親の会社を継ぐ前に知るべき全知識|覚悟と準備、税金まで解説

親が経営している会社を継ぐことには、メリットがある反面、デメリットや注意点もあります。また、身内の会社だからと気軽に継げることはなく、必要な準備や手続きをとりながら、最適なタイミングで継ぐことを考えることが大切です。そこで今回は、親の会社を継ぐ前に頭に入れておくべきことを詳しく解説していきます。

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目次
  1. 「親の会社を継ぐ」とは?
    1. 事業承継の3つの種類とは?
  2. 「親の会社を継ぐ」3つの方法
    1. 相続
    2. 生前贈与
    3. 株式譲渡
  3. 「親の会社を継ぐ」にあたって支払いが必要になる税金は?
    1. 相続税
    2. 贈与税
    3. 所得税・復興特別所得税・住民税
  4. 親の会社を継ぐ前に考えるべきことは?
    1. 覚悟の有無
    2. 自身のライフプラン
    3. 適正の有無
    4. 会社の経営状況および将来性
    5. 会社の経営方針
    6. 現経営者との関係性
    7. 他の家族・親族との関係
  5. 親の会社を継ぐメリット・デメリット
    1. 親の会社を継ぐメリット
      1. 事業の基盤ができている
      2. 実績がある場合は、金融機関から資金調達しやすい
      3. 地域や業界からの社会的信用を引き継ぐことができる
      4. 現経営者からのサポートを受けやすい
      5. 外部株主が少ないもしくはゼロの場合、意思決定がスムーズ
      6. 従業員や取引先から信頼されやすい
    2. 親の会社を継ぐデメリット
      1. ゼロイチの楽しさを味わえない
      2. 既存のやり方を変えることが容易でない場合がある
      3. 先代と比較されやすい
      4. 負債を引き継がなければならない場合がある
      5. 引き継ぎ後に人間関係のトラブルなどが発覚する場合がある
      6. 経営判断に私情が入りやすい
      7. 他の親族との間で揉める場合がある
  6. 【M&A買い手目線でのチェックポイント】
  7. 【親目線で子どもに会社を継がせるときに考えること】親族内承継か、M&Aか? 経営者が下すべき「究極の選択」の判断基準
    1. 判断基準
    2. 親族内承継か、M&Aか?経営者が下すべき『究極の選択』の判断基準
  8. 親の会社を引き継ぐために必要な準備とは?
    1. 事業承継計画の策定
    2. 経営者に必要なスキル習得
    3. 経営状況の把握および情報整理
    4. 社内外の関係者との関係作り
    5. 株式や資産の整理・税金対策
      1. 事業承継で活用できる支援も要チェック!
  9. 親の会社を継ぐベストなタイミングとは?
  10. 親の会社を継ぐことに関するFAQ
    1. Q. 子どもに継ぐ意思がない場合、経営者は何をすべきか?
    2. Q. 兄弟姉妹がいる場合、注意すべきことは?
    3. Q. 子どもが親の会社を継ぐ場合、従業員にはどんなタイミングで伝えるべきか?
  11. 親族内承継を成功させるための『3つの心得』
    1. 「親と子」の関係を「前経営者と後継者」の関係に切り替える覚悟を持つ
    2. 経営者としての「教育」と「権限委譲」を計画的に行う。
    3. 万が一に備え、M&Aの専門家にも相談しておく

「親の会社を継ぐ」とは?

「親の会社を継ぐ」は、言い換えると、子どもによる事業承継です。創業者あるいは現経営者である親から、その子どもに、会社の経営権や、株式などの資産を引き継ぐことを意味します。

一般的な事業承継同様、社長という役職を引き継ぐだけでなく、会社の理念や文化、従業員、取引先との関係なども含めて、会社全体を引き継ぐことになります。さらに、場合によっては借入金も引き継ぐことになります。

事業承継の3つの種類とは?

