
経営統合とは、企業の成長や競争力向上を目的としたM&Aの手法の一つです。実施する際には、事業シナジーだけでなく、既存株主の株式がどうなるのか、株価がどう変動するのかといった点も重要な検討事項となります。この記事では、経営統合の基本的な仕組みから、株価への影響、株式交換の具体例、個人投資家の売買戦略まで、経営統合を多角的に解説します。
経営統合とは
経営統合とは、複数の会社が共同で新しい持株会社を設立して、それぞれの会社がその持株会社の傘下に入ることを意味します。
たとえば、株式会社A、株式会社B、株式会社Cの3社が、株式会社Xという持株会社を新設して、A、B。CはXの子会社となるのも経営統合です。なお、経営統合においては、A、B、Cの法人格は、子会社となった後も独立して維持されます。そのため、経営方法がまったく異なる会社数社でも、経営統合をおこなうことが可能ということになります。
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経営統合の流れ
経営統合は、後述しますが、細かく分類すると主に3つの方式にわけられますが、大きな括りとして流れを説明すると、次の手順で進めてくことになります。
基本合意書(MOU:Memorandum of Understanding)の締結
経営統合を希望する企業間で基本合意書を締結します。基本合意書は、経営統合の基本方針や目的、交渉の進め方を明確にして、今後の詳細な協議の土台を作っていくために不可欠な文書です。基本合意書を締結することによって、お互いの経営陣や株主に対して、経営統合の方向性を示すことが可能となり、経営統合に向けた具体的なプロセスを進めていけるということになります。
ただし、基本合意書を締結することによって経営統合が確定するわけではありません。なぜかというと、この段階においては、基本合意書は法的拘束力を持っていないのが一般的であるためです。
デューデリジェンスの実施
基本合意書締結後には、デューデリジェンスを実施して、統合対象の企業の財務・法務・事業の詳細を精査する必要があります。財務に関しては、負債やキャッシュフローの健全性を調査することが大切ですし、法務に関しては、契約や知的財産権の問題を確認します。デューデリジェンスによって問題が発見された場合、統合条件の修正や契約の再交渉が必要となる場合があります。
統合条件の交渉と確定
デューデリジェンスの結果を踏まえ、経営統合の具体的な条件を交渉し、最終的な合意を形成します。交渉において最も重要な交渉事項の一つが、株式交換比率です。これは、統合対象企業の企業価値を公正に評価し、その価値に基づいて決定される必要があります。具体的には、DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)や類似会社比較法といった企業価値評価手法を用いて算定されますが、専門家(証券会社や会計士)の意見を参考にしながら交渉が進められます。株式交換比率は、統合後の株主構成や株主の経済的利益に直接影響するため、公正性・透明性が非常に重要です。
正式契約の締結
経営統合の統合条件が確定したら、経営統合契約を正式に締結します。統合の実施方法、各社の役割、統合後の経営体制などまで細かく定めていきます。正式条約の締結が済んだら、経営統合に関する各会社の義務と責任が明確になり、経営統合が法的に確定します。
法的手続きの実行
正式契約が確定したことを関係者に説明して、必要に応じて株主総会の承認を得たら、経営統合に必要な法的手続きを実施します。具体的には、株式交換や株式移転の登記、独占禁止法上の審査、監督当局への必要書類提出などをおこなう必要があります、
なお、独占禁止法の規制に該当する場合においては、公正取引委員会などの審査を受けることが必須です。
ステークホルダーへの対応
株主、従業員、取引先などのステークホルダーに経営統合についての情報を開示します。統合によって事業環境が変化することから、適切に説明していくことが求められます。株主に対しては、統合のメリットやシナジー効果を説明して統合の意義を理解してもらう必要がありますし、従業員に対しては、統合後の雇用や待遇について説明することが不可欠です。
統合準備委員会の設置および実務作業実施
財務、人事、ITシステムの統合など、具体的なタスクを管理するために統合準備委員会を設置して、実務レベルでの統合作業を進めていきます。
