時価総額の計算式と意味:投資・M&Aで使える「企業価値」の正しい見方

「時価総額」という言葉はニュースなどで聞く機会も多いため、なんとなく理解しているつもりになっているかもしれません。しかし、投資やM&Aに関する知見を深めたいなら、言葉の意味を正しく説明できるようになっておいたほうがいいでしょう。そこで今回は、計算式まで含め、時価総額について詳しく解説していきます。

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目次
  1. 時価総額とは?
    1. 株価・発行済株式数の確認方法/時価総額計算の注意点
  2. 大型株・中型株・小型株とは?
  3. 未上場企業の時価総額の計算方法は?
    1. コスト・アプローチ
    2. インカム・アプローチ
    3. マーケット・アプローチ
  4. 時価総額の変化をもとに算出する「TOPIX」とは?
    1. TOPIXと日経平均株価の違い
  5. 時価総額と企業価値の違いは?
    1. 企業価値はマイナスになることがある
  6. 時価総額と合わせてチェックしたい指標とは?
    1. PER
    2. PBR
    3. ROE
    4. EV/EBITDA
  7. 時価総額ランキングをチェックする意味とは?
    1. 市場が評価している企業の把握
    2. 業界構造・産業トレンドの把握
    3. 指数構成の中心となっている企業の把握
    4. “資金の流れ”の分析
    5. 企業価値の国際比較
    6. ターゲット探索
    7. 経済の大きな流れを掴むため
  8. 時価総額をチェックするにあたっての注意点
    1. 株価の一時的な上昇で時価総額が急膨張している場合がある
    2. 発行株式が多いだけの見かけ上の巨大企業もある
    3. 営業利益やキャッシュフローを伴っていない企業は株価が崩壊する場合がある
  9. 株式分割、増資、自社株買い、株式併合によって時価総額は変動する?
    1. 株式分割
    2. 増資
      1. 公募増資
      2. 第三者割当増資
    3. 自社株買い
    4. 株式合併
  10. 時価総額は、数字そのものをチェックするのではなく、“読み解く”ことが大切

時価総額とは?

時価総額とは、企業が株式市場においてどの程度の価値があるとみなされているかを示す指標です。計算式がわかると意味が伝わりやすいので、まず計算式を説明すると次の通りです。

時価総額=株価×発行済株式数

つまり、公開企業が発行しているすべての株式の市場価値の合計ということになります。たとえば、株価1,000円で発行済株式数が1,000万株の企業の場合、「1,000×1,000万株=100億円」の時価総額ということになります。なお、時価総額は英語では「Market Capitalization」と表記します。

※また、詳しくは後述しますが、時価総額を知りたい企業が未上場企業の場合、当然ながら上記の計算式を用いることはできないため、別の計算方法が採用されます。

株価・発行済株式数の確認方法/時価総額計算の注意点

時価総額を計算するためには、株価と発行済株式数を知る必要があります。

株価は、証券会社のwebサイトやアプリ、金融情報サイトを通して簡単に確認できます。注意点として、株価は変動するものなので、終値またはリアルタイム値を取得する必要があります。

発行済株式数は、有価証券報告書やIRページで確認することができます。

入手した株価、発行済株式数をもとに計算するにあたって、円換算の場合は為替レートを考慮します。

ここでM&Aや正確な企業分析を行う際に見落としがちなのが「潜在株式」の存在です。

企業によっては、ストックオプション(新株予約権)や転換社債など、「将来、株式に変わる権利」を発行している場合があります。M&Aの買い手としてコストを計算する場合、これらがすべて行使されたと仮定した「完全希薄化後株式数(Fully Diluted)」を用いて時価総額を計算しないと、実際の買収コストを見誤る可能性があるため注意が必要です。

大型株・中型株・小型株とは?

計算式からわかる通り、時価総額を見ると、その企業の市場での規模感がある程度つかめます。規模感の違いによって、株式は次の3種類に分類されます。

区分 時価総額の目安 代表例 特徴
大型株 1兆円以上 ・トヨタ自動車
・ソニーグループ
・三菱UFJFG など
安定性が高く、指数構成比率が大きい
中型株 1,000億円~1兆円 ・カプコン
・コーセー
・サイバーエージェント など
成長性と安定性のバランスがいい
小型株 1,000億円未満 ・ベンチャー
・地場企業 など
変動が大きい=成長余地が大きい

なお、投資をおこなうにあたっては、大型株、中型株、小型株のバランスを考えて配分することが重要です。また、市場が不安定な時期には大型株の比率を上げて、上昇相場においては小型株を増やすなどすることが、リスク分散につながります。

たとえば、大型株と小型株で比較すると、次のような違いがあります。

項目 大型株 小型株
株価変動 緩やか 激しい
流動性 高い(=取引量が多い) 低い(=出来高が低い)
ファンダメンタルの安定性
(企業の業績や財務状況などの経済の土台となる要素の安定性)
高い 低い
成長余地 限定的 大きい

こうした違いを理解したうえで、バランス設計をおこなっていくことが大切です。

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未上場企業の時価総額の計算方法は?

