した後、期待したパフォーマンスを出せているのかを継続的に追跡して、評価することも重要です。事前に策定したインテグレーションプランに沿って戦略を進められていない場合や、統合の目標が達成できていない場合、必要に応じて戦略や目標の修正をおこなうことが望ましいといえます。
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コングロマリット企業の有名な事例
続いては、コングロマリット企業のなかでももっとも知られた企業について解説していきます。
楽天グループ
楽天グループは、インターネットサービス、フィンテック、モバイルの3つの事業セグメントを柱としています。インターネットサービス事業、フィンテック事業と比べて、モバイル事業は歴史が浅いため、現状は投資フェーズで赤字の状態です。しかし、中長期的にはシナジー効果が発動すると見越して、経営を続けていると考えられます。
三菱商事
三菱商事は、前述した「四大財閥」のうちの1つであった旧三菱財閥を前身とする総合商社で、三菱商事・三菱重工業・三菱UFJ銀行からなる「三菱御三家」の1つとして、グループの「商取引」を担っています。展開している事業は、天然ガス、総合素材、化学ソリューション、金属資源、産業インフラ、自動車・モビリティ、食品産業、コンシューマー産業、複合都市開発、電力ソリューションの10のグループに区分されています。
伊藤忠商事
伊藤忠商事も、三菱商事動揺、日本を代表する総合商社のひとつで、事業ポートフォリオの広さから、コングロマリットの性質を持っているといえます。伊藤忠商事が特に強いのは、繊維や食料品などの非資源分野で、自社で資源開発プロジェクトを持ち、コンビニエンスストア(ファミリーマート)やアパレルブランドまで手掛けています。
ソニーグループ
ソニーグループの事業セグメントは、音楽、映画、エンタテインメント・テクノロジー&サービス、イメージング&センシング・ソリューション、金融、ゲーム&ネットワークサービスの大きく6つにわけられます。各セグメントの売上収益は1兆円超えと規模が大きく、営業利益も1,000~3,000億円程度と巨大です。
ソフトバンクグループ
ソフトバンクグループは、通信事業を基盤としつつ、グローバル投資事業などもおこなう戦略的投資コングロマリットとして知られています。マーケット環境に左右されやすく、業績が大きく変動するリスクを抱えた投資事業をひとつの大きな柱としている点において、従来のコングロマリットとは異なります。
日立製作所
日立製作所は、電気機器製造からスタートした歴史を持ちますが、後に、家電、ITソリューション、医療機器、発電設備、鉄道システムなど事業の幅をみるみる拡大していきました。しかし、かつてコングロマリット・ディスカウントが生じたことで、グループ会社の統合や上場子会社の整理を進めたこともあります。
コングロマリットに関するFAQ
続いて、コングロマリットに関するよくある質問とその答えをみていきましょう。
Q. コングロマリットの対義語は?
コングロマリットの対義語としては、「ピュアプレイ(Pure Play)」「単一事業企業/専業企業」「フォーカスドカンパニー(Focused Company)」などが挙げられます。
ピュアプレイ(Pure Play)
ピュアプレイ(Pure Play)とは、特定の事業・分野に集中している企業です。半導体専業、再生可能エネルギー専業などのように単一事業に集中しているか、あるいはほぼ単一事業に集中している企業のことをいいます。投資の世界においては、コングロマリットの対義語といえば「ピュアプレイ(Pure Play)があがるのが一般的です。
単一事業企業/専業企業
単一事業企業/専業企業とは、売上・利益の大半をひとつの事業が占めている企業です。この言葉は、コングロマリットの対義語というより、「多角化企業」の対義語として使われる場合が多いです。また、会計・経営分析の文脈で使われることも多いです。
フォーカスドカンパニー(Focused Company)
フォーカスドカンパニー(Focused Company)とは、意図的に事業領域を絞って競争優位を築いている企業を指します。ピュアプレイ(Pure Play)と比べると、経営戦略寄りの表現であるといえます。