クロージング
クロージングとは、経営統合の実施日を意味します。実施日は、新たな経営体制がスタートする日でもあります。
経営統合の種類
株式移転方式 | 株式交換方式 | 抜け殻方式(会社分割方式) | |
定義 | 既存の会社が全株式を新設持株会社に移転して子会社となる | 親会社が子会社の全株式を取得して、自己株式などを交付する | 親会社が主要事業を子会社に移管して持株会社となる |
必要な手続き | ・株式移転計画作成 ・株主総会承認 ・反対株主対応 ・持株会社設立登記 など |
・株式交換締結 ・株主総会承認 ・反対株主対応 ・登記 など |
・事業移転 ・株主総会承認 ・債権者説明 ・子会社設立登記 (必要に応じて許認可再取得) など |
メリット | ・既存会社の独立性維持 ・買収資金が不要 ・組織再編の柔軟性 など |
・買収資金が不要 ・少数株主の排除 ・対象会社の独立性維持 など |
・現金調達が不要 ・親会社の株主手続きが不要 ・経営効率化 など |
デメリット | ・手続きが煩雑 ・持株会社の株価下落リスク ・反対株主対応 など |
・手続きが煩雑 ・親会社の株価下落リスク ・株主構成の変化 など |
・許認可の再取得が必要な場合がある ・株主総会承認が必要 ・従業員の手続きが必要 |
経営統合には、主に次の方式があります。
それぞれ詳しく解説していきます。
株式移転方式
既存の会社が、発行済の自社株式のすべてを新設する持株会社に移転させて、持株会社を親会社とし、既存の会社は完全子会社となる方式です。この際、各社の株主は、保有する株式を新設される持株会社の株式と交換します。これにより、各社の株主は持株会社の株主となります。
この方式が、前述した「株式会社A、株式会社B、株式会社Cの3社が、ホールディングス化された株式会社Xという持株会社を新設して、A、B。CはXの子会社となる」というパターンということになります。
株式移転方式は次の2種類にわけられます。
単独株式移転:
1つの会社が単独で株式移転をおこなうケース
共同株式移転:
2つ以上の会社が共同で株式移転をおこなうケース
株式交換方式
完全親会社となる会社が、完全子会社となる会社の発行済株式すべてを取得して、その対価として、完全子会社となる会社に対して、対価として自己株式などを交付する方式です。
抜け殻方式(会社分割方式)
親会社が自社の主要な事業を子会社に移管して、親会社自身は子会社の株式を保有するだけの持株会社となる方式です。
経営統合、合併、資本提携、業務提携の違いは?
続いては、経営統合と混同しがちな手法との違いをみていきます。
観点 | 経営統合 | 合併 | 資本提携 | 業務提携 |
定義 | 複数の会社が共同で持ち株会社を新設して、各会社はその傘下に入る | 複数の会社が法的にひとつの組織体となる | 複数の会社が株式を持ち合って協力関係を築く | 複数の会社が資本関係なしに事実上の協力関係を結ぶ |
法人格 | 各会社の法人格は存続する | 他の会社を吸収した会社のみ存続するか、もしくはすべての会社が消滅して新たな会社が新設される | 各会社の法人格は存続する | 各会社の法人格は存続する |
目的 | ・グループ経営の効率化 ・独立性維持 ・リスク分散 など |
・経営資源の効率的活用 ・市場シェア拡大 ・競争力強化 など |
・協力関係構築 ・技術・ノウハウの相互提供 ・安全株主の確保 |
製品・サービス開発、販売促進など特定の事業目標の達成 |
資本関係経営への影響 | 新設持株会社に株式を集中 | 既存の会社に統合または新会社に統合 | 相互に株式を取得し合う | 資本関係なし |
協力の範囲 | グループ全体での戦略共有、資源の共有など広範囲に協力し合う | 事業、組織、システムなど包括的な統合をおこなう | 特定の技術開発、販売協力など限定的な協力 | 製品開発、販売、物流など特定の業務領域において協力する |
期間の目安 | 長期間 | 長期間 | 中長期 | 短中期 |
具体例 | A社、B社が持株会社C社を新設して、A社、B社はC社の子会社となる | A社がB社を吸収合併する、あるいはA社とB社が統合されてC社を新設する | 同業種のA社とB社が互いに株式を持ち合う | A社が新しい市場を開拓するために、現地のB社と販売提携を結ぶ |
経営統合と合併の違いは?