子どもが後継者として事業を承継する場合を含む、親族間での承継は「親族内承継」と呼ばれますが、承継はそのほかに「従業員承継(役員承継)」「第三者承継(M&Aなど)」の2種類が存在します。

「従業員承継(役員承継)」とは、親族以外の従業員や役員が後継者となり、事業承継することです。一方、「第三者承継」とは、社外の第三者に事業承継することを意味します。第三者承継には、株式や事業を第三者に譲渡する「M&A」や、取引先や取引金融機関などから後継者を招く「外部招聘」があります。

なお、「従業員承継(役員承継)」と「第三者承継」をまとめて「親族外承継」と呼びます。

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「親の会社を継ぐ」3つの方法

親の会社を継ぐ、つまり親族内承継する方法は主に次の3パターンにわけられます。

  • 相続
  • 生前贈与
  • 株式譲渡
  • それぞれ詳しく説明していきます。

    メリット デメリット
    相続 ・前経営者が生涯現役でいられる
    ・事業承継税制(後述)を活用することで税金の負担を軽減できる場合がある
    ・会社の株式や資産を一括して相続できる
    ・相続税が発生する
    ・前経営者が突然死去した場合、準備不足でトラブルが生じる可能性がある
    ・相続人が複数いる場合、遺産分割の話し合いでトラブルが勃発する場合がある
    生前贈与 ・前経営者が後継者をしっかり育成できる
    ・事業承継税制(後述)を活用することで税金の負担を軽減できる場合がある
    ・計画的に進めることで、贈与税の非課税枠を活用できる
    ・贈与税が発生する可能性がある
    ・贈与後に親が経営に関与すると、税務上、問題になる場合がある
    ・贈与後、経営方針の違いなどから親子間の対立が生じることがある
    株式譲渡 ・前経営者が株式の対価を得ることができる
    ・後継者が自分の資金で経営をスタートすることになるため、新しい経営方針を打ち出しやすい
    ・遺留分割のトラブルを回避できる
    ・後継者が株式の購入資金を用意する必要がある
    →株式の価格が高い場合、買収資金の準備が難しい場合がある

    相続

    現経営者の死去に伴い、後継者が事業を継ぐ方法です。基本的には、後継者が現経営者の配偶者または血族かつ法定相続人である場合、相続で紹介することが可能です。ただし、遺言を活用すれば、法定相続人以外でも相続で事業承継することはできます。

    生前贈与

    贈与者が財産を無償で贈ると意思表示して、受贈者がそれを承諾すると、「生前贈与」という形で、現経営者の存命中に承継することが可能です。

    生前贈与は、現経営者が健在のうちに承継できることから、親族間のトラブルに発展しにくいメリットがありますが、一方で、相続税が高くなる可能性があるというデメリットも存在します。ただし、年単位で段階的に財産を後継者に渡せば、一度に多額の税金が課される可能性が低くなります。

    株式譲渡

    一般的なM&Aの手法である株式譲渡によって、親子間で承継されるケースもあります。この方法を選択すると、承継する側の後継者が、株式を購入するための資金を用意しなくてはならないため金銭的負担が大きくなりますが、そうであるがゆえに、資金を用意する覚悟やゆとりのない後継者候補を排除できるというメリットもあります。

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    「親の会社を継ぐ」にあたって支払いが必要になる税金は?

    親の会社を継ぐとなると、前述の通り、株式譲渡であれば、株式を購入するための資金が必要になりますが、それ以外に税金も発生します。具体的に発生する税金について詳しくみていきましょう。

    相続税

    相続によって事業承継した場合、後継者は相続税を支払う必要があります。相続税の税率と控除額は次の表の通りです。

    法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
    1,000万円以下 10%
    1,000万円超から3,000万円以下 15% 50万円
    3,000万円超から5,000万円以下 20% 200万円
    5,000万円超から1億円以下 30% 700万円
    1億円超から2億円以下 40% 1,700万円
    2億円超から3億円以下 45% 2,700万円
    3億円超から6億円以下 50% 4,200万円
    6億円超 55% 7,200万円

    参照:国税庁「相続税の税率」

    贈与税

    生前贈与で事業承継した場合、後継者は贈与税を支払う必要があります。贈与税の課税方法には。「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、前者の場合、基礎控除額は110万円で、1年間に贈与を受けた財産の合計額が110万円以下なら贈与税が発生しないため、年単位で段階的に贈与するケースが多いです。