時価総額を知りたい企業が未上場企業の場合、主に次の3つの手法のうちいずれかを用いて時価総額を算出します。

  • コスト・アプローチ
  • インカム・アプローチ
  • マーケット・アプローチ
  • それぞれ具体的には次のような方法です。

    コスト・アプローチ

    コスト・アプローチとは、企業の資産(純資産)を指標として、企業の価値を評価する考え方です。企業価値を「全資産を買い取る際のコスト」とみなして、貸借対照表の資産と負債をもとに株価を評価します。

    インカム・アプローチ

    インカム・アプローチとは、インカム(収益)を指標として、企業の価値を評価する考え方です。「収益=企業が生み出した価値」ととらえるため、資産が少なくとも利益が大きければ、高く評価されることになります。

    インカム・アプローチはいくつかの手法にわけられますが、そのうち代表的な手法である「DCF法」は、事業計画をもとに未来のキャッシュフローを予測して価値評価に組み込みます。そのため、成長性の高いベンチャー企業やスタートアップ企業などの評価に使われることが多いです。

    マーケット・アプローチ

    マーケット・アプローチとは、評価の対象である企業と業態・ビジネスモデルなどが類似している上場企業を探して、その企業の株価などをもとに評価をおこなう手法です。指標となる上場企業の市場評価は客観性が高いものの、類似度が高い企業が見つからない場合もあります。

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    時価総額の変化をもとに算出する「TOPIX」とは?

    続いては、時価総額の変化をもとに算出する「TOPIX」について解説します。

    TOPIX(東証株価指数)は「Tokyo Stock Price Index」の略で、東証プライム市場の全銘柄の時価総額加重平均で算出される指数です。基準日である1968年1月4日時点の時価総額(8兆6,020億5,695万1,154円)を100として、そのときどきでの時価総額を指数化しています。

    たとえば、2025年11月19日時点の日本における時価総額ランキングTOP5は、トヨタ自動車、三菱UFJFG、ソフトバンクG、ソニーグループ、日立製作所ですが、1位のトヨタ自動車の時価総額が約48兆円であるのに対して、2位以下は、三菱UFJFG=約29兆円、ソフトバンクG=約27兆円、ソニーグループ=約27兆円、日立製作所=約22兆円となっており、トヨタ自動車が2位以下を大きく引き離しているこることから、トヨタ自動車がTOPIXに与える影響は他の企業と比べて極めて大きいということになります。

    TOPIXと日経平均株価の違い

    日経平均株価は、TOPIX同様、日本を代表する株価指数ですが、対象銘柄の数をはじめいくつかの違いがあります。大まかな相違点は次の表の通りです。

    TOPIX 日経平均株価
    算出元 東京証券取引所 日本経済新聞社
    対象 新規:プライム市場に新規上場する銘柄 プライム市場から選出された225銘柄
    銘柄数 1,680銘柄
    (2025年8月29日時点)
    225銘柄
    表示単位 ポイント 円・銭
    算出方法 浮動株時価総額加重型 株価平均型

    なお、日経平均の銘柄数は225銘柄で固定されていますが、TOPIXの銘柄数は、2022年からはじまった市場再編に伴うルール見直しの結果として段階的に削減されており、再々編が実施される予定の2028年7月には約1,200銘柄にまで減少する見通しとされています。

    時価総額と企業価値の違いは?