経営統合と合併は、複数の会社が協力し合うための手法である点において共通しています。
しかし前述の通り、経営統合によって、新設された持株会社の子会社となった各会社は法人格を維持し続けるのに対して、合併に関しては、他の会社を吸収合併した会社のみが存続するか、もしくはすべての会社が消滅して新しい会社が設立されるという点に大きな違いがあります。つまり、経営統合後はグループ全体の会社数は増加しますが、合併後は会社数が減少することになります。
また、経営統合はそれぞれの会社が独立性を維持しながらグループとして協力し合う関係を築くのに対して、合併は経営資源や事業活動を一体化させることから、より深い統合となります。しかも、合併の場合、人事制度やITシステムなども直ちに統合することになるため、統合プロセス(PMI/Post Merger Integration)にも多大な労力と時間を要します。
合併は経営統合と比べてより一体的な運営が可能となることから、長期的に見ると大きなシナジー効果が期待できる可能性がありますが、そのぶん、統合コストが高く、リスクも伴います。加えて、吸収される側の従業員が、処遇や担当業務が変更となることから、将来に対する不安を抱きやすいといえます。一方、経営統合は緩やかな連携であることから、効果の発言には時間がかかる可能性があるものの、統合に伴う従業員の抵抗や混乱は少ない傾向にあります。
経営統合と資本提携の違いは?
経営統合と資本提携は、企業間の協力関係を構築する手段である点においては共通していますが、協力関係を構築する目的や、資本関係、経営への影響において違いがあります。
経営統合は、複数の会社がそれぞれの株式を持株一社に集約して、意思決定機能を一本化する仕組みであるのに対して、資本提携は、これまで資本関係になかった複数の企業が、相互に株式を持ち合うなどして協力し合うことをいいます。なお、株式を持ち合うとお互いに安定株主となり、増資もできることから、株価の上昇も期待できます。
また、経営統合においては持株会社を中心とした明確な親子関係が構築されて、グループ全体の経営戦略や意思決定を持株会社がおこなうようになるのに対して、資本提携においては、お互いに相手側の株式を取得するものの、経営権に影響を与えるほどの割合ではないのが一般的であるため、双方の経営は独立しています。とはいえ、一定数の株式が相手に渡るのは事実であるため、経営に介入される可能性がゼロということはありません。なお、持株比率が1%を超えると会社の方針や経営に提案する「株主提案権」が与えられ、持株比率が3%を超えると会社の会計帳簿を閲覧することができます。
また、経営統合はグループ全体での戦略共有や関係深化を目的として、より広範囲における協力関係を構築していくのに対して、資本提携の場合、特定の事業領域やプロジェクトにおいてのみ協力関係を構築するケースが多いです。この特徴は、「各会社間の結びつきが弱い」ととることもできますが、だからこそ、より小さなリスクで新規事業に挑戦できるのはメリットといえます。また、出資を受けた側は、出資金を新たな経営資金として活用することもできます。
また、資本提携は、将来的な合併や買収の第一歩となる場合もありますが、そうしたルートを辿ることなく、資本提携解消に至った場合には、株式の買い戻しなどに費用や手間が発生します。
経営統合と業務提携の違いは?
経営統合と業務提携の最大の違いは、資本関係の有無にあります。経営統合においては、資本の移動や集約が必須となりますが、業務提携においては、協力関係への合意がおこなわれるだけです。そのため、前述の通り、資本提携では関係解消に至った場合に株式の買い戻しなどが必要になりますが、業務提携の場合、契約解除の手間は小さいといえます。
また、経営統合においては、持株会社と子会社という支配関係が生まれますが、業務提携は事業のなかの限定された業務でしか提携しないため、グループ全体の経営戦略に関わるということがありません。また、それぞれの会社が持つ経営資源を提供し合う場合、新規コストが発生しませんし、M&Aとは異なり、買収や合併のための資金を用意する必要もありません。
デメリットとしては、自社技術の登用やノウハウ、情報の流出の危険性、顧客満足度の低下の可能性があるほか、協力関係の構築に時間がかかって、特定の事業目標の達成に思うように漕ぎつけられない可能性もあります。
経営統合のメリット、デメリットは?
続いては、経営統合のメリット、デメリットをみていきます。
【経営統合のメリット、デメリット】
メリット | ・各会社のブランドイメージが損なわれない ・市場シェアを拡大できる ・事業を多角化することができる ・シナジー効果の創出が期待できる ・経営基盤を強化できる ・事業承継問題が解決する ・信用力が向上する |
デメリット | ・統合プロセスに時間とコストがかかる ・企業間で対立が生じやすい ・従業員の不安が増える ・期待したシナジー効果を得られない場合がある ・経営管理が複雑になる ・顧客や取引先に不安を与える可能性がある |
経営統合のメリットは?