    一方の相続時精算課税制度とは、2,500万円までは受贈者が贈与税を納めることなく贈与を受けられる制度で、2024年1月1日以降におこなわれた贈与に関しては、基礎控除110万円が取得財産価額の合計に適用されます。

    ただし、贈与者が亡くなった際に、贈与財産の価額と相続財産の価額を合計した金額をもとに相続税額を計算して、その金額を一括で納付しなければなりません。

    参照:国税庁「贈与税がかかる場合」

    所得税・復興特別所得税・住民税

    株式譲渡で事業譲渡した場合、株式を譲渡した側、つまり前経営者には、所得税・復興特別所得税・住民税が課されます。所得税は譲渡益に対して15%、住民税は5%で、復興特別所得税は、2037年までの期間限定で、書く年分の基準所得税額に2.1%乗じた金額が課されます。

    参照:国税庁「株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」

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    親の会社を継ぐ前に考えるべきことは?

    「親や周囲からの期待に応えなければならない」というプレッシャーがあったとしても、最終的に親の会社を継ぐかどうかを決めるのは後継者自身です。その判断を間違えないためにも、親の会社を継ぐかどうか決めるにあたっては、次のポイントについて確認することが大切です。

  • 覚悟の有無
  • 自身のライフプラン
  • 適正の有無
  • 会社の経営状況および将来性
  • 会社の経営方針
  • 現経営者との関係性
  • 他の家族・親族との関係
  • 自身のライフプラン
  • それぞれ詳しくみていきましょう。

    覚悟の有無

    最初に確認すべきは、「自分は本当に経営者になりたいのか」ということです。あるいは、「本当は別の人生を歩みたい」という思いがあるものの、それと同様に、「代々続いている家業を守りたい」という気持ちも存在しており、後者を選択する覚悟を決めているというケースもあるでしょう。

    いずれにしても、「経営者として会社や従業員の生活を守っていく」という覚悟がなければ、会社を継いだところで長く続けていくことは難しいと考えられます。

    自身のライフプラン

    会社を経営するとなると、家族との時間や趣味の時間が制限されることもあります。そのため、経営者としての責任を果たしながらも、家族や自分の個人的な思いも大切にしていくことができるのかどうか、長期的な視野で検討することが大事です。

    適正の有無

    経営者になりたい思いや、会社を継ぐという意思があったとしても、適性がなければ、後継者となってから苦労する可能性が高いといえます。経営者に不可欠なリーダーシップや決断力、従業員や取引先との信頼関係を築くためのコミュニケーション能力などに長けているのかどうか、足りない部分があるなら、努力によって改善できるのかなどを客観的目線で確認してみましょう。

    会社の経営状況および将来性

    資産、負債、収益性などの財務状況、市場での立ち位置、将来性などを分析して、どんな課題があるのかを考え、課題をクリアできる見込みがあるのかどうかについても考えます。特に、多額の負債を抱えている場合などは慎重になる必要があります。必要に応じて専門家にも相談しながら、よりよい判断を下していきましょう。

    会社の経営方針

    会社の経営方針が自分の方針と合っているかどうかは、大切なチェックポイントです。自身の考えと異なる場合、そこに歩み寄ることができるのか、もしくは、うまくすりあわせすることができるのかどうかをしっかり考えてみましょう。

    現経営者との関係性

    現経営者との関係性に問題がある場合、承継後、トラブルが生じる可能性が考えられます。たとえば、会社を継いだ後も、自身が経営者であるかのように振る舞われたり、何かと口出しされたりすることはないのかどうかなどを考え、場合によっては、承継前に対策を講じておいたほうがよいかもしれません。

    他の家族・親族との関係

    特に相続での事業譲渡の場合、株式や資産の分配、役職などを巡って、兄弟や姉妹など、自分以外に相続人となる可能性のある家族とトラブルになるケースがあります。骨肉の争いを避けるためには、事前によく話し合い、合意形成を図っておくことが不可欠です。