Q. 就職・転職先としてのメリットは?
コングロマリットに就職・転職する主なメリットは次の通りです。
キャリアの選択肢が広い
事業部間異動・社内転職が可能なため、キャリアの選択肢が広いといえます。同じ会社にいながらにして、成熟事業、成長事業、新規事業を経験できるため、ゼネラリスト志向の人や、やりたいことがまだ固まっていない人などには特に向いているといえるでしょう。
経営・事業視点が身につく
事業横断プロジェクトに関わる機会、経営に近い視点で実務を学べる機会、KPI・ROIC・投資判断などに携われる機会を多く得られるため、将来的に、経営企画や投資・M&A関連職での活躍を希望している人にも向いています。
経営基盤が安定している傾向にある
特定事業が不調でも、全体としての経営基盤は安定しているため、リストラされるリスクなどは極めて低いといえます。また、福利厚生も充実している傾向にあるため、結婚や出産などのライフイベントを予定していても、ワークライフバランスを保ちやすいと考えられます。
教育・人材投資が厚い
研修制度・OJTが体系化されていることや、未経験分野への配置転換が認められやすいことなどから、新しいチャレンジがしやすいといえます。管理職・幹部育成プログラムが整っている場合も多いでしょう。
社内ネットワークが強力
事業部・職種を超えた人脈を形成しやすいといえます。そのことが、将来の異動・昇進・社内公募にもプラスに働く場合があるでしょう。
専門性×汎用性のハイブリットをつくることができる
特定の事業で専門性を深めた後、その知識を別の事業に応用することができるようになる場合があります。たとえば、「製造×IT」「医療×経営」「金融×事業開発」などの新しい事業を開発することも可能でしょう。
Q. コングロマリットで働くことが向いている人/向いていない人の特徴は?
コングロマリットは、キャリア初期から中盤の20~30代で、やりたいことを模索中の人、あるいは、安定と成長の両立を求めている人などに向いています。また、将来的に経営寄りの仕事をしたいという人にも向いているといえるでしょう。
反対に、自分の得意分野で勝負したい人、専門性を突き詰めたい人には、コングロマリットで働くことは向いていないといえます。また、組織が大きいことから調整に時間がかかるというデメリットがあるため、意思決定にスピードを求める人にも向いていません。
コングロマリットの近年の動向
1990年代以降、世界的にみると、巨大なコングロマリットが事業を売却する事例や、分離・独立させる事例が増えています。たとえば、航空機エンジン、発明、金融、家電、医療機器、放送などのあらゆる分野の事業を手掛けていた世界的企業『GE(ゼネラル・エレクトリック)』も、コングロマリット・ディスカウントが問題視されたことから、近年は、事業の「選択」と「集中」に注力しています。
一方、AmazonやMeta、Alphabet(Googleを傘下に持つ持株会社)などのビッグテック(巨大IT企業)は、本業で得た資金をもとに、宇宙開発やヘルスケア、AI、自動運転などの異業種へのM&Aや投資に積極的です。こうした動きを“コングロマリットの新たなカタチ”とする見方もあります。
また、日本国内においては、東京証券取引所による「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(PBR1倍割れ是正など)」の要請以降、コングロマリット・ディスカウント解消に向けた動きが加速しています。
かつては事業規模の拡大(多角化)が良しとされましたが、現在は資本効率(ROICやROE)が重視されるため、相乗効果の薄い事業を売却(カーブアウト)し、得意領域にリソースを集中させる「事業ポートフォリオの再構築」がM&A市場の主要テーマとなっています。
まずは「自分の会社がいくらか」を知るところから
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M&A市場におけるコングロマリットの今後の展望は?
前述した近年の動向を踏まえると、M&A市場におけるコングロマリットの今後の展望としては、M&Aを活用した異業種への進出がさらに活性化することが考えられます。特に、DXやGX(グリーン変革)といった社会的な課題に基づいた買収が増えると見込まれます。言い換えると、デジタル技術やサステナビリティを軸にしながら、テーマに沿ってシナジーを生み出す、戦略的な複合企業体へと進化していく可能性が高いということになります。
同時に、コングロマリット企業が「買い手」となるだけでなく、グループ内の非中核事業を切り出して売却する「売り手」となるケースも急増すると予想されます。M&A市場においては、これら大企業からカーブアウトされる優良事業を、PEファンドや他の事業会社が譲り受ける動きが活発化していくでしょう。
コングロマリットへの投資を検討しているなら、こうした動向などにも目を向けながら判断していくことが大切ですよ。
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この記事は、時点の情報を元に作成しています。
執筆 ジョブカンM&A編集部
ジョブカンM&Aは、株式会社DONUTSが運営するM&Aアドバイザリーサービスです。主に企業の事業承継、成長戦略、出口戦略(イグジット)といった多様なニーズに応えることを目的としています。最大の特徴は、累計導入社数20万社以上を誇るバックオフィス支援クラウドERPシステム「ジョブカン」の広範なネットワークを活用している点です。この強力な顧客基盤を生かし、効率的なマッチングを実現します。
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