    続いては、時価総額と企業価値の違いを説明します。

    時価総額とは、前述の通り、株主が法有している株の合計価格です。企業の株式市場における人気や将来への期待値などが反映される指標であることから、企業価値と混同しがちですが、この2つには明確な違いがあります。

    もっとも大きな違いは、「計算式に負債を入れるか」どうかです。時価総額の計算式は、前述の通り、「時価総額=株価×発行済株式数」ですが、企業価値の計算式は次の通りです。

    企業価値=時価総額+有利子負債-現金および現金同等物

    負債を含めて計算することによって何がわかるかというと、“よりリアルな企業としての価格”です。なぜかというと、企業を買収する際には、株主にお金を払う(その合計額が時価総額)だけでなく、企業の負債も引き受ける必要があるためです。

    つまり、言い換えると、時価総額は「株主が持っている部分の値段」であるのに対して、企業価値は「会社を丸ごと買収するときの値段」ということになります。

    ただし、M&Aの実務においてはもう一点、重要な視点があります。「時価総額そのままの金額では買収できないことが多い」という点です。

    M&Aで企業の経営権(支配権)を握るためには、現在の株価に対して30〜40%程度の「コントロール・プレミアム(支配権獲得のための上乗せ価格)」を支払うのが一般的です。したがって、M&Aにおける実質的な買収総額を考える際は、「時価総額+プレミアム」が株式の購入価格になると理解しておく必要があります。

    なお、企業価値は英語にすると「Enterprise Value」とない、頭文字をとって「EV」と表されることもあります。

    時価総額と企業価値のそのほかの違いを含めた主な違いは、次の表の通りです。

    時価総額 企業価値(EV)
    意味 株主の持分価値 企業全体の実質価値
    視点 株主 買収者・投資銀行
    計算式 株価×発行済株式数 時価総額+有利子負債-現金および現金同等物
    含まれる範囲 株主へのリターン部分 負債+株主資本の合計
    主な利用者 個人投資家・経営者・株式市場など M&A・機関投資家など
    使われるシーン 株価評価・時価総額ランキングなど 買収価格算定・バリュエーション比較など

    企業価値はマイナスになることがある

    時価総額、企業価値の計算式の違いからわかる通り、時価総額はマイナスになることはあり得ませんが、企業価値は、理屈上、マイナスになることがあります。

    企業価値の計算式は前述の通り、「時価総額+有利子負債-現金および現金同等物」であるため、「時価総額が小さい」もしくは「現金の総額が大きい、または負債がほぼない」といった場合、マイナスになり得ます。

    なぜこうしたことが起こり得るかというと、株式市場がその企業の事業価値をほとんど評価していないためです。たとえば、「本業が赤字で将来価値が薄い」「上場維持コストが本業の利益より大きい」「解散・清算したほうが価値が高いと考えられる」「持っているキャッシュを有効に使えていない」などの場合、「現金があっても、企業全体としては価値が小さい」とみなされて株価が低くなることから、企業価値がマイナスになる場合があるのです。

    なお、企業価値がマイナスである場合、清算すると現在の株価より価値が戻ってくる可能性があります。

    M&A・事業承継で失敗したくないなら

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    時価総額と合わせてチェックしたい指標とは?

    時価総額単体でのチェックのみだと、投資判断は難しいといえますが、次の4つの要素も併せて確認すれば、総合的に判断しやすくなります。

  • PER
  • PBR
  • ROE
  • FV/EBITDA
  • それぞれ詳しく解説していきます。

    PER

    PERとは、「Price Earnings Ratio」の略称で、日本語では「株価収益率」となります。株価と利益を比べて、株価が割安か割高かを判断するために重要な指標です。

    PERは次の計算式で算出できます。

    PER=株価÷1株あたり純利益(EPS)

    なお、EPSの計算式は「EPS=当期純利益÷発行済株式数」となります。

    PBR

    PBRとは、「Price Book-Value Ratio」の略称で、日本語では「株価純資産倍率」となります。1株あたり純資産と株価を比べるための指標です。

    PBRは次の計算式で算出できます。

    PBR=株価÷1株あたり純資産(BPS)

    なお、BPSの計算式は「BPS=純資産÷発行済株式数」となります。

    ROE

    ROEとは、「Return On Equity」の略称で、日本語では「自己資本利益率」となります。意味としては、“企業が自己資本に対してどれだけ利益を生み出したか”ということになります。

    ROEは次の計算式で算出できます。

    ROE=当期純利益÷自己資本×100

    一般的には、この計算結果が10%以上であると、投資価値がある優良企業とされています。

    EV/EBITDA

    EV/EBITDAとは、EV(企業価値)がEBITDA(利払前・税引前・減価償却前利益)の何倍にあたるかを示す指標です。M&AにおけるEV/EBITDAは、「買収費用を何年間で回収できるか」の指標となります。倍率が低いほど、買収の成果があると考えられます。

    時価総額ランキングをチェックする意味とは?