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    親の会社を継ぐメリット・デメリット

    続いては、親の会社を継ぐメリットとデメリットを比較していきましょう。

    親の会社を継ぐメリット

    まずはメリットから確認していきます。

  • 事業の基盤ができている
  • 実績がある場合は、金融機関から資金調達しやすい
  • 地域や業界からの社会的信用を引き継ぐことができる
  • 現経営者からのサポートを受けやすい
  • 外部株主が少ないもしくはゼロの場合、意思決定がスムーズ
  • 従業員や取引先から信頼されやすい
  • それぞれ詳しくみていきましょう。

    事業の基盤ができている

    顧客、従業員、設備、ノウハウなどの基盤があるため、ゼロから起業する場合のように、立ち上げ期の負担がかかることがなく、早期に事業を軌道に乗せやすいといえます。

    実績がある場合は、金融機関から資金調達しやすい

    会社にある程度の実績がある場合、金融機関からの信用を得やすくなるため、資金調達が必要となった場合、比較的容易に借入できるでしょう。

    地域や業界からの社会的信用を引き継ぐことができる

    地域や業界で長年かけて培ってきた社会的信用がある場合、その信用を引き継げることから、たとえば、従来の仕事を引き続き任せてもらえるなどメリットが大きいでしょう。

    現経営者からのサポートを受けやすい

    現経営者である親との関係が良好であれば、経営に関するノウハウや人脈などに関して、しっかりサポートしてもらうことができるでしょう。

    外部株主が少ないもしくはゼロの場合、意思決定がスムーズ

    外部株主が少ないか、あるいはゼロの会社の場合、承継後も基本的にスムーズに意思決定できると考えられます。そのため、「経営方針などに関して反対意見が上がって、その対策に追われる」ということはほとんどないでしょう。

    従業員や取引先から信頼されやすい

    現経営者が、従業員や取引先から信頼を得ている場合は、その子どもということで信頼してもらえる可能性が高いといえます。ただし、信頼関係を持続できるかどうかは、新しい経営者次第ではあります。

    親の会社を継ぐデメリット

    続いてはデメリットです。

  • ゼロイチの楽しさを味わえない
  • 既存のやり方を変えることが容易でない場合がある
  • 先代と比較されやすい
  • 負債を引き継がなければならない場合がある
  • 引き継ぎ後に人間関係のトラブルなどが発覚する場合がある
  • 経営判断に私情が入りやすい
  • 他の親族との間で揉める場合がある
  • それぞれ詳しくみていきましょう。

    ゼロイチの楽しさを味わえない

    新しいことを立ち上げるのが好きなタイプにとっては、既存の事業を引き継いでいくことは物足りなく感じられるかもしれません。ただし、既存の事業を続けながら、新しい商品やサービスを開発したり、海外に進出したりと、基盤が整っているからこそすぐにチャレンジできることも多いでしょう。

    既存のやり方を変えることが容易でない場合がある

    仕事の進め方など、既存のやり方を変えようと思っても、古参従業員から反対意見が上がることなどがあるかもしれません。たとえば、エクセルで管理していたものを専用ソフトでの管理に変えたい場合なども、これまでのやり方に慣れている従業員は嫌がるかもしれません。

    先代と比較されやすい

    「前経営者の時代と比べて仕事しやすくなった」ならいいですが、逆のパターンもあり得るため、比較されることにストレスやプレッシャーを感じるかもしれません。場合によっては、「経営者の素質がないのに、親が会社を経営していたから経営者になれた」と陰口をたたかれる可能性も無きにしも非ずです。

    負債を引き継がなければならない場合がある

    会社が有しているのはプラスの資産のみとは限りません。負債を引き継ぐことになった場合、返済に追われることになる可能性があります。

    引き継ぎ後に人間関係のトラブルなどが発覚する場合がある

    帳簿に落とし込まれていない債務保証や訴訟リスク、人間関係の問題などが引き継ぎ後に発覚する場合があります。人間関係の問題に関しては、先代が把握していなかったというケースもあるでしょう。

