【2025年版】負債比率の目安は? 業種別の平均値と財務改善5つのステップを解説

「負債比率」は、企業の財務構造を評価するにあたって不可欠な指標です。なぜかというと、他人資本である「負債」が、自己資本である「純資産」に対してどのくらい多いのかがわかるため、企業の財務的な安全性などを把握することができるからです。具体的に、負債比率がどのくらいの値であれば財務状況が健全であるかなどについて解説していきます。

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目次
  1. 負債比率とは? まずは基本を1分で理解しよう
  2. 負債比率の計算方法
  3. 負債比率の適正水準とは?
    1. 業種別の負債比率の平均は?
      1. 建設業:110%
      2. 製造業:101%
      3. 情報通信業:80%
      4. 運輸業・郵便業:173%
      5. 卸売業:130%
      6. 小売業:178%
      7. 不動産業・物品賃貸業:149%
      8. 学術研究・専門技術サービス業:52%
      9. 宿泊業・飲食サービス業:525%
      10. 生活関連サービス業・娯楽業:189%
      11. サービス業(他に分類されないもの):122%
  4. 負債比率が高いとどんなリスクが考えられる?
  5. M&Aに向けた財務改善5つのステップ
    1. ステップ1:現状把握と目標設定
      1. 業界平均との比較: 自社が属する業界の平均値(記事で既に解説)と比較し、現状の立ち位置を客観的に評価します。
      2. M&Aの目標設定: 理想的な譲渡価格や、買い手から見た魅力度を最大化するための具体的な数値を定めます。たとえば「D/Eレシオを1.0以下にする」といった明確な目標を立てることが重要です。
    2. ステップ2:負債の削減
      1. 不採算事業の整理・撤退: 収益を生んでいない事業や資産を売却することで、一時的に多額の資金を得て有利子負債の返済に充てます。
      2. 収益性の向上: 粗利の低い商品の見直し、価格改定、業務効率化によるコスト削減など、本業の収益性を高めて得られた利益を借入金の返済に回します。
    3. ステップ3:自己資本の増強
      1. 利益の内部留保: 配当を抑え、利益を社内に留保することで、自己資本を着実に増加させます。
      2. 増資の実施: 株主割当増資や第三者割当増資をおこない、外部から新たな資本を導入します。これにより、財務基盤を根本から強化できます。
    4. ステップ4:簿外債務の洗い出しと開示
      1. 未払い残業代や退職給付引当金: 従業員に関する隠れた債務がないか確認します。
      2. 係争中の訴訟リスク: 将来的な損害賠償リスクとなりうる訴訟がないか、法務面でのチェックをおこないます。
      3. リース債務や債務保証: 貸借対照表に記載されていないリース契約や、関連会社に対する債務保証の有無を確認し、その内容を明示します。
    5. ステップ5:シナジー効果の具体化とアピール
      1. 定量的なシナジー効果の提示: 買い手の持つ販売網や技術と自社の強みを組み合わせることで、M&A後に具体的にどれだけの売上増やコスト削減が実現できるかを数値で示します。
      2. M&A後の財務改善計画: 統合後の事業計画に沿って、負債比率やD/Eレシオがどのように改善されるかのロードマップを提示します。これにより、買い手は「M&Aによって高すぎる負債比率が改善される」という未来の展望を具体的にイメージでき、交渉を有利に進めることが可能になります。
  6. M&Aにおける負債比率の影響は?
    1. M&Aの譲渡価格に直結する「有利子負債」
    2. M&Aで重視される「D/Eレシオ(負債資本倍率:Debt Equity Ratio)」とは?
    3. 負債比率はM&Aのシナジー効果で改善される場合がある
    4. 売り手の戦略:シナジー効果を具体的にアピールする
  7. 「負債比率」「D/Eレシオ」同様に確認したい4つの指標
    1. 簿外債務(★デューデリジェンスの最重要チェック項目★)
      1. <簿外債務の具体例>
    2. 交差比率
    3. 債務償還年数
    4. ROE(自己資本利益率)
  8. 負債比率が低すぎる場合、デメリットや注意点はある?
      1. 1. レバレッジ効果が働かない
      2. 2. ROE(自己資本利益率)が低くなる
      3. 3. 銀行・金融機関との関係が弱まる
      4. 4. 税務上のメリットを活かせない
      5. 5. 余剰資金を有効に活用できなくなる
  9. 負債比率の定期的な見直しが大切