    先の表で解説した通り、企業価値は主にM&Aにおける買収価格算定時などに役立つ指標である一方、時価総額は個人投資家や経営者、市場関係者もこまめにチェックする指標です。

    時価総額ランキングをチェックする主な目的は、上位にランクインしている大企業の順位を知ることではありません。時価総額は、市場の構造やトレンドを把握するうえで重要な指標であるため、チェックする意味や、チェックすることによって得られるメリットはさまざまにあります。具体的には、次のような目的でチェックしています。

  • 市場が評価している企業の把握
  • 業界構造・産業トレンドの把握
  • 指数構成の中心となっている企業の把握
  • “資金の流れ”の分析
  • 企業価値の国際比較
  • ターゲット探索
  • 経済の大きな流れを掴むため
  • それぞれ詳しく解説していきます。

    市場が評価している企業の把握

    先に解説した通り、時価総額には、企業の株式市場における人気や将来への期待値などが反映されます。時価総額が高いと、市場からの期待や信頼が大きく、時価総額が低迷していると市場の期待が落ちているということになるので、時価総額をみることで、市場での企業の評価がわかります。また、急にランクが上がった企業は、成長ドライバーをつかんでいる企業ということになります。

    こうした市場での評価を把握することは、投資判断やM&Aに活かすことができます。

    業界構造・産業トレンドの把握

    時価総額ランキングの上位にランクインする業界は、時代によって大きく異なります。10年単位でみると、2000年代には銀行、石油、通信が強かったですし、2010年代はIT、プラットフォーム企業が上位にランクインしていました。そして2020年代は半導体、AI関連が強いという流れですが、2020年代後半になってくるとまた新たな風が吹いてくるかもしれません。

    指数構成の中心となっている企業の把握

    先に解説した通り、時価総額が高い企業は、TOPIXなどの指数に強く影響します。言い換えると、時価総額が高い企業は、市場全体を動かす“主役銘柄”ということになりますが、この主役銘柄を知ることは、投資家が市場を読むうえで非常に大切です。

    “資金の流れ”の分析

    投資家には、“資金の流れ”を読む力も求められます。たとえば、半導体メーカーが急浮上してきた場合、AI需要が市場を動かしていると考えられますし、小売りや外食が上昇していることは、内需回復を示唆しています。このような“資金の流れ”を読むことができたら、次の投資先を決めやすくなります。

    企業価値の国際比較

    同じ業種における、世界トップクラスの企業と日本の企業を比べると、日本の企業の世界での立ち位置がわかります。たとえば、トヨタ/ステラ、ソニー/Apple、任天堂/Tencent などの企業の時価総額を比べてみることで、事業規模だけではわからない“市場評価の差”を把握することができます。

    ターゲット探索

    時価総額は、M&A実務などにおいても役立てられることがあります。たとえば、同業他社の規模感、潜在的買収対象の比較、株主価値の分析などをおこないたい場合に、まず時価総額をチェックすることが有効です。

    経済の大きな流れを掴むため

    時価総額ランキングをみれば、日本、または世界の経済の中心がどこにあるのかを直感的に理解することができます。それによって、経済ニュースの理解度が高まります。

    なお、時価総額ランキングが経済ニュースに取り上げられるタイミングとしては、「新興企業が老舗を抜いたとき」「海外企業との時価総額差が注目されているとき」「為替や株価変動によってランキング順位が入れ替わったとき」などが挙げられます。なお、これらは日本企業の国際競争力がどう変わっているかを示す指標でもあるので、前述の「企業価値の国際比較」も併せて実践するとさらに経済への理解が深まるでしょう。

    M&A・事業承継で失敗したくないなら

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    時価総額をチェックするにあたっての注意点

    時価総額ランキングをチェックすることは、先に挙げた項目の役に立つ側面がある一方、注意すべき点もいくつかあります。具体的には次の通りです。

  • 株価の一時的な上昇で時価総額が急膨張している場合がある
  • 発行株式が多いだけの見かけ上の巨大企業もある
  • 営業利益やキャッシュフローを伴っていない企業は株価が崩壊する場合がある
  • それぞれ詳しく解説していきます。

    株価の一時的な上昇で時価総額が急膨張している場合がある

    株価が決算発表で一時的に2倍になれば、時価総額も2倍になります。しかし、時価総額の急上昇は、投資家の期待が一時的に高まったことが原因である場合が多いので、注意が必要です。PERが過剰に高くなっている場合、まさしく“期待が先行しているだけのバブル状態”であるといえるでしょう。こうした場合、翌期の業績が悪化すれば、完全に元に戻ることが多いです。