    経営判断に私情が入りやすい

    家族経営であるがための私情が入ると、経営判断がうまくいかなくなることがあります。また、公私混同を招くリスクも高いといえます。

    他の親族との間で揉める場合がある

    株式の相続などを巡って、他の親族と揉める可能性があります。それを防ぐためにも、先に述べた通り、承継前に合意形成を図ることが大切です。

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    【M&A買い手目線でのチェックポイント】

    M&Aの買い手目線でみると、親族承継を断念した企業を買収する際のチェックポイントはいくつかあります。親族内承継を検討していた企業がM&A市場に出てくることは頻繁にありますが、財務諸表だけでは見えないリスクを洗い出すため、以下の点に注意する必要があります。

    ①承継が頓挫した本当の理由
    「後継者の能力不足」「相続での親族トラブル」「実は事業に将来性がない」など、本当の理由によって買収後のリスクは大きく変わります。経営者へのヒアリングで慎重に見極める必要があります。
    ②キーパーソンとなる親族の処遇
    後継者候補ではなかったものの、事業の中核を担う親族(兄弟など)がいないか確認は必須です。その人物がM&A後も会社に残ってくれるかは、事業の継続性を左右する最重要事項です。
    ③公私混同に起因する隠れ債務
    親族経営の会社では、帳簿に載らない債務や経営者個人の資産・負債が会社と混同されているケースがあります。デューデリジェンスで徹底的に洗い出す必要があります。

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    【親目線で子どもに会社を継がせるときに考えること】親族内承継か、M&Aか? 経営者が下すべき「究極の選択」の判断基準

    子どもに会社を継がせることは多くの経営者の願いですが、それが必ずしも会社と従業員にとって最善の選択とは限りません。会社の未来を第一に考え、M&A(第三者承継)という選択肢と客観的に比較検討することが不可欠です。ここでは、その判断基準を解説します。

    判断基準

    親族内承継が適しているケース M&A(第三者承継)が適しているケース
    後継者の意思・能力 子どもに明確な経営意欲と能力があり、従業員からの信頼も厚い 子どもに継ぐ意思がない、または経営者としての適性に懸念がある
    会社の成長戦略 現状の事業モデルで安定的な成長が見込める さらなる成長のために、他社の資本や技術、ネットワークが必要
    経営者の利益 会社の所有と経営を親族内で維持することに価値を感じる 会社の売却益で引退後の生活資金を確保して、個人保証から解放されたい
    従業員の雇用 経営理念や文化が維持されて、従業員の安心につながる より経営基盤の安定した企業の傘下に入ることで、雇用の安定や待遇改善が期待できる

    親族内承継か、M&Aか?経営者が下すべき『究極の選択』の判断基準

    親族内承継とM&Aのどちらを選ぶか迷った際、経営者が自問すべき本質的な問いが2つあります。それは、**『誰のために、何のために事業承継をするのか?』と『会社にとっての本当の幸せとは何か?』**という問いです。
    親の感情として「子どもに継がせたい」と考えるのは自然なことですが、会社の将来、そして従業員の生活を守るという経営者としての責任を果たすためには、客観的な視点が不可欠です。子どもの能力や意思だけでなく、会社の成長に必要な資源(資金、技術、販路など)が社内にあるか、それとも外部の力が必要なのかを見極めることが重要です。
    親子の関係性や感情的な側面を一旦脇に置き、会社が10年後、20年後にどうあるべきかを真剣に問い直すことが、後悔しない選択につながります。

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    親の会社を引き継ぐために必要な準備とは?