まず、経営統合のメリットとしては、次のようなことが考えられます。
それぞれ詳しくみていきましょう。
各会社のブランドイメージが損なわれない
前述の通り、各会社の法人格は子会社となった後も独立して維持されるため、もともとのブランドイメージが損なわれる心配がありません。企業文化に影響が及ぶことはなく、顧客に不安を与える可能性もほとんどありません。
市場シェアを拡大できる
経営統合によって企業規模が拡大することによって、業界内での地位が向上します。このことによって、競争優位性を確立しやすくなります。
事業を多角化することができる
経営統合する会社同士は同業種である必要はないため、異なる事業分野を持つ会社同士の統合であれば、事業ポートフォリオが多様化して、特定の市場や製品への依存度を下げることができることもメリットと考えられます。また、事業ポートフォリオが多様化すると、そのなかのひとつの事業が不調な時期があっても、他の事業が好調であれば、企業全体でみると収益は安定しやすいといえます。
シナジー効果の創出が期待できる
経営統合によってそれぞれの会社が持っている技術やノウハウ、人材、販路などの経営資源が組み合わせられると、新たな価値が創出されたり、思いもしなかったような副次効果が得られたりする場合があります。
経営基盤を強化できる
自社に不足している経営資源を有している会社と統合することによって、特定の技術や特許、ノウハウ、優秀な人材、設備などを獲得できるため、経営基盤が強化されます。新規事業への参入や既存事業の強化に必要な甚佐材の育成や技術開発をおこないたい場合も、自社で一からはじめる場合と比べて、スピーディかつ低コストで実現できます。
事業承継問題が解決する
後継者が見つからず、事業の存続が危ぶまれているケースにおいては、経営統合によって新規持株会社の傘下に入ることで、事業承継問題を解決できる場合があります。
信用力が向上する
経営統合によって企業規模が拡大して、収益性や安定性が向上すると、金融機関や投資家からの信頼を得やすくなります。
経営統合のデメリットは?
デメリットに関しては次のようなことが考えられます。
それぞれ詳しくみていきましょう。
統合プロセスに時間とコストがかかる
経営統合が実施されると統合プロセスが必要となるため、そのための時間とコストを確保しなくてはなりません。具体的には、ITや会計、人事などの統合、拠点の統廃合、コンサルティング費用捻出、法的手続きの実行などが必要となりますが、当初の見積もりを大幅にオーバーするケースもあります。
子会社間で対立が生じやすい
経営統合する会社間に、価値観や意思決定プロセス、コミュニケーションスタイル、働き方などの違いがある場合、会社間に摩擦が生じる可能性があります。特に、経営統合する子会社のうち一社の文化が残りの子会社に強要されているような場合や、子会社となる会社の力関係が対等でない場合などに、このような問題が顕在化する可能性が高いといえます。
従業員の不安が増える
経営統合した各会社の従業員は、役割や処遇が変更となったり、転勤や人員削減の対象になったりといった可能性があるため、従業員は経営統合に対して不安を覚えやすいでしょう。結果的に不安は杞憂に終わる可能性もありますが、情報開示が不十分であると、従業員が憶測情報や噂に振り回されてしまう可能性があります。
期待したシナジー効果を得られない場合がある
メリットとして、シナジー効果が期待できる点をピックアップしましたが、シナジー効果は必ずしも得られるとは限りません。あるいは、文化の衝突や市場環境の変化、統合プロセスに時間がかかりすぎたことなどが原因で、シナジー効果を得られるまでに想定より時間がかかる可能性もあります。
経営管理が複雑になる
経営統合を実行すると組織規模が大きくなるため、管理階層が増えて部門間の連携が複雑になります。その結果として、経営管理が難しくなる場合があります。また、意思決定プロセスに以前より時間がかかるようになる可能性が高く、そうなると、市場の変化にスピーディに対応することも難しくなります。
顧客や取引先に不安を与える可能性がある
経営統合に伴う組織変更やシステム移行によって、窓口が変更になったり、サービスの品質が一時的に変更したりする場合、顧客や取引先が不安を覚える可能性があります。窓口が変更になった場合には、単純に、不便になったと感じられる場合も多いでしょう。
経営統合と株価の変動:個人投資家が知るべきポイント