負債比率とは? まずは基本を1分で理解しよう

「負債比率」とは、自己資本である「純資産」に対しての、他人資本である「負債」の割合を示す指標です。

自己資本は、自分で調達した資金(資本)であるため、返済義務がありません。一方の他人資本は、他人から調達した資金(資本)であるため、返済義務があります。

この2つの資本のバランスを示す指標が「負債比率」であり、負債比率がわかれば、企業の返済余力や安全性まで把握できます。

負債比率が高い企業は、借金の返済や利子の支払いが多いということになるため、特に景気が悪いときには、借金や支払い義務に経営が圧迫される可能性が高くなります。

負債比率が低い企業は、主に自己資本で経営しているため、景気の影響を受けにくいとされています。

ただし、自社の成長のためにうまく他人資本を使っている企業もあるため、負債比率のみで企業を評価することはできません。各企業を評価するにあたっては、その企業の収益性や、業界の特徴にまで目を向けて総合的に判断することが大切です。

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負債比率の計算方法

負債比率は、次の計算式によって算出できます。

(負債合計 ÷ 自己資本)× 100 = 負債比率(%)

この式は、返済義務のない自己資本に対して、返済義務のある負債が何倍あるかを示します。

たとえば、負債合計が5,000万円、自己資本が1億円の場合、計算式は「(5,000万円 ÷ 1億円)× 100」となり、負債比率は50%です。これは自己資本の半分まで負債でまかなっている状態を示します。

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負債比率の適正水準とは?

負債比率がどの程度であれば適正だといえるのかは、業種や企業規模によって異なりますが、目安としては、50%以下であれば財務健全性が高いとされています。一方、負債比率が100%を超える場合は、財務健全性が低い状態であると考えられます。

ただし、資金調達や投資判断をおこなう場合は、現在の負債比率だけでなく、過去の負債比率からの推移や競合他社との比較などもおこない、総合的に判断することが大切です。

業種別の負債比率の平均は?

前述の通り、負債比率の適正な水準は、業種や企業規模によって異なります。

たとえば、建設業界や通信業界などの設備投資が大きい業界は、負債比率が高くなる傾向にある一方、固定資産が少なく運営資金が必要な場合が多いサービス業や販売業は、負債比率が低い傾向にあります。

中小企業庁によって公表されている、「令和7年中小企業実態基本調査」をもとに算出された主な業界の負債比率の平均は次の通りです。

建設業:110%

建設業全体の負債比率の平均は110%ですが、電気工事や左官工事などの専門分野に特化した「職別工事業」に関しては、専門機材への投資や下請け体制の維持が必要であることから、負債比率の平均は141%と高めです。一方、空調や給排水などの「設備工事業」は、技術力が重視されることや、継続的な受注が見込めることなどから、負債比率の平均は89%と低い水準となっています。

製造業:101%

製造業の負債比率は細かい業種によって差が大きく、原材料の仕入れや冷蔵・冷凍設備への投資、衛生管理のための設備投資が必要な「食料品製造業」が155%と高い水準である一方、安定した収益を得られる「業務用機械器具製造業」は61%、長期的に安定した需要がある「窯業・土石製品製造業」は66%と低い水準を維持しています。

情報通信業:80%

情報通信業のなかで負債比率の平均が高いのは、システム開発やデータセンター設備への投資が必要な情報サービス業で、102%である一方、広告収入やライセンス収入が得られる「放送業」は40%と極めて低い水準です。

運輸業・郵便業:173%

運輸・郵便業全体の負債比率の平均は173%と、他の業界と比べて高めですが、そのなかでも群を抜いているのが「水運業」で、負債比率の平均は589%にも上ります。理由は、船舶の建設費や港湾設備に投資が必要であることと、国際海運市況の変動の影響にあります。一方、物流拠点の建設や自動化設備への投資が必要であるものの、安定した需要がある「倉庫業」の負債比率の平均は89%と低めです。

卸売業:130%

卸売業のなかで負債比率の平均が高いのは、生鮮食品の仕入れや冷蔵・冷凍設備への投資が必要な「飲食料品卸売業」で、負債比率の平均は197%です。一方、設備投資が少なくて済む「繊維・衣服等卸売業」の負債比率の平均は64%と低い水準となっています。