    親の会社をスムーズに引き継ぐためには、次に挙げる準備が不可欠です。

  • 事業承継計画の策定
  • 経営者に必要なスキル習得
  • 経営状況の把握および情報整理
  • 社内外の関係者との関係作り
  • 株式や資産の整理・税金対策
  • それぞれ詳しくみていきましょう。

    事業承継計画の策定

    親子間の承継であっても、一般的な承継同様、事業承継計画を策定することが大切です。事業承継の実施に向けて、現在の課題や対策、承継の時期などを書類にまとめて、親子間および関係者との間で共有します。

    経営者に必要なスキル習得

    承継を実施する前に、経営者として必要な知識およびスキルを身に着けるための期間を設けることはとても大切です。現経営者から直々に教えてもらうことで身に着けられることもありますが、それに加えて、社内でいくつかの部署を経験したり、もしくは他社で修業したりといった経験を積めば、先代の有していない視点を持ったうえで経営者に就任することになるため、大きな強みとなり得ます。

    経営状況の把握および情報整理

    会社の財務状況や現在の事業内容、組織体制などを客観的なデータに基づいて正確に把握します。確認した情報は、親子間で共有するだけでなく、誰が見ても理解できるように整理して、関係者にも共有することが大切です。

    社内外の関係者との関係作り

    従業員や役員、取引先、金融機関をはじめとするステークホルダーに対して、後継者の存在を事前に周知させたうえで、関係作りに時間を割いていくことが大切です。この工程を経ることなく、ある日突然、「今日から経営者が変わります」と発表しても、先方としてはスムーズに受け入れることができません。

    株式や資産の整理・税金対策

    誰がどれだけの株式を保有しているのか、会社の資産はどれだけあるのかを明確にして、どのような手法で相続するのかを決めていきます。先に解説した通り、相続であれば相続税、生前贈与であれば贈与税がかかり、株式譲渡であれば前経営者の金銭的負担が大きくなるので、税金対策についてもしっかり考える必要があります。

    事業承継で活用できる支援も要チェック!

    なお、事業承継においては、次のような支援を受けられる場合があります。事前にしっかり調べておけば、スムーズに支援を受けられるでしょう。

    事業承継税制
    会社や個人事業の後継者が取得した一定の資産について、贈与税や相続税の納税を猶予する制度です。会社の株式等を対象とする「法人版事業承継税制」と、個人事業者の事業用資産を対象とする「個人版事業承継税制」があります。

    参照:中小企業庁「事業承継」

    参照:国税庁「事業承継税制特集」

    金融支援
    事業承継に際して必要となる資金に関して、融資と信用保証の特例によって支援してもらえる制度です。

    参照:中小企業庁「事業承継に必要な資金」『事業承継における融資・保証制度』

    遺留分に関する民法の特例
    続人同士の遺留分の話し合いを事前に解決するための制度です。主に、生前贈与された自社株式等を遺留分の算定基礎財産から除外する「除外合意」と、株式の評価額を固定する「固定合意」があり、これらを組み合わせることも可能です。

    参照:中小企業庁「事業承継と民法〈遺留分〉」『事業承継を円滑におこなうための遺留分に関する民法の特例』

    所在不明株主に関する会社法の特例
    非上場の中小企業が代表者の高齢化などで事業承継が困難な状況にあり、さらに一部株主の所在不明が円滑な承継を阻害している場合に、都道府県知事から認定を受けることで、所在不明株主の権利を保護する期間が通常の5年間から1年間に短縮されて、迅速な事業承継が可能になるという制度です。

    参照:中小企業庁「経営承継円滑化法による支援」

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    親の会社を継ぐベストなタイミングとは?

    子どもが親の会社を継ぐのにベストなタイミングは、先に解説した承継方法のうちどの方法で承継するのかなどによっても変わってきます。

    たとえば、生前贈与の場合、先に解説した通り、2024年1月からは、累計2,500万円までの特別控除のほかに、年間110万円までの贈与に関して、贈与税も相続税も発生しないため、贈与する金額に合わせてタイミングを決めることが望ましいといえるでしょう。

    また、早い段階で、後継者となる子どもが親の会社を継ぐ覚悟を決めている場合、どの方法で承継するにしても、しっかりと時間をかけて承継することができるため、「早期に経営に参加」、もしくは「他の会社で研鑽を積む」ことに5~10年程度かけることを視野に入れてタイミングを決めるといいでしょう。