    発行株式が多いだけの見かけ上の巨大企業もある

    EPS(1株あたりの純利益)が低くても、発行株式数が多いと時価総額は大きくなるため、巨大企業に見えてしまいがちです。そのため、前述の通り、ROEなども隈なくチェックして、利益効率についても把握することが大切なのです。

    営業利益やキャッシュフローを伴っていない企業は株価が崩壊する場合がある

    株価は投資家の期待によって上がることがありますが、利益や現金が伴わなければ、次第に剝落していきます。そのため、営業利益率、営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローなども併せてチェックすることが大切であるといえます。

    株式分割、増資、自社株買い、株式併合によって時価総額は変動する?

    時価総額は株価と株数によって決定するため、株式分割、増資、自社株買い、株式併合をおこなうと時価総額にも変化があるのか気になるところです。

    結論からいうと、上記4種類の施策には、株価が上がるものも下がるものもあり、株数が増えるものも減るものもありますが、時価総額の変化としては次の表の通りです。

    施策 株価 株数 時価総額 施策実施の主な目的
    株式分割 下がる 増える 変わらない 株式の流動性向上・投資家層拡大
    増資 下がる 増える 横ばい、あるいはやや上昇 成長資金の調達
    自社株買い 上がる 減る 横ばい~上昇 株主還元・資本効率改善
    株式合併 上がる 減る 変わらない 信用力回復・生理目的

    株式分割

    「株式分割」とは、1株を複数株にわけることを意味します。たとえば、1株を2株に分割した場合、株数は2倍になり、1枚あたりの株価は従来の半分になります。そのため、株価×株数の計算結果である時価総額に変わりはありません。

    ただし、「成長企業が株式を分割したことで株価が上昇することが期待できる」と市場に判断された場合、株式分割後に株価が上がることがあります。近年の日本でいうと、任天堂やキーエンスが株式分割後に再評価されています。

    増資

    「増資」とは、株式を新たに発行することによって資金を調達することを意味します。増資によって発行済株式数が増えると、株価が下落するのが一般的です。ただし、増資によって得た資金を成長投資に使うと、中長期的にみるとプラスになることがあります。たとえば、トヨタは増資資金をEV(電気自動車)事業に投じて長期的に株価を押し上げています。

    なお、増資の手法としては、主に次の2つが挙げられます。

    公募増資

    市場に新株を発行して資金を集める手法です。

    第三者割当増資

    特定の投資家や企業に対して新株を発行する手法です。

    自社株買い

    「自社株買い」とは、企業が市場から自社の株を買い戻すことを意味します。自社株買いを実施すると、市場に出回っている株数は減る一方、株価は上がる傾向にあります。

    自社株買いを実施するとEPS(1株あたりの純利益)が上がることから、投資家からの評価が上がります。また、株主還元が強化されたと判断されるため、株価が上昇しやすくなります。自社株買いを実施しても時価総額が横ばいの場合もありますが、トヨタや三菱商事、NTTなどは、大型の自社株買いを実施した結果、時価総額を拡大させることに成功しています。

    株式合併

    「株式併合」は、株式分割とは反対に、複数の株を1つにまとめる手法です。これによって、発行済株式数は減りますが、株価は上がるため、時価総額は変動しません。

    時価総額は、数字そのものをチェックするのではなく、“読み解く”ことが大切

    ここまで解説してきた通り、時価総額が変動する理由はいくつも考えられますし、時価総額が上がったからといって業績がいいとは限りません。そのため、投資やM&Aをおこなうにあたっては、時価総額の数字のみをチェックするのではなく、その数字となった理由や背景にまで目を向けて、今後どれくらい期待できる企業であるのかを“読み解く”ことが大切です。まずは、先に解説したPER、PBR、ROE、FV/EBITDAなどをチェックすることからはじめてみるのもおすすめです。

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    ジョブカンM&A ジョブカンM&A編集部

    ジョブカンM&Aは、株式会社DONUTSが運営するM&Aアドバイザリーサービスです。主に企業の事業承継、成長戦略、出口戦略(イグジット)といった多様なニーズに応えることを目的としています。最大の特徴は、累計導入社数20万社以上を誇るバックオフィス支援クラウドERPシステム「ジョブカン」の広範なネットワークを活用している点です。この強力な顧客基盤を生かし、効率的なマッチングを実現します。


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