小売業:178%

店舗の内装費用や季節商品の仕入れが必要な「繊維・衣服・身の回り品小売業」の負債比率の平均は330%と高水準である一方、ドラッグストアやホームセンターなどの「その他の小売業」は、その半分以下の140%となっています。ただし、ドラッグセンターにしろホームセンターにしろ競争率が高いため、設備投資などが継続的に必要です。

不動産業・物品賃貸業:149%

長期的な賃料収入によって投資を回収できる「不動産賃貸業・管理業」の負債比率の平均が125%であるのに対して、リース物件の購入資金が必要な「物品賃貸業」は226%と高めです。また、不動産の仕入れや販売活動が必要な「不動産取引業」も213%と高めです。

学術研究・専門技術サービス業:52%

人的資本が主要な経営資源となる「専門サービス業(他に分類されないもの)」の負債比率の平均は43%と極めて低い水準です。負債比率の平均がもっとも高い「広告業」でも、クリエイティブ制作設備への投資は必要であるものの、知識集約型であることから、107%と適正水準になっています。

宿泊業・飲食サービス業:525%

建設・改装費用が莫大なホテルや旅館などの「宿泊業」の負債比率の平均は731%と極めて高い水準です。店舗の内装費用や暖房設備に投資することが必要な「飲食店」も409%と高めです。一方、調理設備や配達システムへの投資がメインの「持ち帰り・配達飲食サービス業」は309%と、飲食店と比べると低い水準となっています。

生活関連サービス業・娯楽業:189%

衛生管理や設備の維持に継続的に投資することが必要な「洗濯・理容・美容・浴場業」は315%と高い水準となっています。設備投資が必要であるものの、洗濯・理容・美容・浴場業に比べると衛生管理への投資は少なくて済む「娯楽業」の負債比率の平均は158%となっています。

サービス業(他に分類されないもの):122%

上記に分類されないサービス業としては、負債比率の平均が85%の「廃棄物処理業」、負債比率の平均が同じく85%の「職業紹介・労働者派遣業」、負債比率の平均が138%の「自動車整備業」などがあります。

参照:中小企業庁「令和7年中小企業実態基本調査」

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負債比率が高いとどんなリスクが考えられる?

負債比率の平均が極端に高いと、金融機関の借り入れが制限されたり、取引先や顧客からの信頼が低下したりすることが考えられます。先に解説した通り、多額の設備投資が必要な業界もありますが、だからといって対策を取らなくていいということはなく、利益率の改善やコスト削減に取り組み、経営の安定化を図ることが大切ですし、業界全体でも財務改善について考えていくことが重要であるといえます。

M&Aに向けた財務改善5つのステップ

M&Aを検討する上で、財務改善は譲渡価格の向上や買い手との交渉を有利に進めるために不可欠です。ここでは、特に売り手が実践すべき具体的な5つのステップを解説します。

ステップ1:現状把握と目標設定

まずは自社の負債比率やD/Eレシオを正確に把握し、M&Aの目標設定をおこないます。

業界平均との比較: 自社が属する業界の平均値(記事で既に解説)と比較し、現状の立ち位置を客観的に評価します。

M&Aの目標設定: 理想的な譲渡価格や、買い手から見た魅力度を最大化するための具体的な数値を定めます。たとえば「D/Eレシオを1.0以下にする」といった明確な目標を立てることが重要です。

ステップ2:負債の削減

M&Aの譲渡価格に直結する有利子負債を削減します。負債を減らす主な方法は以下の通りです。

不採算事業の整理・撤退: 収益を生んでいない事業や資産を売却することで、一時的に多額の資金を得て有利子負債の返済に充てます。

収益性の向上: 粗利の低い商品の見直し、価格改定、業務効率化によるコスト削減など、本業の収益性を高めて得られた利益を借入金の返済に回します。

ステップ3:自己資本の増強

次に、分子である有利子負債を減らすだけでなく、分母である自己資本を増やすことでD/Eレシオを改善します。

利益の内部留保: 配当を抑え、利益を社内に留保することで、自己資本を着実に増加させます。

増資の実施: 株主割当増資や第三者割当増資をおこない、外部から新たな資本を導入します。これにより、財務基盤を根本から強化できます。

ステップ4:簿外債務の洗い出しと開示

財務諸表に記載されない簿外債務は、M&Aのデューデリジェンスで発覚した場合、取引破談の原因になり得ます。事前に以下の項目を洗い出し、買い手に対して誠実かつ具体的に開示することが非常に重要です。