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    親の会社を継ぐことに関するFAQ

    続いては、子どもが親の会社を継ぐことに関して、よくある質問とその答えをみていきましょう。

    Q. 子どもに継ぐ意思がない場合、経営者は何をすべきか?

    A. 子どもが継がないという決断は、経営者にとって次の重要なステップに進むためのサインです。会社の価値が毀損しないうちに、速やかに以下の選択肢を検討して、行動を開始する必要があります。

    1. M&Aによる第三者への売却
    会社の成長や従業員の雇用を守りつつ、経営者は創業者利益を得ることができます。会社の価値を正しく評価して、最適な相手を見つけるために、早い段階でM&Aの専門家に相談することが成功の鍵です。

    2. 従業員への承継(MBO/EBO)
    長年会社を支えてきた役員や従業員に経営を引き継ぐ方法です。経営理念を維持しやすい一方、後継者となる従業員に株式の買取資金がないケースが多く、金融機関からの融資など資金調達が大きな課題となります。

    3. 廃業
    他に選択肢がない場合の最終手段です。従業員の解雇や取引先への影響が避けられず、資産の現金化にも時間と費用がかかります。廃業を選ぶ前に、M&Aの可能性を一度は検討すべきです。

    Q. 兄弟姉妹がいる場合、注意すべきことは?

    兄弟姉妹がいる場合、遺産分割で揉めるケースがあるため注意が必要です。

    それを避けるため、先に解説した通り、事前に合意を形成することはもちろん大切ですが、話し合いをしてもなかなか合意に至らないことも考えられます。

    そのため、たとえば兄弟姉妹間で公平性を保つために、

  • 継がない兄弟姉妹には現金や不動産など別の資産を相続させる
  • 生前贈与や生命保険を利用してバランスを取る
  • といった「代償分割」や「補填策」を検討するといいでしょう。

    また、遺言書や事業承継計画を作成していないまま親が亡くなると、兄弟姉妹で揉める可能性が高くなるため、早い段階で親の意思を明確にして、それを書類として残しておくことも大切です。

    Q. 子どもが親の会社を継ぐ場合、従業員にはどんなタイミングで伝えるべきか?

    従業員に伝えるタイミングの目安は、「親子間で承継方針が固まったあと」です。

    特に、複数の子ども、つまり複数の候補者がいる場合、「誰が後継者になるのか」「いつ頃交代するのか」を明確にしてから、従業員に伝えることが大切です。

    また、経理責任者、部門長、ベテラン社員などの、承継後の会社運営を支えるキーパーソンに対しては、一般社員よりも早い段階で伝えて、理解と協力を得ることが理想です。

    会社全体に対しては、代表交代の正式決定後に、できるだけ早い段階で伝えます。社員総会や朝礼など、全員がそろう場で親から直接発表して、後継者を紹介するのが一般的です。

    親族内承継を成功させるための『3つの心得』

    親族内承継は、計画通りに進まないリスクもはらんでいます。以下の3つの心得を持つことで、後継者だけでなく、現経営者もスムーズな承継をサポートできます。

    「親と子」の関係を「前経営者と後継者」の関係に切り替える覚悟を持つ

    感情的なしがらみや過去の関係性に引きずられず、お互いが会社の未来のために客観的な意見を交換できる関係性を築くことが不可欠です。

    経営者としての「教育」と「権限委譲」を計画的に行う。

    承継の準備期間は、後継者が経営者としてのスキルを身につけるための「教育期間」であると同時に、親が後継者に少しずつ「権限を委譲」する期間でもあります。口出しをしすぎず、後継者の成長を信じて見守る姿勢が求められます。

    万が一に備え、M&Aの専門家にも相談しておく

    親族内承継を最優先で進めるにしても、後継者が途中で意欲を失ったり、適性がなかったり、あるいは他の親族とのトラブルが深刻化したりするリスクはゼロではありません。そうした事態に備え、信頼できるM&Aアドバイザーと事前にコンタクトを取り、いつでも第三者承継に切り替えられる準備をしておくことが、経営者として会社を守るための重要なリスクヘッジとなります。

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    ジョブカンM&A編集部

    執筆 ジョブカンM&A編集部 | ジョブカンM&A編集部

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