経営統合の発表は、対象企業の株価に大きな影響を与えます。経営統合のニュースを知り、対象企業の株を買いたいと考える人と売りたいと考える人の期待と不安が入り混じるためです。ここでは、株価変動の要因と個人投資家がとるべき戦略について解説します。
株価変動の仕組み
経営統合発表後の株価は、主に以下の要因で変動します。
株式交換比率:
新設される持株会社の株式と交換される比率です。市場で評価が高い企業(買収側)の株価が上昇し、交換比率が不利な場合(売却側)の株価は下落する傾向があります。
シナジー効果への期待:
統合によって生み出されるコスト削減や売上増加といったシナジー効果が期待される場合、両社の株価が上昇する可能性があります。
プレミアム:
統合対象企業の株価に上乗せされる「プレミアム」の有無も重要な要因です。一般的に、買収される側(子会社となる側)の株主には、統合前の株価よりも高い価値が付与されるため、株価が上昇しやすいです。
個人投資家の売買戦略
経営統合のニュースは、個人投資家にとって大きなチャンスとなり得ます。
統合発表前(情報が非公開の段階):インサイダー取引規制の対象となるため、未公開情報に基づく売買は絶対に避けるべきです。
統合発表後:公開された情報を基に、以下のポイントで売買を検討します。
上場廃止のリスク:
経営統合により、保有している銘柄が上場廃止となる場合があります。この場合、新設持株会社の株式に交換されるか、株式が強制的に買い取られることになります。保有株が上場廃止となる場合は、売却するか交換するかを事前に検討しておく必要があります。
経営統合に関するFAQ
続いては、経営統合に関するよくある質問とその答えを紹介していきます。
Q. 経営統合で上場廃止になることはある?
経営統合によって上場廃止になることはあります。片方の会社がもう一方の会社に吸収される場合や、新設会社を作って統合する場合には、どちらかまたは両方が上場廃止になります。
なお、上場廃止となる側の株主は、事前に株式を売却するか、もしくは存続会社または新設会社の株式と交換することになります。この際、株主価値が毀損とならないよう、適正な合併比率(ごうへいひりつ)や情報開示が求められます。
Q. 経営統合における株式交換比率はどうやって決まるのですか?
経営統合で持株会社を設立する場合、「株式交換比率」が最も重要な決定事項の一つです。これは、統合する各社の株主が、保有する株式と引き換えに新設される持株会社の株式をどれだけ受け取るかを決める割合のことです。 この比率は、統合する企業の財務状況、事業内容、将来性などを総合的に評価して決定されます。具体的には、専門家(フィナンシャルアドバイザーなど)が企業価値評価をおこない、その評価結果をもとに公正な比率を算定します。この算定には、DCF法(将来のキャッシュフローを現在価値に割り引く方法)や類似会社比較法(同業他社と比較する方法)などの手法が用いられます。公正かつ透明な比率を決定することが、株主の利益保護にとって不可欠です。
経営統合で成功するためには綿密に計画を練ることが重要
経営統合は、グループ全体で戦略や資源などを共有して広範囲に協力し合うものなので、関係者全員が納得したうえでお互いに協力し合えるよう、関係性を構築していくことがとても大切です。また、関係性の構築がスムーズに進むよう、綿密に計画を練ることも重要です。各企業の独立性を維持しながら、グループとして成長していける大きなチャンスとなり得るので、いい結果を得ることができるよう、会社のことも従業員のこともよく考えながら準備をすすめてくださいね。
M&A・事業承継で失敗したくないなら
ジョブカンM&Aは、経験豊富なアドバイザーが事業の売却・買収をトータルでサポートします。
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詳しいサービス内容を知りたい、気軽に相談したいという方は、下記サービスサイトをご覧ください。
この記事は、2025年8月時点の情報を元に作成しています。
執筆 ジョブカンM&A編集部 | ジョブカンM&A編集部
ジョブカンM&Aは、株式会社DONUTSが運営するM&Aアドバイザリーサービスです。主に企業の事業承継、成長戦略、出口戦略(イグジット)といった多様なニーズに応えることを目的としています。最大の特徴は、累計導入社数20万社以上を誇るバックオフィス支援クラウドERPシステム「ジョブカン」の広範なネットワークを活用している点です。この強力な顧客基盤を生かし、効率的なマッチングを実現します。
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