未払い残業代や退職給付引当金: 従業員に関する隠れた債務がないか確認します。

係争中の訴訟リスク: 将来的な損害賠償リスクとなりうる訴訟がないか、法務面でのチェックをおこないます。

リース債務や債務保証: 貸借対照表に記載されていないリース契約や、関連会社に対する債務保証の有無を確認し、その内容を明示します。

ステップ5:シナジー効果の具体化とアピール

財務改善の取り組みだけでなく、M&A後の将来的な価値を買い手に明確に提示することも重要です。

定量的なシナジー効果の提示: 買い手の持つ販売網や技術と自社の強みを組み合わせることで、M&A後に具体的にどれだけの売上増やコスト削減が実現できるかを数値で示します。

M&A後の財務改善計画: 統合後の事業計画に沿って、負債比率やD/Eレシオがどのように改善されるかのロードマップを提示します。これにより、買い手は「M&Aによって高すぎる負債比率が改善される」という未来の展望を具体的にイメージでき、交渉を有利に進めることが可能になります。

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M&Aにおける負債比率の影響は?

M&Aにおいては、負債比率が高い企業は譲渡価格が下がる可能性が大きいといえます。

ただし、負債比率が高い場合でも、有益な資産を有しており、収益性が高ければ、適切に評価されるため、しっかりと対策をとることが大切です。

M&Aの譲渡価格に直結する「有利子負債」

負債比率で用いる「負債」には、買掛金や未払金といった営業活動に付随する負債も含まれます。しかし、M&Aの価格算定(バリュエーション)で特に買い手が注視するのは、利息の支払いが発生する「有利子負債(借入金や社債など)」です。

なぜなら、企業の譲渡価格は、事業全体の価値(企業価値)からこの有利子負債を差し引いて算出されることが多いためです。つまり、有利子負債の額は、売り手オーナーの手取り額に直接影響します。

この有利子負債と自己資本のバランスを見るための指標が、次に解説する「D/Eレシオ」です。

M&Aで重視される「D/Eレシオ(負債資本倍率:Debt Equity Ratio)」とは?

具体的にどんな対策をとればいいかというと、まず、M&Aにおいては、負債比率よりも、企業の資本源泉のうち負債が資本の何倍に当たるかを示す「D/Eレシオ(負債資本倍率:Debt Equity Ratio)」が重視されるため、D/Eレシオを適正地に保つよう、利益率の改善やコスト削減に取り組むことです。D/Eレシオの適正地は業界などによっても異なりますが、目安としては、1.0以下であれば健全とされています。

なお、D/Eレシオの計算方法は「有利子負債÷自己資本」です。

負債比率はM&Aのシナジー効果で改善される場合がある

M&Aにおける譲受企業は、一般的に、譲渡企業とのシナジー効果を期待してM&Aを実行します。シナジー効果が得られた場合、売り上げや利益の向上、資本増強による負債の一括償還などが期待できるため、もともとの負債比率の平均が高すぎたとしても、M&Aによって改善されるケースも多いです。そのため、M&Aによって大きなシナジー効果が得られるであろう企業を選ぶことも、大切なポイントであるといえます。

売り手の戦略:シナジー効果を具体的にアピールする

前述の通り、負債比率はM&Aのシナジー効果によって改善される場合があるため、自社の負債比率が高いからといって、売り手はM&Aを諦める必要はありません。では、どのような戦略をとればいいかというと、「買い手候補との統合によって、どのようなシナジー効果を生むことができて、その結果として財務状況がどう改善するのか」という未来の展望を具体的に提示することです。

たとえば、「買い手の販売網を活用することで売上が〇%増加し、有利子負債を〇年で返済可能です」といった具体的な計画を示すことで、買い手は安心してM&Aを進めることができ、交渉を有利に進められる可能性が高まります。

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「負債比率」「D/Eレシオ」同様に確認したい4つの指標

企業の経営状況を的確に把握するためにも、「負債比率」「D/Eレシオ」以外に次の4つの指標についても理解しておくことが大切です。

  • 簿外債務(★デューデリジェンスの最重要チェック項目★)
  • 交差比率
  • 債務償還年数
  • ROE(自己資本利益率)
  • それぞれ詳しく解説していきます。

    簿外債務(★デューデリジェンスの最重要チェック項目★)

    貸借対照表に記載されている負債以上に、M&Aの買い手が警戒するのが「簿外債務」です。これは財務諸表に現れない隠れた債務であり、M&A成立後に買い手側の負担となる可能性があります。売り手が事前にこれらのリスクを洗い出し、買い手に誠実に開示することがトラブル防止の鍵となります。

    <簿外債務の具体例>

  • 未払いの残業代
  • 退職給付引当金の不足
  • 訴訟を抱えている場合の損害賠償リスク
  • リース契約における将来の支払い義務(リース債務)
  • 債務保証(他社の借入を保証しているケース)
  • これらの簿外債務は、デューデリジェンス(買収監査)の過程で厳しく調査され、発覚した場合は譲渡価格の大幅な減額や、M&A取引自体が破談になる原因ともなります。

    交差比率

    交差比率とは、在庫の投資効率を測る指標です。次の計算式によって求められます。

    在庫回転率×粗利益率=交叉比率

    在庫回転率とは、一定期間内にどれだけ在庫を出し入れしたかを示すもので、交差比率が高いほど、効率的に利益を上げていると判断することができます。

    債務償還年数

    債務償還年数とは、借金を完済するまでにかかる年数を示す指標です。年数が短いほど、返済能力が高いと判断することができます。

    計算式は何通りかありますが、なかでもわかりやすいのは次の計算式です。

    借入金÷(当期純利益+減価償却率-法人税など)=債務償還年数

    ROE(自己資本利益率)

    ROE(Return On Equity/自己資本利益率)とは、株に投資してどれだけの利益を得られるかを示した指標です。つまり、株主から見た収益率ということになります。ROEを求める計算式は次の通りです。

    当期純利益÷自己資本=自己資本利益率

    自己資本利益率の目安は5~10%で、10%以上になる場合、その企業は優良だということになります。

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    負債比率が低すぎる場合、デメリットや注意点はある?

    ここまで、負債比率が高い場合の改善方法やM&Aへの影響などを中心に解説してきましたが、実は、負債比率が低すぎる場合にも、デメリットや注意点があります。

    具体的には、次のようなデメリット、注意点が考えられます。

    1. レバレッジ効果が働かない

    負債を活用すれば、少ない自己資金で大きく投資できます。自己資金と借入金を併用することで、見た目の利回り以上の収益を得られることを「レバレッジ効果」といいますが、つまり、負債の活用によって、レバレッジ効果が期待できるということです。

    しかし、負債比率が極端に低いと、この効果を得ることができず、成長スピードが鈍化する可能性があります。

    2. ROE(自己資本利益率)が低くなる

    先に解説した通り、自己資本利益率の目安は5~10%です。これより少ないと、投資家から「効率的に資本を使っていない会社」と評価されるリスクが高まります。

    3. 銀行・金融機関との関係が弱まる

    借入がほとんどないと、銀行との取引実績が乏しく、いざ大規模投資や資金繰りが必要になった際に信用取引の蓄積がなく、借りづらいことがあります。

    4. 税務上のメリットを活かせない

    借入金利は損金算入できるため、法人税の節税効果を得られます。しかし、負債が少ないと、税務シールド(利子控除効果)が得られないため、税負担が重くなりがちです。

    5. 余剰資金を有効に活用できなくなる

    自己資本が過大だと、会社に資金が滞留して、余剰資金を眠らせてしまうことになります。本来は配当や成長投資に回せる資金を「安全性確保」の名目で抱えすぎると、資本効率の低下につながります。

    つまり、負債比率は「低ければ低いほど」いいというわけではなく、業種は成長段階に応じて、最適なバランスを目指すことが大切だということになります。

    負債比率の定期的な見直しが大切

    ここまで解説してきた通り、負債比率は高すぎても低すぎてもよくありません。特に、M&Aを視野に入れている場合は、適正値を考えながら、経営状況の改善を目指すことがとても大切です。なお、負債比率は自己資本や負債の額によって変動するものなので、現時点で理想のバランスであったとしても、定期的に見直すことも大切ですよ。

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    ジョブカンM&A編集部

    執筆 ジョブカンM&A編集部 | ジョブカンM&A編集部

    ジョブカンM&Aは、株式会社DONUTSが運営するM&Aアドバイザリーサービスです。主に企業の事業承継、成長戦略、出口戦略(イグジット)といった多様なニーズに応えることを目的としています。最大の特徴は、累計導入社数20万社以上を誇るバックオフィス支援クラウドERPシステム「ジョブカン」の広範なネットワークを活用している点です。この強力な顧客基盤を生かし、効率的なマッチングを実現します。


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